永田 |
終わりましたねー。 |
西本 |
お疲れさまでした。 |
糸井 |
いやー、なんか、さびしいねえ。 |
永田 |
終わっちゃいましたねえ。 |
西本 |
最終回、よかったですね。 |
永田 |
うん、よかった。 |
糸井 |
よかったねえ。
オレがサーフィンやってたころにさ、
こういう番組を観たかったね。 |
永田 |
‥‥サーフィンですか。 |
西本 |
‥‥やってたんですか、サーフィンを。 |
糸井 |
うん。オレがサーフィンに夢中なころ、
こんなドラマと出会ってたらなあ! |
永田 |
サーフィンをやってたと言い張るわけですね。 |
糸井 |
なつかしいなあ! あのころ! |
西本 |
‥‥群馬、海ないじゃないですか。 |
糸井 |
あ。 |
永田 |
うまいこと言った。 |
糸井 |
いいじゃないか! 海がなくったって。
海がない県は
サーフィンやっちゃいけないのかよ!
川があるじゃないか、川が! |
西本 |
か、川サーファー! |
糸井 |
あと湖。 |
西本 |
湖サーファー! |
永田 |
どうして最終回の幕開けが
サーフィンなんですか。 |
糸井 |
オレがサーファーだったころに
見たかったという、讃辞だよ。 |
西本 |
だから、群馬に海ないですって。 |
糸井 |
なんでそんなにかたちにこだわるんだ。
サーフィンは心だよ。 |
西本 |
心で波に乗る、と。 |
糸井 |
そうだよ。ワックスとか塗るんだよ。
ビーチボーイズを聞きながら行くんだよ。 |
永田 |
USAじゃなく。 |
西本 |
群馬を。 |
糸井 |
群馬から長野を通って山梨へ行くんだよ。 |
西本 |
からっ風にのって。 |
永田 |
なんの話なんですか。 |
糸井 |
長野、山梨とサーファーは行くんだよ。 |
西本 |
トラベリングサーファー! |
糸井 |
イエス! |
永田 |
サーフィンの話はさておき、
最終回の話をしましょう! |
糸井 |
はいはい。 |
西本 |
いやあ、最後はふたりとも
ぐいぐい来てましたね。 |
糸井 |
当たり前じゃないですか。 |
永田 |
泣くに決まってるじゃないですか。 |
西本 |
ぼくは例によって泣かなかったですけど、
とってもよかったですよ。
先に自分なりの結論を言っちゃいますけど
落語ブームとかどうでもいいくらい
ひとつのドラマとしてたのしみました。 |
永田 |
おお。 |
糸井 |
最初からすごいこと言いますね。
落語ブームは落語ブームで
あっていいんじゃないですかね。
サーフィンブームもあったことだし。 |
永田 |
どうあってもサーフィンの話を続ける気ですね。 |
西本 |
落語がテーマだろうが、
芸がテーマだろうが関係ないほど、
ドラマとしてたのしめたということですよ。
最終回を観ての、いちばんの感想です。 |
永田 |
なるほどなるほど。 |
糸井 |
ぼくの感想のひとつは
「なんでオレはこんな映像を観ながら
泣いてるんだろう」っていうことですよ。 |
西本 |
といいますと? |
糸井 |
だって、荒川良々が演じる亀、
つまり、小汚い鼻たらしの男の子と、
女装した西田敏行が会話しているという、
「絵的には絶対泣けないところ」で
オレはものすごく泣いてるわけだよ。 |
ふたり |
わははははははは。 |
糸井 |
冷静になるとおかしいだろう。
それがこのドラマのマジックですよ。
止まった絵でみたら泣けるわけがないところで
なんでオレはこんなにせつなく泣いているんだ? |
永田 |
言えてます、言えてます。
ぼくは、「桃色バス」のピンク色の看板の前で
おかしな時代劇の格好をした
ふたりが見つめ合うところで
おいおい泣きましたから。 |
糸井 |
もう、いたるところでグッと来るんだよね。
いろんなところから、
どんどん波が押し寄せてくるんですよ。 |
永田 |
ビッグウェイブ、来てましたね。 |
糸井 |
ビッグウェンズデーですよ。 |
西本 |
金曜日ですけどね。 |
糸井 |
もう、なんていうの、こう、でっかい弓を、
きりきりきりきり最後まで引っ張って、
ぱーんっ! と放ったような最終回でした。 |
永田 |
しかも、その、
でっかい弓を引き絞ってるあいだにも、
途中で、小さい矢がぴゅんぴゅん飛んできて、
ぷすぷすぷすぷす刺さるんですよね。 |
糸井 |
そうそう(笑)。
細かい矢、あった、あった。 |
永田 |
でっかい矢に備えて盛り上がりながらも、
細かい矢にしょっちゅうやられるんですよ。 |
糸井 |
あれは、いわゆる吹き矢? |
西本 |
ええ。モンゴル兵の短い矢ですよ。 |
永田 |
しかも、吹き矢の矢じりに、
ぴりっとしびれる毒が塗ってある。 |
西本 |
そりゃしびれるわけだ。 |
糸井 |
オレはこの回、もう一回観るね。
土日のどっちかで、きっと。 |
西本 |
ちゃんと録画できてるんですか?
今日は野球で30分遅れで始まりましたよ。 |
永田 |
多くの視聴者が、最終回の後半を
録り逃していると思われます。 |
糸井 |
なめてもらっちゃ困りますよ!
うちの録画体制はばっちりです。 |
西本 |
おお、たのもしい。 |
永田 |
最近の家電の複雑さに
さじを投げていた
糸井さんらしからぬ発言ですね。 |
糸井 |
克服したんですよ!
ぼくはまずね、
『タイガー&ドラゴン』を録画して、
そのあとの5分番組も録画して
そのつぎの『恋するハニカミ』も
録画することにしたんですよ。 |
永田 |
めちゃめちゃ手動じゃないですか! |
糸井 |
番組と番組のあいだが一瞬、
切れちゃったりするのが難点なんだけどね。 |
西本 |
もっとこう、いまどきの家電っぽい、
「野球延長モード」みたいなやつがあるでしょ。 |
糸井 |
そういうのについては‥‥ええと、
昔のサーフィンには
そういうのはついてなかった! |
永田 |
なにがなんでもサーフィンを引っ張る、と。 |
糸井 |
ほら、いまはネットサーフィンの時代だし。 |
永田 |
「ネットサーフィン」という
ことば自体が古いでしょう。 |
西本 |
♪ニャニャニャニャニャ
ニャニャニャ〜ニャ〜ン
ニャニャニャニャニャニャ〜ン! |
糸井 |
‥‥それ、なに? |
永田 |
‥‥それ、なに? |
西本 |
『サーフィンUSA』の口まね。 |
糸井 |
ぜんぜん違う! |
永田 |
うろ覚えにもほどがある! |
西本 |
まあまあ、ドラマの話をしましょう。 |
糸井 |
そうなんですよね。
でも、最終回って、どうも
「もういいじゃないですか、
どこがどうだとかというような
細かいことはさ」
みたいな気分になっちゃうんだよね。 |
永田 |
わかります、わかります。
でも、言わないとはじまりませんよ。 |
糸井 |
まあ、ほんとうによかったですよ。
前半、虎児に帰る家がないっていうあたりは
ほんとうにさびしかったしね。
刑務所から出てきて、
虎児の顔が変わってたじゃないですか。
ぐわっ! という顔じゃなくて
ほー、みたいな顔をして。
あのあたりからもう、さびしかったね。
さびしくなかった?
にしもっちゃんはさびしくないのか。 |
西本 |
いえ、まあ。 |
糸井 |
どうしてにしもっちゃんは
ああいうときにさびしくないんですかね? |
永田 |
でも、グッときてることは、きてるんでしょ。
もしくは明日のニッポン放送での
オールナイトニッポンのイベント
(無事終了いたしました)のことを
考えているんでしょ。 |
西本 |
‥‥それは考えてるかもしれませんね。 |
糸井 |
明日は明日の風が吹くじゃないか!
風が吹いたら波がたつ。
波がたったら川サーファー。 |
永田 |
(無視して)
周囲を気にしすぎてるのかな。
にしもっちゃんって、
笑った後に周囲の反応みるじゃん。
「いまのはよかったッスね」みたいな。 |
糸井 |
政治的な笑いだね。
そんなことだから泣けないんですよ。 |
西本 |
いや、泣けないのはね、
ひとつトラウマがあるからなんですよ。 |
永田 |
あ、そうそう。
こないだはじめて聞いた。 |
糸井 |
なに? |
西本 |
ぼくは小学校のころの通信簿に
「泣かないようにしましょう」
とずっと書かれてたんですよ。 |
糸井 |
えっ。 |
西本 |
1年生の一学期は
「二学期は泣かないようにしましょう」
二学期は
「二学期はあまり泣きませんでした」
三学期は
「2年生になるので泣かないように」
みたいなことを書かれていたんです。 |
糸井 |
なんで泣いてたの? |
西本 |
とにかく、
ちょっとでも悲しいと泣いてたんです。
ちょっと怒られただけでもなくし、
道徳のテレビを観てても泣くとか。
あまりにも「泣くな」「泣くな」と
教育されているうちに
幼いころに抑制がかかりすぎたんでしょうかね。
それから悲しいことで
あまり泣けなくなってるんですよ。 |
糸井 |
思いがけず、ちゃんとした理由ですね。 |
永田 |
そうなんですよ。
つまり、構造としては、
幼いころのトラウマで笑いを忘れた虎児と
いっしょなわけですよ。 |
糸井 |
えっ、そう来るか。 |
永田 |
いわばにしもっちゃんは、
「糸井事務所の虎児」なんですよ! |
糸井 |
「糸井事務所の虎児」かあ‥‥。
それにしちゃあ、モテてないね? |
永田 |
どひゃあ。 |
西本 |
そんな比較、ありですか。 |
糸井 |
ざっくり言って虎児というのは
モテてる男じゃないですか。
それにくらべると、うちの虎児はねえ。 |
永田 |
まだ前座ですから。 |
西本 |
これからがんばらせていただきます。 |
糸井 |
でも、「泣かないようにしましょう」
っていうのはさ、みんな子どものころに
一度はそう決意するわけでしょ?
でも、オレはそれじゃ損だと思って
どんどん泣けるようにしようと思って
自分で引き立てましたよ。 |
西本 |
だからそれがうらやましいんですよ。
ふたりのように泣けることが。 |
糸井 |
スイッチを手にもつんですよ。
「おばあちゃん、
なにかあったら押してくださいね」
みたいなスイッチを持った
気持ちでいるんですよ。
それで押せばパーンと泣けるんですよ。 |
永田 |
最終回も脱線三昧だなあ。 |
西本 |
いや、ぼくは、この「テレビガイド」で
素直に泣く訓練をしている最中なんですよ。
最終回もほんと、泣きそうになりましたよ。
「タイガータイガーじれったいがー!」
と言いながら長瀬くんが
舞台から降りてくるところなんかは
それまでの虎児のキャラクターや
台本や演出を飛び越えた感じがしましたから
「よかったなぁ」と、グッときました。
11話までいろんなシーンがありましたけど
ラストシーンが
一番泣きどころに近かったですね。 |
永田 |
あそこは爽快に泣けたなあ。 |
糸井 |
よかったねえ。 |
永田 |
なんていうか、
オーソドックスな最終回でしたよね。
切なくて、あったかくて、
昔のドラマの最終回って
こんな感じのテンションだったなと
思いながら観てましたけど。 |
糸井 |
うん。最終回らしい最終回でしたね。
また、あの、いいところでお笑いにするという
このドラマのクセがすごかったですけど。 |
永田 |
泣きながら笑って、
笑いながら泣いて、という。 |
西本 |
あと、最終回はこれまでの出演者が
それぞれいいところを見せてましたよね。
なんだか総決算な感じで。 |
糸井 |
銀次郎なんてよかったよねえ。 |
永田 |
よかった! |
西本 |
よかった! |
永田 |
ドラマを通して助演男優賞をあげたいです。
全体を通して、虎児と銀次郎の関係は
どんどん引き立っていきましたよね。
ひょっとしたら、
宮藤さんが当初予定していたよりも
銀次郎のキャラクターって
ふくらんだんじゃないかなと思いました。
ちょっと乱暴な感想ですけど、
ぼくは「タイガー&ドラゴン」よりも
「タイガー&シルバー」のほうが、
物語の後半は見応えがあった気がします。 |
糸井 |
やっぱり、ヤクザという背景がありますからね、
物語がうねると動き出すキャラなんでしょう。
ただ、それも役者の演技が
あってこそでしょうけど。 |
西本 |
塚本高史さんですね。 |
永田 |
あの流星会の事務所のシーンは
よかったなあ。 |
糸井 |
思えば、このドラマって
みんなが自分に対して
「似合わないことをやっている」
って言い続けてるんですよね。 |
西本 |
竜二の洋服屋、虎児の落語家、
銀次郎の二代目‥‥。 |
永田 |
青森のりんご農家だったメグミ、
じつは本番に弱いっていうどん太、
鶴瓶さんの組長も‥‥。 |
糸井 |
けっきょく、万全っていうことはなくて、
流星会にしても、鶴瓶さんが引退して、
銀次郎が不本意ながら継いだら
安定したっていうことでしょう?
つまり、萩本欽一さんが言ってることと
おんなじなんですよね。
「自分は、いままで、
不本意な仕事ばっかりやってきたんだ」と。 |
西本 |
あああ、なるほど。 |
糸井 |
「似合わないですよ。
代わってほしいっすよ」って
銀次郎が言いますけど、みんなそうやって
似合わないようなことをやりながら、
不本意なことをやりながら進んでいくんですよ。 |
西本 |
欽ちゃんの話につながりますね。 |
糸井 |
だから、若い人って、
「自分の道が見つからない」とか
「ホントにやりたいことがわかりません」とか
言うんだけど、バカ言ってんじゃないよ、
ってこともいえるわけですよ。
みんな不本意なことをがんばって
こなしてるんですよ。オレだってそうですよ。
オレだって、もとは
群馬でサーフィンをやってたわけですよ! |
西本 |
おっと、ここでサーフィンに戻ってきたよ。 |
永田 |
うわあ。
ちょっとよさそうな話だったのに
台無しだわ。 |
糸井 |
いや、ここにつなげたくて
サーフィンの枕をしゃべったんだよ。 |
ふたり |
うそだね。 |
糸井 |
マジメな話に戻るとね、
こないだ、雑誌の取材で、
鶴瓶さんについてしゃべったんですよ。
で、「鶴瓶さんについて心配なことは?」
っていう質問があってね。
いまの話に通じるようなことを言ったんです。
「落語のことを
『やっと好きな道を見つけた』とか
あまり思わないほうがいい」と。
つまり、「落語がオレを呼んでる」とか
「オレには落語という道があった」とか
思わないでほしい、と。というのは、
鶴瓶のほうが落語より大きいんです。
落語は鶴瓶のなかにあるんです。
鶴瓶さんに限った話じゃなくて、
あらゆる人が、
なにか好きなものを見つけたときは
自分の中にそれがあるんです。
逆じゃないんだよ。
自分の外側に、知らないところに
なにか自分の道があるんじゃないかと
思ってるとわからなくなるんです。
不本意な道をね、行くんです。
「好きなことをやって」なんて
学生じゃないんですから。
不本意を生きるということなんです。
たとえば子どもがいてね、
ギャーギャー騒いでね、
泣くこと自体をかわいいとは
思えないかもしれない。
だけどそれを育てる。養う。そこですよ。
そのあたりがね、あの、銀次郎の気持ち?
表れてるんじゃないですかね。
だから、よかったねえ。 |
西本 |
よかったですね。 |
永田 |
よかったなあ。 |
糸井 |
オレもね、ほんとはサーフィンを‥‥。 |
西本 |
サーフィンはもういいです。 |
永田 |
サーフィンはもういいです。 |
糸井 |
ちょっとした照れ隠しですよ。 |
ふたり |
わかってますよ。 |
糸井 |
ほかに、よかったシーンはどこでしたか。 |
西本 |
ぼくがジーンと来たのは、
喫茶店で虎児がクセのない素直な落語を
つつーっとしゃべりはじめたときです。 |
永田 |
ああ、あそこもマジックだったね。 |
西本 |
あの3年の刑務所生活のあいだの積み重ねが
芸の土台を作って、
さらにあの落語がおもしろくなるんでしょうね。 |
永田 |
あそこ、ほんとに
「ずっと練習してたんだな」っていう
自然体の落語だったよね。
それが伝わってきてジーンとした。 |
西本 |
3年間、ひとりでマジメに修行してたんですよ。
刑務所で落語を覚えるシーンに、ぼくはつい、
「桑田ロード」をだぶらせて観てしまいましたよ。 |
永田 |
解説すると、桑田ロードというのは、
巨人の桑田投手がケガをして
二軍で長く過ごしたときに、
球場の外野のフェンス際を
来る日も来る日も黙々と走り続けて、
とうとうそこの芝生がはげて道のようになって
それが「桑田ロード」と呼ばれ、
二軍でがんばる選手を勇気づけたという話です。 |
西本 |
サンキューです。 |
永田 |
桑田投手も近日中に
いよいよ一軍復帰というニュースがありました。
心から応援しています。 |
糸井 |
サーフィンのつぎは野球ですか。 |
西本 |
サッカーの話もしましょうか。 |
永田 |
けっこうです。 |
糸井 |
けっこうです。 |
西本 |
あと、やっぱり、
みんながグッときたシーンでしょうけど、
鶴瓶さんと西田さんのやり取りですかね。 |
糸井 |
あそこねー。くるよねー。 |
永田 |
ほんとにヤバかったなあ。
今回、基本、半泣き状態で
表面張力でこらえてるような感じで
ずっと観てたんですけど、
あそこでもう、ダメですよ。無理ですよ。 |
糸井 |
西田さんと鶴瓶さんがどーんとぶつかると
やっぱり西田さんが勝っちゃうね。
しょうがないよね。それは職業違いだね。 |
西本 |
あれはエチュードみたいなもんですからねえ。 |
糸井 |
間とかが違うんですよね。
そこはもう、西田さんを中心に
キャスティングした
っていうことの勝利でしょう。
あのシーンはほんとうによかったね。 |
永田 |
西田さんは、
泣いてるときも、泣かせるときも、
コミカルがふつうに共存してるから
すごいですよねえ。両方があるから、
効果がどっちも倍増するというか。 |
糸井 |
また西田敏行を観たくなっちゃうね。
弟子の名前を継ぐっていうあたりも
いい話でしたね。
小さく「ハッ」とさせる展開で。 |
西本 |
二代目小虎のあとに小猫になるっていう
小さなどんでん返しで。 |
永田 |
寄席のシーンは辰ちゃんがよかった。
「おっ、『子別れ』だねえ‥‥」っていう
あのお馴染みのシリーズのセリフで
泣かされるとは思わなかった。 |
西本 |
違う芝居をしてましたよね。
ベタな泣かせかたかもしれないけど
尾美としのりさんの味が活きてた。 |
永田 |
ベタじゃないところで
変な泣きかたをしちゃったのが、
さっきも言った、
バスガイドパブの前で、
劇中劇の姿のどん兵衛と虎児が
会うところなんですよ。
あそこを、現代を舞台にしたまま、
しかもセットじゃなくて
ふつうの街にふたりを立たせたのが
ものすごく特別な感じがして、
「このカードを最後までとっておいたのか」
って思えて、うまさで泣けました。 |
糸井 |
独特の泣きかたですね。 |
永田 |
そうなんですよ。
「よくできていると泣けてしまう」という。
どうやってここにたどり着いたんだろう?
とか思いはじめると泣けるんです。 |
西本 |
あそこのシーン、ぼくは
フランキー堺さんの
『幕末太陽傳』を思い出したんですよ。
あれも古典落語を下敷きにしたドラマでしたし、
予定ではラストシーンは時代劇なのに
主役のフランキー堺が現代の街中を
走るシーンだったらしいのですが
当時、大反対をうけてそのラストシーンは
実現しなかったらしいんです。
でも、ここでは時代劇と現代が
ごっちゃになるところが実現したわけです。 |
永田 |
え? なになに? |
糸井 |
いきなりなにを言い出すんですか。 |
西本 |
昔、ぼーっと観てたんで
きちんとは覚えてないんですが
ちょっとアマゾンで注文して
観返してみようと思いました。 |
糸井 |
『ゴッドファーザー』は観たんですか。 |
西本 |
ばっちりDVDーBOXを入手しました!
まだ観てませんけど。
ところで、今回の、ドラマ全体を通した
MVPを選ぶとしたら誰ですか? |
糸井 |
それは長瀬くんですよ! |
永田 |
そうですね。長瀬さん、
最後の、高座が終わって
拍手を受けているときの、
「素」で放心しているような表情には
ジーンときました。 |
糸井 |
あれはファンになっちゃいますよ。 |
永田 |
なるなる。失礼ながらぼくは、
「演技する長瀬さん」を観たのは
はじめてだったんですけど。 |
糸井 |
農業してたり、魚釣ったりっていう
人として観てたんでしょ。 |
永田 |
ええ。もう、ほんとうに。
この子はまっすぐだなあ、
くらいにしか思ってませんでした。
失礼しました。
岡田さんもそうです。
あの、シャンプーのCMとか
出てるじゃないですか。
いままではただのいい男として
気にもとめてなかったんですけど、
いまは「お」と思って観ちゃいますね。
ドラマをずっと観てたから
思い入れが出るっていうんじゃなくて、
純粋に、才能ある人だなあと思いました。 |
糸井 |
岡田くんは『木更津』とかだと
もっといいですよ。 |
永田 |
そうらしいですね。 |
糸井 |
MVPの話に戻ると、
このドラマ、難しい役を要求されてたのは
なにせ長瀬くんだと思うんですよ。
彼に全員が共感するように
持って行かなきゃいけないわけでしょ。
で、軽々とそれを超えちゃってますよね。
それはやっぱりすごいなあと思いますよ。 |
永田 |
ベストの回ってどの回ですか?
全体を通して好きな回。
ぼくはやっぱり「猫の皿」が好きなんですけど。
あとは、「饅頭怖い」と「粗忽長屋」。 |
糸井 |
ええっと、いきなり言われると
むつかしいな。 |
西本 |
ぼくは毎回、
いちばん新しく観たやつが
いちばん好きです。 |
糸井 |
そんなのありですか。 |
永田 |
なに、口説き文句みたいなこと言ってんだよ。 |
西本 |
ぼくは毎回、
いちばん新しくみたやつが
いちばん好きです。 |
糸井 |
なんで2回言うんですか。 |
永田 |
糸井さんの好きな回は? |
糸井 |
どの回だったかくわしく言えないんですけど、
すごく覚えてるのは、
寄席の客席に荒川良々さんが
いろんな格好をして座ってたときなんですよ。
あの瞬間、
「このドラマはどこまでいっちゃうんだろ?」
って思ったんですよね。
あのへんまでって、その、回を追うごとに、
どんどんどんどんおもしろい人が登場する
っていう流れだったじゃないですか。 |
永田 |
あああ、そうですね。
おかしな人がどんどん出てきて、
しかもその一回で終わるんじゃなくて
レギュラーに加わっていく、
みたいな流れがありましたね。 |
糸井 |
うん。だから、
この調子でいくと
このドラマはえらいことになるぞ!
ってわくわくしたのがあの瞬間なんですよね。
こう、無尽蔵な感じがしたんです。 |
永田 |
なるほどなるほど。 |
糸井 |
あと、ゲストが印象的だった回でいうと、
古田新太さんと清水ミチコさんの回ですね。 |
西本 |
えーっと、「厩火事」ですね。
あの回は、古田新太さんが孔子をやった
劇中劇が最高だったなあ。 |
ふたり |
あったあった(笑)。 |
西本 |
思い返すと、印象的な場面だらけなんですけど。 |
糸井 |
今後はどうですか。
宮藤官九郎さんにどんなことを期待しますかね。 |
西本 |
このドラマって、定番ものとして
続編がつくれそうな感じですよね。
連ドラっていうよりも特番とかで。 |
糸井 |
ああ、そうですね。 |
西本 |
もしもあるとしたらそれは
ぜひ観てみたいですね。 |
永田 |
この11話って、糸井さんが前に言ったように
「タイガーストーリー」だったから、
ドラゴンがメインの2時間スペシャルとか
観てみたいですね。 |
糸井 |
また「何年後‥‥」
みたいなかたちでもいいしね。
コクのあるドラゴンを見せてほしいね。 |
西本 |
また、芸人として、いい感じで
壁にぶつかったりしててほしいですね。
テレビで売れたはいいけど、
寄席でうけなくなってたりとか。
寄席にあがるとキャーキャー言われて
けっきょく、誰も落語は聞いてくれないという
悩みを抱えてるだとか。 |
永田 |
あと、まったく別な期待としては
宮藤官九郎さんの
なんかゆったりしたものを観てみたいですね。 |
糸井 |
あああ、なるほどね。
「小津安二郎『東京物語』をクドカンで!」
みたいな。 |
永田 |
そんな感じです。宮崎駿さんが
『ナウシカ』! 『ラピュタ』!
とつくったあとに、
『トトロ』をつくったみたいな感じで。 |
西本 |
ぼくも、新しいものを期待しちゃいますね。
過去の観てないドラマシリーズを
観てみようかなとも思ったけど、
やっぱりつぎの作品が気になります。 |
糸井 |
あと、ぼくは、プロデューサーの
磯山さんっていう人が気になりますね。
彼女の描いたマンガも読んでみたんだけど、
やっぱり「ただの女の子だった」みたいな人が
この現場を束ねていくというのは
すごいことだと思うんですよね。 |
西本 |
あああ、興味ありますよね。 |
糸井 |
うん。現場の話とか聞いてみたいですね。
しかし、このチームは
終わるときはさびしいだろうなあ。 |
永田 |
ああ、そうでしょうねえ。
昇太さんが、自分のひとり会で、
芝居のスタッフの連帯感を称して
「お芝居は農業なんですよ!」
とおっしゃってましたが。 |
西本 |
このドラマはほんとうに
最後まで観ててよかったと思いましたよ。
ただ観てただけなのに、
ラストシーンはもうドラマの制作スタッフに
加わったような気持ちになりましたもん。 |
永田 |
制作スタッフに!
にしもっちゃんらしいほめかたですね。 |
糸井 |
西本さん、西本さん、
あなたはこのドラマの
制作スタッフじゃありませんよ? |
西本 |
えっ、ぼくはスタッフじゃないんですか? |
永田 |
もういいよ。 |
糸井 |
あああ、終わっちゃったなあ。
終わっちゃうと、さびしいなあ。 |
永田 |
終わっちゃうと、さびしいですねえ。 |
西本 |
おつかれさまでした。
お約束なので、最後にウンコ行ってきます! |
ふたり |
行ってらっしゃい! |
モギコ |
「ドラゴン、ドラゴン、無言電話!」 |
りか |
「会見会見、開高健、オーパ!」 |
あやや |
「ばいしょう、ばいしょう、
損害ばいしょう」 |
ゆーないと |
「どーん、どーん、どーん、
ビーバップハイスクール!」 |
モギコ |
そんなふうにムリヤリ景気よく
はじめてみましたが‥‥。 |
3人 |
終わっちゃったよーーーー! |
モギコ |
ていうか、今回はいつも以上に
男子部がこまかいことを
しゃべくりまくりやがっており。 |
あやや |
そうそうそうそう! |
りか |
いつもながら後攻めは不利ですね。 |
モギコ |
しかし!
残り物をきちんと拾っていくのが
女子部の伝統なり。 |
ゆーないと |
ハイッ! いっちょ行きます!
新流星会の「怖い顔の人たち」、
超うけたーー!
坊ちゃんのツッコミも完璧! |
りか |
なかでもいちばん
すごい顔をしてたのは‥‥。 |
3人 |
橋本じゅんさん! |
りか |
ほとんど白目でした! |
あやや |
ハイッ、行きます!
超強引に、「ナン」が登場!
「小虎さんじゃないですか!
サインください!」
ってナンを差し出す谷中ブラザーズ!
わからない人には
まったくわからないのでは? |
りか |
スペシャル版『三枚起請』の
デス・きよしのナンのエピソードを
ここにひっぱるとは! |
ゆーないと |
しかも落語のサゲまでナン! |
りか |
鶴子さん、また妊娠?
沙耶ちゃんがいきなり大きくなってたのに
ほとんど違和感なかった! |
あやや |
え? 大きくなってたの? |
ゆーないと |
気づかなかった‥‥。 |
りか |
それよりなにより、
こっそりおもしろいのは太郎ですよ!
髪の毛が天然パーマじゃないですか! |
モギコ |
え? それがなにか? |
りか |
だってどん太のチリチリ頭はヅラですよ! |
3人 |
ああああーーーー! |
りか |
ヅラをとると直毛でしょ?
ってことはなに? ヅラが遺伝? |
ゆーないと |
もしくはあの若さでヅラ? |
あやや |
芸人英才教育? |
モギコ |
それでは私もひじょうに細かいことを。
劇中劇の場面、大工姿の長瀬くんを
思わず「弥次さん!」って
呼んでしまった人は多いはず。
江戸の町と思われるあの場面、
『真夜中の弥次さん喜多さん』で
弥次喜多が江戸をたつときに
ダンスを踊ったあのシーンと
まったく同じ場所だったような。 |
あやや |
そうだ、そうだ!
どうりで、
どこかで観たことがあると思った! |
りか |
ひょっとすると『新選組!』でも? |
モギコ |
未確認ですが、
同じような場所はありました。
1.竜馬と相撲をとるあたり
2.山口一(後の斉藤一)が
借金取りをするあたり
3.黒船を見に行く時にわたる橋のあたり
ではないかと。 |
3人 |
さすが幕末&チョンマゲ好き! |
モギコ |
♪ラーラーラーララララー。 |
ゆーないと |
辰っちゃんのヨメ、笑った!
浅草サンバカーニバルで出会った
ブラジル人!
しかもそばアレルギー! |
あやや |
ジャンプがヨゴレ芸人に!
熱湯ブロにどん太のうしろから
そ〜〜〜っと入ってたのがうけた! |
りか |
細かくファッションチェック☆
リサちゃん! 代理店長になって、
アイライン強めのきりり顔もかわいい。 |
モギコ |
‥‥むーーーーーー。
男子部の語ってない部分を、
細かく突いてはみたものの‥‥。 |
あやや |
やっぱり言わせろーーーー!!
一番の号泣スポットは、
どん兵衛師匠と、鶴瓶組長のところ。
どん兵衛師匠が、
「ここに座ってたんだよ!
3年前まで!
なんでいまいないの?
家族だと思ってもさ、
やっぱ家族じゃないから、
会いたいときに会えないから
だからつらいんじゃねえかよ」って。
もう、あそこ、泣きすぎて、大洪水!! |
ゆーないと |
そうそうーあたしも
あそこが一番きましたよー。
「なんでいないのぉ???」
子どもみたいに、ストレートに。
そうだよねーそうだよねー。 |
モギコ |
「オレだって迎えにいきたかったよ」の、
あそこで、
泣きすぎて観るのいやになったくらい。 |
りか |
わかるわかる!!
「ここに座ってたんだよ!
なんでいないの?」って、
わーん。いま思い出しても泣ける。 |
3人 |
わーん。 |
りか |
もうこうなったら、泣きどころ、大解放☆ |
あやや |
みんなから愛されまくりの虎ちゃん!
太郎が壊れたにせロレックスを
持っていたのを見て、
どん兵衛師匠は裸足で、
竜ちゃんは、めぐみのサンダルをはいて、
すっごい勢いで家を飛び出す!
じーーーんときた。 |
ゆーないと |
大慌てでねー。みんなかわいかったわ〜。 |
モギコ |
流星会での銀次郎のかっこよさは
男子部がさんざん語ってたけど、
部屋を出ようとする銀次郎に、
虎児が言ったセリフが泣けた! |
あやや |
「おい、銀次郎よぉ!
‥‥すげぇ似合ってるぞ!」
あそこの男どうしのやりとりは、
しびれたねええええ。くううううう。 |
ゆーないと |
あれは女にはマネできない!
つーか女にはないですよね、あの感じ!!
うらやましいわー。
超かっちょえーっす。 |
りか |
同感☆ きゃ☆ |
ゆーないと |
あたしがグッときたセリフは、
竜ちゃんの、
「うぜーんだよ!
やりてえと思ってること、
他人にやれって言われるの、
すっげーうぜーんだよ!
オレもわかりますよ。
あんときのあんたの気持ち。
やりたいものを、
人にやれって言われるのが、
どんなにうざってーか、わかるだろ!」
竜ちゃんが落語に戻るとき
背中を押したのは
うざったい虎ちゃんだったから、
今度は逆に、竜ちゃんが背中を
ってゆーか、
手を引っ張ったんだね〜〜。
ナイスコンビネーションだよ、
タイガー&ドラゴン! |
3人 |
タイガー&ドラゴン! |
モギコ |
名残は惜しいところですが、
最後の挨拶をきちんとするのも
ほぼ日テレビガイド女子部の伝統なり。 |
りか |
みなさん、
長々とお読みいただき‥‥。 |
4人 |
どうもありがとうございましたー☆ |