その2 だまされた人がまた被害に‥‥
───国民生活センター取材編(2)

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そうした詐欺的な「ファンド型投資商品」に
代金を支払ってしまうと、
取り戻すのはむずかしいのでしょうか?
飯田さん
難しいですね。
払ってしまうと救済が難しくなります。
先ほど言いましたように、
まず、電話をしても連絡がつかなくなります。
実体がない業者なので。
住所をたどっても、そんな会社はない。
郵送で書面を送ることもできません。

右から、国民生活センターの飯田さんと生方さん。

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ああ‥‥逃げてしまうんですね。
飯田さん
ですから、基本的には「信じない」ことです。
電話でも郵送でパンフレットでも、
金融商品の不審な勧誘は信じない。

もしそういうことがあったら、
すぐに相談していただきたいです。
わたしたち「国民生活センター」でも、
お近くの「消費生活センター」でも、
どちらでも構いませんので
早く、相談のお電話をしていただきたい、と。
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早く。
飯田さん
とにかく早く、
相談の電話をすることが大事です。

払ってしまった場合でも、
早くご相談いただけば
救済できる可能性がありますので。
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早期発見がたいせつ‥‥。
お医者さんとお話をしているようです。
次々に手口が更新されていく詐欺的商法は、
ウィルスのようでもありますし。
飯田さん
なるほど、そうですね。
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詐欺的な金融商品には、
ほかにどんなものがあるのでしょう?
飯田さん
それはもう、
ほんとうにいろいろなパターンがあります。
たとえばこういう‥‥(紙幣を並べる)
外国の紙幣なんですけど。
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‥‥これは、本物ですか。
飯田さん
本物です。
スーダンのお金ですね。
実際に劇場型で勧誘されて
購入してしまった方に送られてきた紙幣です。
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スーダンのお金って‥‥
たぶん換金しにくいですよね。
飯田さん
おっしゃる通りです。
国内での換金はひじょうに難しいです。
生方さん
ほかにも、
コンゴ、シリア、イエメン、ウズベキスタン、
イラクなどの通貨購入を
持ちかけるパターンもありました。
いずれも換金困難な紙幣です。
────
うーーーん‥‥。
生方さん
通貨取引のトラブル以外でも、
「カンボジアの土地使用権」
「有料老人ホーム利用権」
「永代供養の権利」
「ダイヤモンドの採掘権」
「被災地支援」に便乗したセールスも目立ちます。
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‥‥悪質ですね。
飯田さん
ことしの5月には
「シェールガスの施設運用権」
というのが流行りました。
────
シェールガス?
生方さん
震災後の新たなエネルギー事業をうたった
「買え買え詐欺」の一種です。
シェールガスとか、メタンハイドレートとか、
目新しい話題を悪用したケースですね。
テレビや新聞で
そうした新エネルギーが報道されると、
すぐに新たな手口がうまれます。
────
早いですね。
生方さん
早いです。
で、
「あ、その話、テレビでやっていた」
という人が、つい話を聞いてしまう。
────
お年寄りは、
ニュースや新聞をよく見てますからね。
生方さん
そう。ご覧になっていらっしゃるので‥‥。
────
うーーーーん‥‥。
飯田さん
たいていの人は不審だと思うんですけれども、
やはり数打てば当たるというか‥‥。
たとえば過去に被害に遭った高齢者を狙えば、
業者にとっては効率が良くなります。
────
‥‥そ、そんなことができるんですか?
飯田さん
そうですね。
それに関連する話なのですが、
最近の特徴として
われわれが「2次被害」と呼ぶケースがあります。
つまり、過去に投資被害に遭われた方を
さらに狙って、
「あなたの1回目の被害金が戻るので、
 手続きをしてください。
 手続きにはこれだけの手数料がかかります」
というやり口です。
────
‥‥だまされやすい人を狙うということですか。
飯田さん
そうです。
「経済再生機構」というような、
それらしく見える精巧な書類が送られてきます。
────
だまされた人が、また被害に‥‥。
ひどい‥‥泣きっ面にハチです。
飯田さん
ほんとうにそうなんです。
ですから、なんと言いますか‥‥
「お金のある高齢者が私利私欲でダマされた」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
そうではないんです。
なけなしのお金が奪われているんです。
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そうですよね。
被害にあって、
「もう戻りません」とあきらめていたところに、
「被害金は戻りますよ」って言われたら‥‥。
飯田さん
食いついてしまいます。
────
ううーーん‥‥。
飯田さん
2次被害が増えている。
このことも最近の特徴ですので、
ぜひ知っていただきたいと思います。
────
わかりました。
生方さん
ちなみにこれは(資料を出す)、
「国民生活センター」のニセモノです。
────
え?
「国民生活センターからの大切なお知らせ」
とありますが‥‥ニセモノなんですか。
じゃあ、この住所は?
生方さん
住所までは合ってます。
でも「国民生活センター」には、
0120のフリーダイヤルは一切ないんです。
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はああーー。
ということは、この番号にかけちゃうと、
なにか危険なことが?
飯田さん
「過去の投資被害を返金します」とか、
「被害救済を行っています」というパターンです。
────
ああ‥‥。
飯田さん
この番号はすでにつながりませんでしたが、
「国民生活センター」を名乗って
パンフレットが届いたり
電話がかかってくることが増えています。
────
すごいなぁ‥‥
このパンフレットは、信じてしまいますね。
でも、「国民生活センター」さんから、
こういう案内が届くことはない?
飯田さん
ありません。
相談をしていただいた方以外に、
こちらからいきなり連絡をすることはないです。
相談を受けたことのない方に
こちらから電話をすることも、一切ありません。
────
なるほど‥‥
公の機関をよそおう手口も増えている。
飯田さん
はい。
────
だましやすいと思われた人が
何度も狙われてしまうという話は‥‥
そういう事実があるだけに、つらいですね。
(つづきます)
2013-11-28-THU

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