スパルタしすぎちゃダメですよ
ほぼ日 「しつもんチケット」に目を通していると、
やはり、水と肥料のバランスというところに
苦労してらっしゃる方が多いようです。
諏訪 そうですね。
やはり、永田農法っていうと、
水や肥料を極力少なめに育てるという
「スパルタ農法」のイメージが強いと思うんです。
ほぼ日 そうですね。
でも、これまでの諏訪さんの説明で
スパルタ農法というよりは
「ダイエット農法」なんだということが
わかってきましたけど。
諏訪 そうなんです。
ほぼ日 「ムダな栄養を与えない」という
という意識が強すぎると、
水と肥料を制限しすぎてしまって、
最終的に作物を枯らしてしまうことも
多々、あるようで。
諏訪 そうですね。
炎天下で野菜も枯れかかっているのに
水も液体肥料もあたえなかったせいで
完全に枯れてしまったという人が
けっこういたようです。
もしくは枯れるまではいかないんだけど
ダメージを与えすぎちゃって、
トマトの実がなる前に
株がバテてしまって実がつかない、
というケースも見受けられたようです。
ほぼ日 枯れてしまっては意味がない‥‥
とはいえ、水と肥料を制限するのが
永田農法の大きなポイントですから、
いざ実践するとなると、迷うのでしょうね。
諏訪 はい。そこはたしかに難しい、と同時に、
やりがいとおもしろみの
感じられるところでもあると思います。
ほぼ日 なるほど。
簡単には言えないことだと思いますが、
水と肥料のバランスについて
アドバイスをいただけませんでしょうか。
諏訪 「理想的な枯れ具合」の例を説明しましょうか。
永田農法のトマトのなかでも、
とくに美味しいといわれるトマトをつくる、
プロの農家の方がいらっしゃるんです。
北海道余市の中野さんという方なんですけど、
中野さんがキープしている
枯れ具合がちょうどいいんです。
どういう状態かというと、
「茎は全部緑で、
 葉も薄黄緑で青々としてるんだけど、
 先っぽがちょっとしなっとしてる」
という感じで。



ほぼ日 なるほど、なるほど。
諏訪 その状態を理想として考えると
いいんじゃないかなと思います。
全体がしなっとしてきたら
完全に水不足なので、
その時は水をあげなきゃいけない。
成長が悪かったり実や花がならないときは
ふだん、500倍に薄めている液体肥料を
すこし濃くして300倍にしてみるとか、
1週間に1度あげるというペースを変えて、
3~4日に1度あげてみるとか‥‥。
このあたりの見極めというのは
なかなかマニュアル化できないんです。
ほぼ日 そうでしょうね。
マニュアル化しようとしても、
その地域の気候や日照時間にも
左右されるだろうし。
諏訪 そうなんです。
はじめて作る畑なのか、
以前に作ったことのある畑なのかという
土壌環境ひとつとっても変わってくる。
ですから、定量化することもできないんです。
これだけはそのときどきで見極めながら
やっていくしかないと思うんですね。
ほぼ日 そのあたりは、
さきほど諏訪さんがおっしゃったように
「永田農法の醍醐味」ととらえて。
諏訪 ええ、ぜひ、
楽しみながら取り組んでほしいです。
見極めが難しいぶん、うまく育った作物を
収穫するときの喜びは格別ですから。

(つづきます)
2008-05-14-WED