ヨコオとイトイの THE エンドレス
 
第4回 ただただ歌います。
糸井 「♪おいら岬の〜灯台守はぁ〜
 妻とふたりで〜沖行く船の〜
 無事を祈って灯をかざす 灯をかざ〜す♪」
いい歌詞だなぁ。
横尾 いい歌詞だね。
糸井 自分の職業を
言ってるだけの歌詞なんですけど、
なんのてらいもなくて、
ちょっとじんとします。
横尾 歌詞もいいし、曲もいいよね。
ぼくは、白浜へ行ったとき、
その灯台にも行ったよ。
アメリカが本土に突入してくるときには、
その灯台を目当てにして
グラマン戦闘機なんかが来たんだって。
だから、銃弾の痕が
いっぱい灯台に残ってた。
いま、かけますか。
糸井 CD、あるんですか。
横尾 あるよ。
糸井 へえぇ。
横尾 そのあたりの曲、みんなあるよ。
ちょっと待ってね。
ええと、なんだっけ?
糸井 タイトルは『喜びも悲しみも幾年月』ですね。
若山一郎でしょうか?
横尾 伊藤久男ではないよね。
霧島昇でもないよね。
(CDをさがす)
ありました。
糸井 ありました、誰でした?
横尾 やっぱり若山彰だよ。
『喜びも悲しみも幾年月』、
えー(CDのブックレットを読む)、
いまの糸井さんの、
一番の歌詞は合ってる。
糸井 はい(笑)。さすがに
そのあとは知らないです。
横尾 二番もいいんだよ。
喘息になってから、
歌が歌えなくなっちゃったからなぁ。
ことばを引っ張れなくなった。

(横尾さん、CDをかける
 ♪〜音楽流れる)
糸井 これ、なんだ?!
横尾 ふはははは。
『柿の木坂の家』だよ、
青木光一。
糸井 「柿の木坂はぁ〜♪」
横尾 そうそう、それ。
これを聴いたあとに、
『喜びも悲しみも幾年月』を聴きましょうか。
糸井 そうしましょうか。
『柿の木坂の家』もいいですねぇ。
「柿の木坂は駅まで三里〜♪」
横尾 「春には 青い めじろ追い♪」
青木光一の顔はわかるけど、
若山彰はぼやっとしか覚えがないね。
糸井 丸い人だったような‥‥
横尾 おじさんくさい顔してたね。
『柿の木坂の家』が終わったよ。
糸井 歌謡曲って、歌詞が
一本の芝居みたいになってますね。
横尾 さあ、お待ちかねの。
糸井 もっと暗い歌ですよね、今度は。

(♪〜『喜びも悲しみも幾年月』音楽流れる)
横尾 へぇ。
糸井 暗いというか、大げさ‥‥ですね。
横尾 うん。なんだかマーチみたいじゃない。
軍歌かと思ったよ。
応援歌だよ。
糸井 「♪妻とふたりで 沖ゆく船の〜」
横尾 こういう校歌作るとおもしろいよね?
「無事を祈って 灯をかざす 灯をかざす」
元気が出るね、この歌。
糸井 ぼくは、愛妻物語として歌ってたのに。
横尾 ぜんぜんちがうじゃない。
あ、次の歌に行くよ。
糸井 止めましょうか。
横尾 止められるの? 糸井さん(笑)。
糸井 いや、たのしいですね。
(笑)この歌はなんだ。ちょっと待って。
えっ、なんだろ!
横尾 バスの歌だっけ。
糸井 「♪若い希望も恋もある
 ビルの街から山の手へ
 紺の制服 身に着けて♪」
横尾 誰が歌ってるの?
糸井 コロンビア・ローズ。
「わたし、東京のバスガール
 発車、オーライ♪」
横尾 はははは、これやってたら、
きりないよ。
今日が終わってしまうよ。
糸井 うん、やめます、やめます。
またにします。
横尾 お、これは「無法松の一生」。
まだまだ出てくるよ。
糸井 歌えますね、みんな。
横尾 子どもの頃はね、
みんな歌えたんだよ。
糸井 歌えた。なんででしょうね、
ほかになにもなかったからでしょうか。
横尾 なかったからでしょう。
それから、歌がほとんど映画化されてたよね。
だから、全部が映画の主題歌なんです。
(なにげなく、手みやげのしょうがに
 手をのばす横尾さん)
‥‥からいねぇ!
これ、このまま食べるとすごいねぇ!
糸井 ガマンするんですよ。
横尾 うわぁ、これ、
喉、ゴホッゴホッ。
糸井 申しわけないです。
横尾 すごい。
ここまでからいと思わなかった。
糸井 ガマンしてください。
まぁ、どうお使いになろうが、
ぼくのいないところで捨てようが(笑)。
横尾 捨てないよ。
糸井 カレーに隠し味で入れようが。
横尾 ゴホッ、いや、やっぱり
こうやって食べるのがいいね。
糸井 ぼくは、つまんでるんですよ、よく。
このからさ、慣れますよ。
横尾 これは鍛えられる。ゴホッゴホッ。
糸井 水気があれば大丈夫じゃないでしょうか。
横尾 いや、食べるよ。
*後日談*
後日、このしょうがのシロップ煮を
横尾さんはとても気に入ってくださって、
ご自身のブログに
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糸井重里さんが作ったショーガ糖(糖といってもそんなに甘くなく、むしろ咽を通る寸前、物凄く痛い) 。いや熱いか?カライ?のだが、それが喘息にスゴクいい。数が少なくなるのが惜しい。作り方を聞いたけれどメンドー臭いので、糸井さんが次に作る時、ぼくの分(材料費、手間賃は出します)作ってくれないかな。このブログを糸井さんが読まなきゃ。読んだ人、本人に伝えて下さい。
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と書かれました。
それをごらんになったみなさまより
メールでお知らせいただき、
糸井は、手づくりのしょうがシロップ煮を
横尾さんに追加でお送りすることができました。
  (続きます!)
2009-11-24-TUE
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(c)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN