『気仙沼さんま寄席』の日(3月25日)

・東京から来るとしたら、まず、
 東北新幹線で一ノ関まで約2時間ちょっと。
 そして、在来線も、車で道路を走っても約1時間半。
 そんなふうにしてやってくるのが気仙沼です。
 もっとハードな道のりをやってくるお客さんも、
 けっこうたくさんいるみたいです。
 
 いよいよ今日は『気仙沼さんま寄席』の日。
 前日からみんなそれぞれに、じぶんの「できること」を、
 せいいっぱいにやってくれていました。
 
・気がついたのですが、この『気仙沼さんま寄席』って、
 サービスされるだけのお客が、まったくいないんです。

 関係した全員が「サービスする」側にいる。
 立川志の輔さんたち、お囃子の人とか含めてみんな、
 「たのしませる」という仕事で貢献してくれます。
 地元の気仙沼の人たちも、今回は慰問されるんじゃない。
 秋のさんま祭のさんまを稼ぎだすという仕事です。
 交通や、宿泊や、町の商店関係の人たちも、仕事です。
 「ほぼ日」のぼくらも、全身を使った仕事をします。
 そしてなにより、観客の皆さんだって、
 気仙沼を東北を支援しようという仕事をしに来てくれる。
 みんな、「サービスをすることで、よろこぼう」
 という側に立っているんですよね。
 めずらしい集いだなぁと、あらためて驚いたんです。

 全員、じぶんたちがしたいこと、できることをして、
 誰かによろこんでもらえる仕組みになっていました。
 すごい、あんまり他に知らないなぁと思いました。
 
・この文を書いているのは、その前夜です。
 津波が襲った海の見えるホテルの部屋で、
 運動会の前の日の小学生みたいな気持ちで書いてます。
 一週間前は、吉本隆明さんの葬式でした。
 一年前には、あの大震災があったんですよね。
 今日、ここにいられる幸せを大事にしようと思います。
 前に進めようと思えば、少しでも進むことはあります。
 ずっと同じことばかり言ってますが、
 光の射す方向に目を向けて、歩みたいと思っています。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
夜10時からはETVで『吉本隆明語る』の再放送があります。

「今日のダーリン」より