光の射す方向が、前だぜ(5月9日)

・いま、東北のともだちにメールを書いていました。
 昨日、ここに書いた
 「被災した地域と、他の場所にいる人たちの距離が、
  遠くなってきたように感じられる」
 ということについての、やりとりです。
 
 新しい踏ん張りどころに差しかかっていると思うんです。
 メールに、ぼくは、表現に少々悩みながら、
 「横を見ないこと、他所と比べないことかなぁ、
  と思っています」と書きました。
 
 むつかしい問題、むつかしい時期、むつかしい精神状態。
 そういうことになると、
 ぼくらは、ものすごく「横」ばかり見るようになります。

 うまくいっているように見える人、
 弱々しくて足を引っぱりそうに見える人、
 まちがったことを懸命にやっている人、
 人をだましたり嘘をついたりしている人、
 なまくらな刃物を持ってこっちを睨んでいる人、
 大声で泣きじゃくってばかりの人、
 力を発揮できないままに眠っている人、
 そして、鏡のなかに写っているじぶん‥‥。
 横を見ているかぎりは、(苦笑)、退屈しません。
 時間は過ぎていくし、頭はいつも動いています。
 しかし、なんにも、大事なことは考えられなくなります。
 一歩前へと、足を踏み出すことを忘れます。
 
 苦しいときこそ、見るのは横じゃなく、
 前なんだということを、経験で知っていたはずなのに、
 どういうわけか、横を見て腐っていってしまうんです。
 「おまえは、前に進みたいんじゃなかったのか?」
 という声が聞こえたら、こっちのもんです。
 そう、前に1ミリでも進む、戻りにしても前を向いて。
 行きたい方向、生きたい道を進むのに、
 横見ているひまなんかないんですよね。
 
 目玉は、どっち向きについている? 前だ。
 光の射す方向が、前だぜ。
 なんか、いいことを思い出したような気がします。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
しかも、笑いながら‥‥っていうのが、理想なんだよねぇ。

「今日のダーリン」より