ここだけは押さえておきたい トマトづくりのポイント
ほぼ日 永田農法といえば、
印象的なのはやはりトマト。
家庭菜園で永田農法にチャレンジするときに、
「一度は作ってみたい」と思う人が
多いのではないでしょうか。
そこで、トマトの栽培において、
「ここだけは押さえた方がいい!」
というポイントを教えてください。
諏訪 それは「しつもんチケット」でも
何度も答えてきましたから
まとめて教えましょう。
ほぼ日 よろしくお願いします。
諏訪 DVDでも紹介してますが
トマトで中玉や大玉を作る場合、
「雨よけ」は必須だと思ってください。
絶対やったほうがいい。
「雨よけ」をしないと梅雨時に病気が出ます。
プロの農家のように
こまめにチェックをして農薬散布してれば、
感染力は防げますが、
手間を考えると大変です。
だからとにかく「雨よけ」をつける。
ほぼ日 なにはなくとも「雨よけ」が大事!
諏訪 はい。
「雨よけ」は、病気対策の意味もあるけど
水分のコントロールという意味合いもあります。
なるべく水と肥料を控えた
乾いたところで育てるというのが
永田農法の基本ですし。
トマトは原産が
アンデスの山地の乾燥地域ですから
畝はいつも乾いたような状態がいいですね。
うちのトマトの畝もいつもパリパリ乾いてます。
パリパリの乾いた畝に液体肥料をあたえると
トマトが肥料をチューチュー吸ってる感じが
わかってくるようになりますよ。
ほぼ日 まさか(笑)。
諏訪 ほんとですって(笑)。
その日のうちに葉がグッと伸びたりとか、
玉がちょっと膨らむとか、
そういうことが感覚的にわかるぐらいに
液肥が効くのがわかってきますから。
やっぱり畝が必要以上に湿ってると
液肥をやっても吸わないので、
やっぱり「雨よけ」は必須なんですよ。
プロはもっと徹底して水をきりますからね。
ほぼ日 高糖度ファーストトマトを出荷するような
プロの農家の方ですね。
諏訪 もう、そのレベルになると
水きりのレベルが違う。
ハウスで雨水をよけるだけでなく
空気中の水分が増えることすら気にしてますし。
ハウスの外での雨水が
地面を通して入ることも防いでる。


▲これがプロのハウスだ!

ほぼ日 はーー。
諏訪 もう徹底してるんですよ。
あれとまったく同じものを作るのは
家庭菜園ではちょっと難しいですから、
せめて「雨よけ」を。
ほぼ日 「雨よけ」がいかに大事かわかりました。
他にはどういうことに気をつければよいですか。
諏訪 あとは苗を植え替える時期ですね。
ほぼ日 春であればいつでも大丈夫、
というわけではないんですか?
諏訪 うん。
まずは苗の成長具合をチェックします。
植え替えのポイントは
一番花とよばれる
最初の花が咲いてる時期に
植えてあげる
こと。
一番花が咲いてないと
若いときに畑に下ろすことになる。
それまで小さいところに
閉じ込められて育ってたもんだから
急にのびのびするわけですね。
ほぼ日 のびのびするのは
いいことじゃないんですか?
諏訪 これを「株が暴れる」と表現するんですけど、
急に大きくなっちゃって
実がつきにくくなっちゃうんですね。
そうかといって、一番花も終わって
二番花が咲いちゃってると
一番花で実がつき始めます。
つまり、ポットのわずかな土で
肥料分も残っていないところで
実をつけ始めちゃうから、それもよくない。
ちょうど一番花ぐらいのときに植えてあげると、
そのあとの土に下ろしたとき、
広くなったことによる成長具合と
実のつきのバランスが一番いいんですよね。
これは自分でも最近よく実感してるので、
本当にきちんと守るべき
大切なポイントかなって気がしますね。
ほぼ日 ということは、
ホームセンターなどで
一番花がついてない苗を買った場合は
一番花が咲くまで植え替えを待つんですか?
諏訪 そういうことです。
庭とか日なたのいいところで苗を育ててあげて、
一番花が咲いた頃に
畑に下ろしてあげるといいと思います。
ほぼ日 その場合は、
苗に液肥をあげても大丈夫?
諏訪 大丈夫ですよ。
苗が入っているポットは
プランターなどにくらべて
土の量が少なく、乾きやすいですから、
植え替えまでは水だけは欠かさないようにして、
1週間に1回程度液肥をあげればいいでしょう。
ほぼ日 あとはDVDと「しつもんチケット」のページを
チェックすれば大丈夫ですかね?
諏訪 そうですね(笑)。
そうそう、あと、トマトは
作る時期によって味の変化があるんですよ。
大づかみにいうと、
梅雨が明けてカンカン照りが続いて
朝晩の温度差が激しいとき一番甘くなります。
そして8月の終わりぐらいになると味が落ちる。
ここでみんなやめちゃうんだけど
9月、10月の冷え込みが始まると
トマトはまたメチャメチャうまくなるんです。
ほぼ日 へぇー。夏よりも美味しくなるくらい?
諏訪 ほんとそう!
10月のもう枯れてきた頃のトマト。
へたをするとこれが一番うまくなるんですよ。
ほぼ日 じゃあ、トマトをつくるなら
10月まで作らないともったいないですね。
諏訪 そうですよ。いろんな味のトマトが楽しめますし。
「トマト栽培の醍醐味は10月」
といってもいいくらいです。
ぜひ、お試しください。

(つづきます)
2008-05-11-SUN