問題を考えるときの重要なヒント(7月31日)
・東京大学先端科学研究センター教授の児玉龍彦さんが、
衆議院厚生労働委員会で、
「放射線の健康への影響」という題で、
「参考人説明」をしたときの記録動画が、
どうして多くの人のこころによく届くのか。
これからのさまざまな問題を考えるときに、
とても重要なヒントがあると思います。
1)ほんとうにこころのこもった発言に感じた。
怒りも口惜しさも誠実さも、
こころから自然に出ているものだということが、
よく伝わってくる。
2)伝えたいことが、具体的な提案になっている。
敵を想定して、それへの攻撃するのではなく、
「どうすればいいのか」を実現するための話である。
敵か味方かを問題にするのでなく、
「どうすればいいのか」が共有できて、
その実現に向うことのほうが重要なのだ。
3)現場を知っている感覚が伝わってきた。
結論の出にくい問題についても語っているのだけれど、
「いまそこにいる人の心を感じ取ってきた」
という臨場感と自信があった。
3つとも、とても大事なことだと思います。
特に多くの人に届くためには、
2)の「どうすればいいか」があるかないかが重要です。
危険や不安について、どれだけ言っても、
何が「悪」かについてどれほど説明しても、
未来への夢をどんなに語っても、この児玉さんのように
「計るしくみを確実につくる」
「民間業者を入れて除染作業を進めるべきだ」
「この法律を変える必要がある」というふうな、
具体的な「どうする」がないと、残念ながら、
「もっと怒りましょう」キャンペーンになっちゃいます。
感情を揺さぶることが目的でなかったことが、
見ている人や、会場の人たちの感情を揺さぶったのです。
見て、知って、ほんとうによかったと思っています。
今日も「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。 |