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森へむかう坂道を降り切ると、 そこは、緑の濃さと 空気がまったく違いました。
前日まで降っていた 雨のおかげもあったとおもいますが、 空気はしっとりと水気をふくんで、 緑につつまれるような気配がありました。
いままで、森をあるいた経験は いくつかありますが、 そのどことも違う、 清浄さを感じたのが印象的でした。
そんな中をあるいていて、 倒木をふとみると、 きのこ的なものが、 がぺたっと付いています。
第二きのこ発見! 新井さ~ん、これは何ですか?
「これは、サルノコシカケの 幼菌の状態ですね。」
ムードがかわったと思います。 ここまでずっと 「たのしい!」だけで わいわいやってきた旅でしたが、 森にすこし、真剣にさせられました。 やや真面目になりました。 |
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針葉樹が中心の阿寒の森で、 いちばん目にすることが多いと思われる、 サルノコシカケの仲間です。
きのこは森の「分解者」などと言われ、 枯木や落葉などの有機物の多くを、 無機物に戻す働きをしています。 森が、倒木や枯葉だらけにならないのは、 他ならぬ、きのこたちのおかげ。 ありがたや、ありがたや。
すぐに腐ってしまうきのこが多いなか、 数年~数十年にわたって成長し、 お猿さんが座れるほどになった ツガサルノコシカケは、 (北海道には 野生の猿は棲息してませんが) 鑑賞対象としても見ごたえがあります。
(写真/新井文彦) |
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相変わらず、 きのこはあちこちに。
朽ちた木の中に ちいさなかわいいのを 発見しました。 全体の感じがいいなー。
きのこは、単体で ぽこっと生えていることも 多くあるけれども、 コケや倒木や岩石が 一体となって、 なんだか、美しいオブジェになって そこにある、ということもありました。 言うなれば、自然のつくった 「寄せ植え」です。 密かに、こういうふうに 全体で楽しむきのこを 「寄せ植え系」と名前をつけました。 |
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それが、倒木である限り、 きのこたちは、淡々と、 しかも、確実に、 「仕事」をこなすのであります。 針葉樹の仲間では、 スギやヒノキは 比較的腐りにくいようですが、 マツの枯木や倒木には、 すぐにきのこが発生します。
まず、サルノコシカケの仲間が現れ、 それから次々に様々なきのこが顔を出し、 ヒメカバイロタケが 見られるようになったら、 そろそろ、最終段階。 試しに、その枯木や倒木を触ってみるなら、 指がすっと刺さり、 ぼろぼろと崩れることでしょう。
この世に生を受けたマツという植物が、 きのこたちの力を借りて、 その命の灯をだんだん小さくしつつ 無機物へと戻る、 最後の階段を登っているわけです……。
「死は生の対極としてではなく、 その一部として存在している」
という、 村上春樹の 「ノルウェイの森」の一節を、 ついつい思い浮かべてしまいます。
(写真/新井文彦) |
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這いつくばりまくります。 とにかく常に地面を見て、 進むんだけど、 それだけじゃないんですよ。森は。 とにかく、前後左右上下 見るところが多すぎて、 もう、忙しい! この忙しさ、たのしんだなぁ~。
きのこを発見したとき、 写真を撮ろうとすれば、 「全景を撮る」ということではなく、 どうも、接写したくなるようでした。 その、ちょっとおかしい形は、 ディテールまであとで楽しみたい、 という欲望が出てきます。 とにかく、 カメラのチューリップのマークを ばりばりと押して、 合わないピントを合わせていきます。 正直、己の柔軟性を呪い、 地面に身を投げ出して写真をとりたいと なんども思いました。 |
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森に入る前から なんとなく気になっていたんだけど、
さんの リュックから出ている あの棒はなんだろう? |
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「苔むす」というのは こういうことを言うんでしょうねえ。 ものすごい、 「苔むして」います。 こういうのがほんとうに、 あちらこちらにあるんですよ。 たぶん、この1カ所だけでも、 1日飽きずに 眺めていられると思います。 |
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森の迫力にのまれて ちょっと真面目になってましたが、 こういうことも きちんとやっておかないとね!
彼女はこの日、 「最良のきのこ頭」で、 阿寒の森に臨みました。 美容院で整えてきました!
「森の中の、きのこ(私)」 この1枚が撮りたかった! 木々の緑に赤いカッパが映えます。 |
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コケも、きのこと同様、奥が深いです。 日本で見られるコケは、 一説によると、2000種類を超えるとか。
ぼくは、なぜ、 これほど、きのこが好きになったのか、 うまく答えることができないのですが、 全国各地にいるコケ好きの人も、 きっと、同じ想いをしているのでは。 そう、嗜好に理由なんぞいらないのです。
目の前にある倒木に、何種類もの、 きのこやコケが生えているのを見ると、 思わず嬉しくなってしまいます。
(写真/新井文彦) |
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先頭を行く新井さんとイトイさんから すこし離れてしまいました。
追いついたら‥‥。 小川に架かる橋の上で‥‥。 |
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このとき糸井さんが撮った写真です。 下に、テープに残されていた 新井さんとのやりとりを。
新井「この橋からの眺めが きれいなんですよ」
糸井「わ、うわぁ‥‥‥‥」
新井「ガイドじゃない日も わざわざみにきたりしてます」
糸井「きっれい、きれいだなぁ‥‥ こんなきれいな‥‥あれ‥‥? 涙が出てきちゃった。 涙とよだれが(笑)」
新井「ああ(笑)」
糸井「なんでもない、 なんでもないんですけどねぇ」
新井「‥‥‥‥」
糸井「人がつくろうと思ったんじゃ できないものなんですよねぇ」
新井「‥‥‥‥」
糸井「まいったな、 なんで泣けるんだろう(笑)」
新井「‥‥‥‥」 |
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社長の目から 水が出ていることを知って、 正直すこし戸惑いました。 でも、じわじわと‥‥ ぼくらにもわかってきます、 この景色のすごさが。 きれい‥‥としか言えないのですが。
目から水が出ているあいだ、 黙って横で待ってくれている 新井さんは ほんとにすてきな ガイドさんだと思いました。 (写真でもその感じが わかりますよね)
これは、びっくりした。 びっくりしたけど、 うなづける。 それほど、感動しました。
きのこツアーの後方につけていたのと、 きのこを探して 足元ばかりをみて歩いていたので、 先頭にいる さんが 何をみているのかは最初わからず、 顔をあげて、あたりをみまわしたときに、 何がおきたのか、一気にわかりました。 そして、 同じことが自分にも起きましたが、 ぐっとこらえてみました。 こらえる意味は無いんですけどね。 |
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伝えきれないとは思います。 でも、このときぼくらが すばらしいと思った景色を すこしでもここで おすそわけできたらと思います。
阿寒の森の ちいさな橋の上からみえる景色。 撮影は、迷彩服の男 です。 |
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ときどきチリンチリンと鳴っているのは
新井さんのリュックについている
クマよけの鈴の音です。
しばらく森の時間をおたのしみください。
動画を大きいサイズで
ご覧になりたいかたはこちらへどうぞ。
(あすの更新に、つづきます!) |
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