ほぼ日テレビガイドシリーズ

秋の連ドラチェック2017

あややとふたりのプロフェッショナル
第3回
井上真央さん、久々の主演作。
そして『ドクターX』の安定感。
なぜか、ほぼ日乗組員の同級生も?

明日の約束

フジテレビ●火曜日21時


あやや
じゃあ、『明日の約束』行きましょう。
井上真央さんです(拍手)!
森下
あやや、真央ちゃん大好きだねー。
あやや
はい、井上真央さん、好きです。
いつの間にか真央ちゃんも30代、
女優激戦区ですよ、この世代。
上戸彩さん、宮崎あおいさん、
綾瀬はるかさん、長澤まさみさん、
石原さとみさん、蒼井優さん‥‥
まだまだいっぱいいらっしゃいますよね。
森下
みんなまとめて30代になりましたねー。
あやや
で、この女優戦国時代、激戦区の中で、
私、井上真央さんがいちばん好きです。
荒井
ほーーー。
──
なぜかと問いましょう。
あやや
お答えします。コホン。
井上真央ちゃん、
犬みたいでかわいいでしょ?
──
ははははは。
あやや
柴犬っぽくないですか?
マジでマジで。
──
あやちゃん、犬がいちばん好きだもんね。
この世の好きなものを
好きな順番に並べていくと、
いちばん前に犬がいるっていう。
森下
そうなんだ。
あやや
ハイ! 私、じつは、
お餅とドラマよりも、犬が好きです。
森下
お餅も、何気にランク高い。
荒井
井上真央さんは犬っぽいですか?
あやや
なんか柴犬っぽくないですか。
──
犬種まで。
あやや
柴犬みたいですっごくかわいいー。
‥‥それは置いといて。
──
置いとくんだ。
あやや
井上真央ちゃんのいいところ、挙げます!
森下
お願いします!
荒井
どうぞ!
あやや
みなさん、『トッカン』というドラマ
憶えてらっしゃいますでしょうか。
国税徴収官という、とても堅くて、
あまりにも地味なテーマのドラマ。
森下
あったことは憶えてます。
あやや
日テレの水曜日10時、働く女シリーズ。
すっごい、まじめーな、かたーい、
じみーな役どころで、
それを井上真央ちゃんやったんですけど、
もうね、初回がね、髪振り乱して、
メイクも地味にして、
顔なんか、こんなになっちゃって‥‥。
森下
ぶはっ!
──
どんなになっちゃって?
あやや
こんなになっちゃって。
荒井
わはははは!
──
どんなになっちゃって?
あやや
こんなになっちゃって。
もう、こんなで、こういう感じで。
森下
ひー、もういい、もういい(笑)。
──
このページ、何年か前は写真をつかって
「あやや百面相」とかやってたけど、
いま、いい写真が撮れただろうなー。
あやや
一部で人気だったみたいですよ、
あのひどい百面相。
──
復活しませんけどね。
荒井
で、その『トッカン』の井上真央さんが?
あやや
そう! もう、わたしね、心を、
ものすっごいつかまれたんです、感動して。
井上真央ちゃんの演技って、すごいんですよ。
なんかね、上手い下手という次元をさらに超えて、
とにかく役に集中されるんですよ、このかた。
それで、ものすごいぐーーーと連れて行かれて。
しかも、柴犬っぽいでしょ?
あの、柴犬が一所懸命、
わんわんわんって言ったりするじゃないですか。
キューン、って鼻を鳴らしりするでしょ。
ころころして、けなげで、
しっぽもふさふさでくるんとしてて。
──
それ、柴犬の話じゃんか。
あやや
いや、もう、ほんとうにすばらしいんですよ。
井上真央さん。いいんです。
森下
ともかく、真央ちゃんが
いいということは伝わりました。
荒井
うん(笑)。
あやや
で、この『明日の約束』ですけど、
久しぶりのドラマ復帰で、
いつ以来かというと『花燃ゆ』以来ですよ。
きれいになりましたよね。
森下
はい、大人の女優さんに。
荒井
『花燃ゆ』以来ってことは、2年振りですか。
あやや
そうなんですよー。
共演者を見ていくと、仲間由紀恵さんが出ます。
モンスターペアレント役ですよ。
これはあれですよ、
仲間由紀恵さんがときどき演じる、
くらーーいキャラクター、わかります?
『美しい隣人』とかの。
森下
ああー、わかるわかる、怖いときのね。
あやや
けっこう好きなんですよ、私。
仲間由紀恵さんと言えば、
きれいで、『ごくせん』のような
コミカルな演技もできて、
紅白の司会もできる国民的な女優さんですけど、
その仲間由紀恵さんが、
くらーーい役をされるのが好きなんです。
もう、この人、きれいだけど、
実生活、マジで怖いんじゃないかな?
って思うぐらい怖いんですよ。
で、ちょっと怪談顔じゃないですか。
──
「怪談顔」。
荒井
ま、まあ、怪談には美人が似合いますから。
あやや
幽霊顔なんですよ。
──
「幽霊顔」。
荒井
ゆ、幽霊っぽい、はかない美しさがあると。
あやや
井上真央ちゃんは柴犬。
仲間由紀恵さんは幽霊。
──
言いたい放題か。
あやや
そして、注目!
脚本は古家和尚さんです。
森下
『任侠ヘルパー』!
あやや
そうそうそう、
私、この方、けっこう好きなんです。
荒井
『異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』とか、
『幽かな彼女』とか。
あやや
いいんですよー。
このかたの脚本は、ちゃんとホロリとさせて、
救うところは救うし、厳しいところは厳しいし、
つらいんだけど、ちゃんと救いがあって、
エンタメとしてドラマを完結させますよね。
森下
安心感あるよね。
このドラマ、キャストもスタッフも
すごくしっかりとした布陣で、
ちゃんとつくってる感じがしますね。
荒井
演出がふたりついてますね。
土方政人さんと小林正則さん。
──
そうそう、前から訊きたかったんですが、
「演出」っていう立場の人は、
ドラマにおいてどのくらい重要なんですか?
あやや
どうですか、森下さん?
森下
すごく重要ですよ。
けっきょく、お話を生かすも殺すも
演出次第ですからね。
最終的には、演出の人が
現場でつくってくれるわけですから。
──
つまり、映画で言うと、「監督」に近い?
森下
まさに「監督」です。
──
ふーーん‥‥でも、それにしては、
映画だと「監督」ってバーンと出るけど、
ドラマの演出って、そんなに出ないですね。
それはなんで?
荒井
たしかに。
あやや
なんで?
森下
ええとですね、
「映画は監督のもの、ドラマは脚本家のもの」
というような考え方があって。
──
ほーーーー。
あやや
ああーー、言われてみれば、そうかも。
それは不思議に感じてました。
森下
むかしから言われてるんですけど、
映画は、だいたい1時間半とか2時間で、
それを撮っていくときは、
まあ、少なくとも、脚本がない状態で
撮りはじめるということは、
基本、ないわけですよ。
つまり、映画には完成した台本があって、
最後まで見通せる状態で監督は撮れるんです。
だから、責任持って大胆なアレンジが可能なので、
監督のものと言われる。
だけど、連ドラの場合は、スケジュール上、
10話なり13話なりの脚本が
撮影前にできあがってるということが少ない。
だから、演出家の方が、想像をたくましくして
自分の思う方向へ撮っていくと、
あとがつながらなくなる可能性もある。
──
なるほど、なるほど。
森下
だから、まぁ、どうしても
大胆なことができないわけです。
じゃあ、誰が責任を持つのか、って言ったときに、
それは脚本家なり、プロデューサーなり、
というふうになる。たぶん、その違いかなと。
あやや
はーー、なるほど。
──
いや、たいへんよくわかりました。
森下
と、私は思ってます。
違うことを言う人もいると思うけど。
荒井
いえいえ、説得力ありました。
あやや
そっかー。
森下
だからといってプロデューサーや
脚本家のほうがえらいとか、
そういうことではまったくないですよ。
現場はやっぱり演出のモノですし、
その意味では脚本家と演出家の
コミュニケーションがうまくいかないと
いろんな齟齬が出てきたり、
役者さんにしわ寄せが行ったりします。
逆に、役者さんと解釈を擦り合わせながら、
現場をまとめていくのも演出の人の仕事です。
あやや
じゃあ、同じ脚本家の作品なのに、
局によって、ドラマで仕上がりが違うのは、
あれは、演出家の違いですか?
森下
うーん、一概には言えないですねー。
演出家の違いもあるし、
プロデューサーが違えばトーンも違うし。
あやや
ああ、そうですね、トーンがね。
森下
ぜんぜん違いますよね、局によって(笑)。
あやや
宮藤官九郎さんも、
TBSのときと、日テレのときでは、
なんか仕上がりが違うなと思ってたんですけど、
演出によって、トーンが変わるんですね。
『ゆとりですがなにか』おもしろかったなぁ。
森下
あれの演出は、水田伸生さんですね。
荒井
演出って、基本的に、局の人なんですか?
森下
局の人のときもあるし、
制作会社の人のときもある。
たまに、映画監督がされることもありますね。
あやや
大根さん、この前、やってましたね。
森下
『ハロー張りネズミ』。
あやや
そうそうそう、おもしろかった。
いやあ、そっかー、納得しました、
ちゃんと聞いてみて。
──
ドラマの話に戻りましょう。
『明日の約束』の話です‥‥が、
しかし、これ、タイトルの
インパクトが薄いですね。
あやや
たしかに(笑)。
『明日の約束』ってねぇ。
荒井
似たタイトルの映画があったような‥‥。
──
『明日の記憶』?
あやや
あれ? 岡本太郎さんの壁画は?
──
『明日の神話』だ。
あやや
ボクシング漫画は?
──
『あしたのジョー』。
‥‥探さなくていいから。
森下
サイモン&ガーファンクル!
──
『明日に架ける橋』!
いいから、探さなくて!
荒井
で、タイトルはなんでしたっけ?
あやや
『明日の‥‥』、あれ?
森下
『明日の‥‥』、ほんとに、これ(笑)。
荒井
ほんとに、タイトル、ちょっと、
なんとかしたほうがいいですね(笑)。
──
『明日の約束』です!
あやや
ほかのキャストを見ていくと‥‥。
及川光博さん、工藤阿須加くん。
──
おっ、ソフトバンク、工藤監督の息子。
キャストの上から3番目じゃないですか。
あやや
すっごくいいんですよ、工藤監督の息子。
森下
よく出てますよ、工藤監督の息子さん。
あやや
いまや、「工藤監督の息子」じゃないですよ。
「工藤阿須加くん」ですよ。
──
へーーー。
あやや
永田さんが思うより、
工藤阿須加さんはすごいんですよ。
──
でも、あやちゃんが思うより、
工藤公康はすごいんだぞ。
荒井
それでいうと、
工藤公康さんの娘さんにして、
工藤阿須加さんの妹である
工藤遥加さんは、プロゴルファーですよ。
森下
工藤一家、すごい!
──
ぜんぜんドラマの話になりません。
荒井
これは、何系のどういう話なんですか。
あやや
実話をもとにした話で、
子どもが自殺しちゃう、ちょっと重い話です。
井上真央さんは高校のスクールカウンセラー。
自殺した子のお母さん役が仲間由紀恵さんで、
モンスターペアレント化して、
教師たちを追い詰めていく‥‥
というようなことかなと想像してます。
森下
湊かなえさん原作のドラマで、
こういうのありませんでしたっけ?
あやや
『贖罪』かな?
キョンキョンがやってたやつ。
森下
ああ、そうだ。
荒井
これは原作は?
あやや
原作はないみたいです。
オリジナルって書いてある。
「この世でいちばん謎が残る死の
 真相を解き明かす
 オリジナルヒューマンミステリー」
‥‥ヒューマンミステリー?
森下
ヒューマンミステリー!
荒井
また新ジャンルですね(笑)。
あやや
ヒューマンミステリーってなんだ?
人間的な不思議な話?
──
そもそも「ヒューマン」がよくわからないよね。
森下
なんとなく重いけど感動できる話のときに、
「ヒューマン」ってつける傾向がありますね。
──
だって「ヒューマン」って、人間でしょ?
あやや
でも、連ドラって、
なにかと「ヒューマン」なんです。
ヒューマンドラマとか。
──
そんなの、みんなヒューマンでしょ。
ぼくらはみんなヒューマンでしょ。
あらゆるドラマはヒューマンドラマじゃないですか。
あやや
いや、まぁ、そうなんだけど。
森下
あっ、でもね、今度はじまるはずだよ、
ヒューマンドラマじゃない、画期的なやつが。
主人公ひとりを除いて、
登場人物が「家具」とか「家電」なの。
洗濯機とか、照明とか。
あやや
うそ、なにそれ。
森下
なんか、深夜の時間帯で、
ジャニーズの子が主演してて‥‥。
──
ちょっと検索を‥‥‥‥これかな。
『吾輩の部屋である』。
(日本テレビ●月曜24:59~25:29)
あやや
ほんとだーー!
「炊飯器‥‥賀来千香子」だって(笑)。
荒井
「照明‥‥ミッツ・マングローブ」。
はっはっはっは。
森下
新しいジャンルだよねー。
人じゃないキャラクターのドラマ。
あやや
あれ? でも、考えてみれば、
けっこう昔からあるのかもしれませんね。
『オズの魔法使い』とか、
人間ひとりだけで、
あとはライオンとかブリキじゃないですか。
森下
それはまあ、そうだけど、
でも、人間が演じてるわけでしょ。
ブリキやライオンを。
あやや
あれ? そうなの?
でも、ヒューマンじゃないじゃん。
──
そんなこと言ったら『西遊記』だってそうだぞ。
マチャアキも岸部シローさんも
ヒューマンじゃないぞ。
あやや
あ、そっか、そっか。
森下
まあ、お話だけでいったら、
モノがキャラクターになってるお話は
けっこうありますよね。
『不思議の国のアリス』の卵とかね。
──
「さるかに合戦」なんか、モノだらけだぞ。
臼とか馬糞がキャラクターだぞ。
あやや
それはたしかにヒューマンじゃない!
荒井
すみません、これ、なんの話ですか?
あやや
と・も・か・く!
オリジナルヒューマンミステリーで、
久々に主演する井上真央ちゃんが
私はたのしみです!

ドクターX
~外科医・大門未知子~

テレビ朝日●木曜21時


森下
あっ、また、米倉サマがいるね!
あやや
はい、米倉涼子サマ、行きましょう!
『ドクターX』、なんと第5期です。
荒井
さすがにもう、語り尽くした気も(笑)。
あやや
いいえ、あります!
私、『ドクターX』で、
新たに語りたいテーマがひとつあります。
──
うかがいましょう。
あやや
まず、テレ朝は、「当たるぞ」と思った番組を
遠慮なくハイペースで回転させて、
どんどん消費していく、という特徴があります。
たとえば『アメトーーク』、
週2回になりましたよね?
もう、「当たる」となったら、
温存せずに消費しまくるわけです。
『相棒』も半年に1回やってて、
この『ドクターX』も半年に1回やる。
当たるコンテンツの回数を
めっちゃ増やすわけです。
そうなると質の低下が懸念されるわけですが、
おそらくテレ朝の方針としては、
とにかくいいコンテンツはいい時期に
どんどん消費し尽くす、と。
荒井
なるほど。
あやや
で、それに加えて、
この『ドクターX』のハイペースな放映には
もうひとつ、テーマが隠されていると思います。
はい、「それはなんですか?」と聞いてください。
──
それはなんですか?
あやや
「教えてください、お嬢さん」と聞いてください。
──
いいから、さっさと言え。
あやや
あのねぇ、私、思うんですけどねぇ、
半年に1回『ドクターX』をやってるのは、
大御所の俳優さんへの対策、
ということがあると思うのです。
荒井
ほう。
あやや
ご存じのように、このドラマには、
西田敏行さんも、岸部一徳さんといった
大御所の方々がいっぱい出てます。
で、言ってしまえば、そういった方々は、
年々、お歳を重ねていくわけです。
そういう方々は、たとえば、
インターバルが2年くらい空いたとすると、
「もう、あれはいいよボクは」と
なっちゃったりするんじゃないか、と!
だから、つまり、大御所の方々が人気のドラマは、
そういう大御所のみなさんが出てくださるうちに、
もう、どんどん出ていただく!
森下
はははは、なるほど。
──
おもしろいこと考えるなぁ。
あやや
「もう、仕事は映画だけに絞ります」
とかならないうちに、次々に出ていただく。
そういうふうにしてペースをおとさずに
ドラマをつくってくれるおかげで、
私たちは、半年に1回、
あのおもしろい西田敏行さんや岸部一徳さんを
観ることができる、というわけなんです。
森下
(拍手)
ほんとかどうかは知らないけど、
その仮説は、おもしろい。
荒井
たしかに、西田さんや岸部さんが、
見られなくなるのはいやですねぇ。
あやや
そう、だから、いろいろ言いましたけど、
こうやってまた『ドクターX』が
観れるのはうれしいな、っていうことです。
あの岸部一徳さんの「みちこ~」が、
また聞けるわけですよ。
──
そして、このドラマはあいかわらず、
大人気なんですよね?
あやや
そりゃもう、抜群の安定感です。
前回、4期にして、
平均視聴率20パーセント超えてます。
それを受けての5期ですからね。
荒井
20パーセントはすごいなぁ。
あやや
高値キープしてます。
──
すみません、ド素人発言しますが、
やっぱり、見るとおもしろいの?
あやや
ええとね、あのねー、
おもしろいといえば、
もちろんおもしろいんですけど‥‥
それ以上にね、「軽い」。
──
ああ、なるほど(笑)。
あやや
だから、これも、「ラク」。
森下
そのキーワード、よく出るね。
あやや
でも、重要ですよね、いまの連ドラに、
「軽い」とか「ラク」の要素は。
荒井
『ドクターX』って、医療ドラマのわりに、
いい意味でなんかテキトー感が
あるんですよね。
あやや
そう、手術シーンとかは、
精巧でリアルなんだけど、
設定が全体にほどよくテキトーというか
マンガ的なんですよ。そこがいい。
荒井
しかも下世話ですよね。
あやや
そうそうそうそう、すごい下世話(笑)。
荒井
医者同士が麻雀やってたりとか。
麻雀中にくだらない話をずっとしてるとか。
あやや
イヤなやつは、とことんイヤなやつとして、
醜い人間は、醜い人間として描かれる。
森下
ドラマの構造がはっきりしてるんだよね。
あやや
そのへんの構造も「ラク」なんです。
だから、ほかのことしながら気楽に見られる。
荒井
だから20パー行くんでしょうねぇ。
ある意味『水戸黄門』ですよね。
あやや
『水戸黄門』が旅番組になっていく中、
『ドクターX』は、
『水戸黄門』以上に『水戸黄門』ですよ。
──
時代劇的なわかりやすい構造があって、
勧善懲悪のスカッとした展開があって、
最後、決めゼリフがあって、みたいな。
あやや
そうそうそう、
「私、負けませんから!」
‥‥じゃなくて、なんだっけ?
森下
「私、失敗しないので」でしょ。
荒井
さんざん語って、決めゼリフを(笑)。
──
前も「倍返し」を言えなかったし‥‥。
あやや
はい、ええと、今回、
このドラマはゲストも豪華ですけど、
まず、大地真央さんが出演されるそうです!
森下
あ、そうなんだ。
あやや
ライバル的役割として
出る方もいらっしゃいますよね。
前回、泉ピン子さん、
前の前が三田佳子さん、
今回はゲストとして大地真央さんです。
荒井
草刈正雄さんも出るんでしょ。
あやや
そうそう、草刈さん、出るんですよー。
大御所が増えるのはすごくうれしい。
森下
野村周平くんとか永山絢斗くんも出ますね。
あやや
えっ、すごい!
荒井
ははぁ、「ゆとり世代の医師」として。
あやや
そういうところ、
ちゃんとチャレンジしてるのがさすがです。
時代劇的に同じ構造をくり返しつつ、
新しいところも貪欲に取り込んでいく。
森下
ちゃんとしてますよねぇ。
あやや
立派ですよ(拍手)。
あと、イケメンの俳優さんが増えるのは、
単純に、とてもいいことです。
なにせ、芸能人は「顔」ですから!
──
わかった、わかった。

新宿セブン

テレビ東京●金曜24時12分


あやや
つぎは、これです。
テレ東の『新宿セブン』!
荒井
金曜24時12分。深夜ですね。
あやや
このドラマはですね、いつもとまったく違う
紹介のしかたになりますが、
デザイナーのみっちゃんに登場していただきます。
みっちゃんは、このページの
デザインを担当しています。
はい、みっちゃん、いらっしゃい!
みちこ
おじゃまします、みちこです。
一同
(拍手)
あやや
なぜみっちゃんがしゃべるかというと、
この『新宿セブン』、
みっちゃんの友だちが脚本を書いているのです。
荒井
へーーーー!
森下
そうなんですか(笑)。
みちこ
はい、小寺和久くんといって、
高校のクラスメイトです。
森下
ほー。
あやや
小寺くんの脚本家デビューを
クラスメイトは応援してますか?
みちこ
はい、クラスメイト一同応援しています。
あやや
小寺くんは、どんな人ですか?
みちこ
KADOKAWAで働いてたんですけど、
2年ぐらい前に会社を辞めて、
「俺は脚本家でがんばる」と言って、
テレ東の50周年記念オムニバスドラマで、
湊かなえさん『望郷』の脚本を担当したんです。
あやや
あ、それ、見た見た見た!
おもしろかったですよ。
みちこ
ありがとうございます。
そして、ついに、このたび、
連ドラも手がけることになりました。
あやや
それが『新宿セブン』なわけね。
──
ええと、公式ページを見ると、
脚本は4人いらっしゃいますね。
山田能龍さん、山岡潤平さん、和田清人さん、
そして、いた、4番目が小寺和久さん。
みちこ
デビューしたてなので、名前も最後です。
あやや
これは4人で順番に書いていくのかな。
みちこ
企画を通したのは小寺くんらしいんですけど、
脚本家4人がそれぞれの担当回を
ふりわけられて書く、
そんな感じだと思います。
あやや
『新宿セブン』はね、私、原作読んでますよ。
新宿にある質屋の話だよね。
そこの鑑定士が主人公で、質屋なんだけど、
事件というか、トラブルも解決するみたいな話です。
主演はKAT-TUNの上田竜也くんで
ボクシングもやってたりしますから、
アクションも必要なこの役には
ぴったりなんじゃないでしょうか。
森下
なんか新宿とか歌舞伎町とか、
似合いそうな雰囲気もあるしね。
あやや
そうそうそう。
荒井
つまり、質屋を舞台にした、
探偵ものみたいな感じになるんですかね。
あやや
あ、まさにそういう感じかも。
森下
歌舞伎町の質屋さんって、
ほんとにいろんなものが
持ち込まれる感じがしますよね。
あやや
ああ、持ち込まれますよ、いろいろ。
チャカとか。
──
チャカ言うな。
森下
チャカとか入れちゃいますか。
あやや
そりゃ入りますよ、歌舞伎町ですから。
チャカ入れて、五千円とかです。
荒井
安い。
森下
安い。
──
安い。
あやや
歌舞伎町ですから、チャカは余ってます。
──
それ、原作の話?
あやや
いえ、適当です。
森下
あ、でも、資料に書いてあるよ。
「腎臓からブランドバッグまで、
 伝説の質屋が真実を鑑定する」って。
荒井
腎臓も預けられるの?
あやや
預けられます。五千円です。
──
安い。
荒井
安い。
森下
安すぎる。
あやや
まあ、そういう、
ヤバイ質屋という設定なんです。
なにしろ、『新宿セブン』ですから。
歌舞伎町の質屋ですからね。
ふつうの質屋じゃドラマにならないんですよ。
『群馬セブン』とかじゃ無理なんですよ。
──
『群馬セブン』だとね、
焼きまんじゅう預けたりするからね。
あやや
そうそうそう。
お醤油の焦げたいい匂いがしちゃう。
そんなんじゃドラマになんないですから。
ちなみに群馬は両親の故郷で、
私、焼きまんじゅう、大好物ですから。
──
焼きまんじゅうの話は、さておき。
あやや
そうそう、焼きまんじゅうの話はさておき、
みっちゃん、せっかくなので、
小寺くんのエピソードを教えてください。
小寺くんは、どういう子でした?
みちこ
ええと、高校のときは‥‥。
あやや
付き合ってたの?
みちこ
付き合ってないです。
森下
ぶはっ。
荒井
なんて下世話な質問を(笑)。
みちこ
小寺くんはずっと
柔道部の女の子のことが3年間好きで。
あやや
柔道部の女の子を?!
それ、いいね。
みちこ
ずっとフラれてました。
森下
やっぱ、フラれるときは背負投げとかで?
みちこ
あはははは。
──
いい。『うる星やつら』的な感じで。
「好きじゃー!」「いやーーー!」
荒井
バシーーン!
──
投げられるときは、手がこうなってる。
(両手を手影遊びのキツネのように)
みちこ
あはははははは。
あやや
小寺くんは、このドラマについて
なにか言っていますか。
みちこ
「脇役に、とてもいい方ばっかり揃ってます」と。
「ベテラン俳優陣のかたを揃えました」と。
あやや
田中哲司さん、野波麻帆さん、いいですね。
あ、夏木マリさんも嶋田久作さんも出るんだ。
いいじゃないですか。
みちこ
どうぞ、よろしくお願いします。
──
何話を担当したんですか。
みちこ
第8話だそうです。
あやや
じゃあ、小寺くんを応援する人は、
第8話を特に重点的に。
森下
重点的に観ましょう。
あやや
金曜24時12分は、テレ東の『新宿セブン』!
森下
たのしみです。
みちこ
ありがとうございます。
あやや
小寺くんによろしく!

刑事ゆがみ

フジテレビ●木曜22時


──
もう1本、いっときましょう。
あやや
じゃ、『刑事ゆがみ』を。
荒井
これも原作がありますね。
あやや
はい、原作、おもしろいです。
『弁護士のくず』を書いた
井浦秀夫先生の作品です。
森下
私も読みました。おもしろいですよね。
あやや
おもしろいんですよね、ほんと。
勧善懲悪とかじゃなくて。
森下
うん。主役がだらしない男で、
でもかっこいい、みたいな美意識?
あやや
そうそうそう、
だらしないし、ダメダメなんだけど、
それが人ってもんじゃないですか?
という感じの人間理解が
作品全体に流れていて。
荒井
主役の弓神刑事は浅野忠信さん。
あやや
こないだの『A LIFE』では
木村拓哉さんと対立する悪役副院長、
私、けっこう好きでした。
陰湿でイヤミな役でしたが、お見事でした。
荒井
主人公に対する微妙な感情が出ていて
よかったですね、浅野忠信さん。
森下
最近、ドラマによく出てらっしゃいますね。
荒井
そういえばそうですね。
前は、映画の人、というイメージでした。
あやや
一緒に出る神木隆之介くんも
ずっと映画ばっかりだったから、
連ドラは久々じゃないですか?
森下
ああ、そうかもしれない。
前、広瀬すずちゃんとドラマ出てたね。
あやや
『学校のカイダン』だ。
荒井
映画だと今年は『3月のライオン』ですね。
あやや
神木くん、連ドラは、2015年の
『サムライせんせい』以来だそうです。
坂本龍馬役でしたね。
荒井
キャスティングとしては、いいですよね。
このふたりのコンビネーションは、
けっこうおもしろいなぁと思うんですけど。
あやや
うん、うん、見てみたくなりますよね。
森下
犯罪者の心を読める
天才偏屈刑事が弓神が浅野さんで。
正義感の強い真面目デカが神木くん。
あやや
原作では、若い女刑事が上司的な立場で出てきて、
コンビみたいになってた感じがあったんですけど、
ドラマでは、神木くんとのコンビなんですね。
森下
男ふたりのバディものにしちゃおう、
ってことでしょうかね。
荒井
たしかに、このふたりのコンビは魅力的です。
森下
あっ、いま気づいたんだけど、
この脚本、シナリオスクールの後輩だ。
大北はるかさん。
『好きな人がいること』とか
『テディ・ゴー!』も書いてる人です。
──
脚本は3人が担当するようですね。
倉光泰子さん、大北はるかさん、藤井清美さん。
あやや
ぜんぶ女性の脚本家だ。
森下
刑事もので、バディものっていう、
男っぽい主題なのに、
女性3人が書くんですね。
あやや
最近、こういう男っぽいテーマのドラマも
女性が書くこと増えてきましたよね。
『コード・ブルー』の安達奈緒子さんとかが
成功しているというのもあるのかな。
荒井
枠はフジの木曜日の10時。
けっこう苦戦してる枠ですよね。
あやや
そうですね。
荒井
『セシルのもくろみ』が
なかなか厳しかったようで。
あやや
『人は見た目が100パーセント』も
苦戦してましたよ。
──
でもほら、神木隆之介さんは、
たしか、日本映画の興行歴代トップ3の
作品に全部出てるんですよ。
森下
へぇーーー!
荒井
そうそう、数字を持ってるともいえます。
あやや
ああ、それ、話題になってましたね。
森下
トップ3ってなんですか?
あやや
『君の名は。』でしょ。
荒井
『ハウルの動く城』、
あと『千と千尋の神隠し』。
その声優、ぜんぶ神木くんなんですよね。
あやや
すごーい(拍手)!
森下
持ってるんだねー。
じゃあ、期待できるかもしれない。
あやや
まぁ、ふつうに期待しちゃいますよね、
浅野忠信さんと神木隆之介くんのバディものなら。
森下
うん、うん。


(つづきます)
2017-11-04-SAT

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