東北には、いま、
「いい背中」がいっぱいあります。(1月26日)


・「あの町のこどもたちは、
  あんなおとなたちを見て育つんだから、
  これからがたのしみですねぇ」

 東北の取材をしてきた人と会って、
 そんなことばを聞きました。
 ぼくの知っている東北の人たちのことが、
 ほめられているような気がして、
 とてもうれしかったです。
 
 そうだよなぁ。
 どんなふうに、なにを教えるよりも、
 おとなたちが実際に「どう生きているか」が、
 こどもたちに大きな影響をあたえるんだと思います。

 ちょっと大きくなったこどもたちは、おとなたちが
 「やせがまん」をしていることも知っています。
 ちょっとかっこつけて笑っていることも、わかってます。
 こころからうれしそうにわらっている瞬間も、
 きっと見逃さずに見ています。
 そうして、じぶんにとっての
 「かっこいいおとな像」をイメージしていくんでしょう。
 あんなふうに生きたいなぁ、とか、
 あんなふうにはなるまい、とかね。
 
 ごくごく自然に、「じぶんを後回しにする」おとなや、
 つらさや、かなしさを「ぐっとこらえる」人たちを、
 ぼくはぼくで、そういえば見てきたように思います。
 それは、どんなことばよりも、身にしみました。
 そういう人が言う「くだらない冗談」は、
 ほんとうにおもしろく感じたりもしたものでした。
 
 東北には、いま、「いい背中」がいっぱいあります。
 もちろん、見たくない背中もあるんだと思います。
 でも、「いい背中」は、ほんとうに強いからね。
 どんなことばより、人のこころをひっぱってくれます。
 だってねぇ、じぶん自身がおとなのはずの、
 ぼくだって、じっと見ちゃうような背中だもの。
 男、女、お年寄り、若い人‥‥静かなはずの背中が、
 ほんとうによく語ってくれてます。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ネットにつながってない人とも、つながれますように。

「今日のダーリン」より