有吉が、 窓から風を 入れましょう。 有吉弘行+糸井重里

第8回 苦手なことはしたくない。
糸井 こんなにも任せられてる
タレントさんは、
大物以外、いないですよ。
だって、講義みたいなコーナーで
台本渡されずに
放っておかれるわけでしょ?
有吉さんは新しいジャンルを
つくったと思います、ホントに。
有吉 そうでしょうか。
糸井 オレが担当だったら、いま「有吉」に
15分の冠番組をやらせたらどうか、という
営業をすると思います。
有吉 ホントですか!
糸井 うん。ただし15分番組ね。
時間が長いと
自分の苦手なことが混ざるでしょ?
有吉 はい、おっしゃるとおりです。
糸井 いちばんいいのは、
「裏」スター千一夜です。
つまり、誰が来ても、自分の台本でやる。
自分がかなわない人は呼ばない。
有吉 絶対に(うなずく)。
糸井 なんとかいじれる人だけを呼んで、
深夜に毎日15分。
おもしろいと思うよ。
有吉 うん、うん、そうですね。
糸井 誰か、くれないかね、15分枠。
有吉 なかなかくれないですよ(笑)。
糸井 ヘタだと言われながらでも、
毎日15分やってれば、
なんとかなるんだよ、絶対ね。
ヘタであっても、気にならない。
その自信は、あるでしょ?
有吉 はい、それは大丈夫です。
糸井 ねぇ(笑)?
たぶん、そのあたりの幹が
しっかりしたんでしょう。
有吉 はい。
糸井 でも、有吉さんの、
「苦手なことはしたくない」というところは、
活かしたほうがいいと思うんです。
有吉 そうなんですよね。
だけど‥‥やっちゃうんですよ。
糸井 やりたくないことを
どうやって上手に避けていくか、
これは問題ですね。
有吉 仕事がなかった時期は、
もしももう一回仕事が来たら、
今度はほんとうにわがままにやろうと
思っていました。
だけど、実際は
何でもやっちゃうんですが。
糸井 (上島)竜兵会のつながりは
いまもあるんですか?
有吉 はい、あります。
芸能界、いろんな派閥が
いっぱいある中で、
「なんであの泥船に乗ってるんだ?」
って(笑)、みんなが言います。
ホントに小さい派閥なんですが、
とても居心地がいいです。
糸井 テレビの世界で
「ほんとうにフリーである」
という状態は、もう成り立たないですね。
有吉 はい。
上島さんと飲むようになって、
一緒にテレビに出たときに、
「あ、派閥に入ってると
 こうやって助けてくれるんだ」
ということがわかりました。
話を振ってくれたり、
プライベートの話をまぜてくれたりして‥‥。
糸井 なるほど。
有吉 ぼくは、人づきあいなんて、
いらないと思ってたんです。
糸井 うん。
有吉 ですけど、そこで、
生まれてはじめて
ちょっと感じました。
でも、それを広げようとは
思わないんですけども。
糸井 ほんとうはひとりで成り立ったほうが
いいと思うんですが、
いまのテレビが、もはや
ひとりで成り立たせてなるものか、
というところまで
いっぱいいっぱいになってしまいましたね。
有吉 はい。
糸井 ひとりで成り立たせてる人の
いいお手本のおひとりが
イッセー尾形さんだと思うんです。
(笑福亭)鶴瓶さんも、
じつはひとりだと思う。
有吉 ああ、なるほど。
糸井 鶴瓶さんはめずらしい人です。
素人のところへ出かけていくときも、
新しい人を呼ぶときも、個人プレーです。
芸人さんたちはね、もっと
「イッセーさんや鶴瓶さんがいるじゃないか」
と思ったほうがいいと思う。
有吉 うん、そうですね。
糸井 有吉さんがいまいる場所というのは、
派閥を大事にしつつも
フリーの仕事もできてる、
そのあたりなんじゃないかな、と思います。

(続きます)

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2009-11-18-WED