ほぼ日 | 少年時代、赤塚さんのマンガを 読んでいらっしゃっいましたか。 |
ました、ました! 当時、テレビで『おそ松くん』やってたんです、 モノクロでね。 「♪チャラララララリン、 ろくーにんそろえば、 チャッチャチャ、なんーでもやるぜ、 プップー♪」 |
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ほぼ日 | そんな歌だったんですか。 |
そーそー。 でも、親に隠れて見てました。 けっこう言葉が悪いし、 ポカスカ殴るしで、 親の眼を意識して、 ちょっと自粛しながら見てました。 「親、いないな」って 確認してからじゃないと 見てはいけないような感じだったんですよ。 |
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ほぼ日 | マンガも隠れて読んだり? |
友達んちでよく読んでました。 うちは、マンガの本とか あまり買ってもらえなかったし、 お小遣いも少なくて買えなかったし。 |
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ほぼ日 | 祖父江さんは、登校時に 道ばたの草の匂いとかを 嗅ぐ少年だったんですよね? |
アリの匂いとかね。 あ、つぶしたらこういう匂いかぁ、とかね(笑)。 |
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ほぼ日 | じゃあ、マンガを読んでる暇なんて‥‥。 |
いや、そうでもないよ。 ひばり学級で読んでた。 そうそう、ひばり学級(机をバシバシ叩く)! |
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ほぼ日 | ひばり学級? |
あのね、小学校で 授業が終わっちゃうと、 カギっ子は、おうちに帰っても だれもいないでしょ? そういう子は、校内にある、 「ひばり学級」に行くんです。 カギっ子の専門学級。 そこで5時までいていいんですよ。 「下校の時間です」という放送が流れて、 6年生の子が 「もう帰りなさい」と回るんだけども、 「ひばり学級です」って言うと、 「ああ、じゃ、きみはいいよ」と 言ってくれるんです。 ひばり学級ではおやつも出たし、 漫画も置いてありました。 そこに「少年マガジン」もあったんです。 ひばり学級には毎週新しい号が届くので、 ぼくは熱心に読んでました。 それが小学校の低学年のとき。 |
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ほぼ日 | 「マガジン」だから、 赤塚作品はバカボンですね。 |
うん。 ……でも、『天才バカボン』は 途中で「マガジン」から「サンデー」に 引っ越しするんだけどね。 |
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ほぼ日 | 人気連載が途中で ライバル誌に移動するというのも 前代未聞ですよね。 |
うん(笑)。 来週から『天才バカボン』は 「少年サンデー」に載ります、って、 おっかしいよねぇ。 引っ越すほうも引っ越すほうだけど、 引っ越させるほうも引っ越させるほうだ。 |
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ほぼ日 | ひばり学級に通っていた 低学年のときから、 『天才バカボン』は おもしろく読まれてました? |
「マガジン増刊」のバカボン号は、 何度も読みました。 そのころはね、『天才バカボン』も はじまったばかりだったから、 わかりやすいギャグマンガだったの。 人情ものもあっておもしろい。 そのうち、どんどん壊れてくるんだけど‥‥ |
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ほぼ日 | 壊れてくるんですか。 |
うん。 それにあわせて自分も成長していったから 「壊れていく」おもしろさに同調できて ちょうどよかったんだよね。 あの‥‥カメラ小僧が表紙の巻、どれだっけ。 えーっと、そ、クルクルキシンくん、この巻。 |
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ほぼ日 | 14巻ですね。 |
14巻が出たのは、1973年。 1973年といえば、 ちょうどぼくが中学生のときですね。 内容が年相応な感じに進んでいってくれて、 ぼくは幸運な読者だったと思います。 1巻目は小学校の2年生で わかりやすく安心なギャグだったのが、 高学年になると、キョーレツなギャグになり、 中学のときには『レッツラゴン』ですもの! |
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ほぼ日 | 『レッツラゴン』は「少年サンデー」で 連載してた、すごくシュールだと 言われてるマンガですよね。 |
うん。『レッツラゴン』は ちょっと行き過ぎてて、 最初、ぼくにはよくわからなかったんです。 このマンガは ギャグの最終形ですよね。 |
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ほぼ日 | いま、新刊では 手に入れるのが難しいようですね。 |
これは、あまりにも危険なギャグなんです。 子どもが読んだら、どう受け止めるのかな? 完全版は、ごま書房から出ていたようだけど、 いまは、書店から消えちゃったですね。 あと、オンデマンド版が 小学館から出てましたね。 |
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ほぼ日 | どんな内容なんですか? |
手とか足とか、どんどん切っちゃったりするし、 マンガのキャラクターも めちゃめちゃな設定で、 オチもない。 親は子の世話をしないし 子は父ちゃんの面倒なんか受けたくないと言う。 同じ屋根の下にいて、 それぞれが独立して生活してるんです。 ベラマッチャというクマもいて、 で、とにかく‥‥究極です。 |
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ほぼ日 | でも、人気があるということは、 当時の祖父江少年も? |
当時は、よくわからなかったけど、 大人になって読み返すと快感でした。 これは「笑い」を超えてるんです。 |
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ほぼ日 | すごい。 |
ずごずぎる。 『レッツラゴン』は要注意です。 |
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(つづきます) |
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