息は大事(7月26日)

・外国で仕事をしていたり、海外の暮らしが長い人は、
 たいていその国の、「なにかと繊細でない人々」やら、
 「おおざっぱなやり方」「正確でない約束」について、
 ちょっと困ったこととして語ってくれます。
 笑い話のような、とても具体的な苦労話のような、
 ま、それぞれの土産話として、よくあることです。
 
 しかし、そういう方々が、ひょいっと、
 日本の美点とされている「繊細さ」について、
 それをしみじみと「弱さ」としても語ることがあります。
 さっきまで、日本の人たちの
 「美点」として語られていたことが、
 同時に、そのままじゃいけないようなことに‥‥。
 
 むろん、ひとつの特質を育てるためには、
 反対側にある欠点に目をつぶらねばならないでしょう。
 でも、どっちかに寄り過ぎている場合には、
 健康な成長も望みにくいってことですよね。
 
 日本人として育って、海外で仕事している人は、
 そのバランスをどうとろうかと、
 きっと新しい考え方を探し続けているんだと思います。

・昨日お会いした方は、
 上海で仕事をしている人なのですが、
 日本に来ると、「息がつまる」と表現してました。
 むろん、日本のいいところをたくさん語っていながらね。
 
 「息がつまる」かぁ。
 これは、震災の影響もないわけではないでしょうが、
 けっこう長いこと日本を覆っていた灰色の雲の名です。
 ぼく自身が、寝返りを打つようにやっていることは、
 「息がつまる」の反対側で生きたいってことです。
 ぼく自身が、「ぜんそく」を経験しているので、
 「息がつまる」という感覚、すっごくリアルなのです。
 「呼吸がラクになる」だけで、生きやすくなるんです。

 「行きがつまる」とか「生きがつまる」とか、
 別の文字を当てたくなるくらい、息は大事です。
 しばらく「息」をイメージしてみようと思います。

今日も「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。
どのページに偶然出合っても、たぶんなにかあると思うよ。

「今日のダーリン」より