PHOTO /NAGANO YOICHI

2019年12月6日(金)販売スタート!

前作の『うれしいセーター』から3年。
ニットデザイナー・三國万里子さんの新刊が出ます。
発売は、2019年12月6日(金)です。
2年かけて着々と用意してきたもので、
『 I PLAY KNIT.』といいます。

三國さんにとって編みものは、
締め切りや約束事がある、
という意味では「仕事」だけれど、
でも同時に「遊び」でもある、と言います。
そんな思いが、ひとつひとつの作品、写真、
そして巻頭ページに散りばめられた言葉からも
伝わってくるような一冊になりました。

演奏するように、遊ぶように
編まれた新作を16点収録しています。

予告の第1回目は、
この書籍の編集に携わった

それぞれの思いを語ります。

アイデアとセンスがたっぷり。
三國さんのPLAYを楽しんで。

三國万里子さんと初めてお会いしたのは、
今からもう9年くらい前のこと。
三國さんが2冊目の本を出版するので、
その本の応援をしよう! と展覧会を取材し、
三國さんにミトンを編んでもらう
動画中継をしたのが最初期の仕事です。

その頃から三國さんはしゃべる言葉がきれいで面白くて、
仕事にストイックで、朝は4時には起きて仕事に取り組み、
でも私は家庭の主婦だから、と言って
毎日、編む仕事だけでなく、
お母さん業も楽しんでやっていらっしゃるようでした。

ミトンを編む動画中継後、
三國さんの編む仕事に取り組む姿、編み上げるものの美しさに
糸井をはじめとして、ほぼ日乗組員一同夢中になってしまい、
三國さんにはほぼ日からの仕事が殺到します。
しかもどれも短い締め切りばかり。

でも三國さんは一度も「これはできないかも」とはおっしゃらず、
ほぼ日のお調子ものぶりに、やさしく笑いながら
軽やかにひきうけてくださいました。
時間がない中の仕事でも
三國さんのメールは三國さんの声が聞こえてきそうな
やさしさとユーモアが漂い、
新作の納品は、ご自身の手持ちで持ってきてくださいました。
きっと私たちが作品の最初の観客として
喜ぶかどうか、どんな風に味わうのか、
作品の完成を一緒に喜べるのかどうか、
早くできあがった作品をいっしょに見たい、
というお気持ちでいたのでしょう。
わたしは、仕事への取り組み方の姿勢の多くを三國さんから
教えていただいたと思っています。

本が好きで、洋書のニット本は
原文のまま読んでいらっしゃる様子です。
そして、ファッションが大好きで、
古着屋さんに若い頃から親しんだ成果が
作品のシルエットに現れています。

いろいろな仕事を軽やかに
仕上げていく三國さんが、
ぐぐっと膝をまげて力をこめて
渾身のジャンプをするように作るのが、本です。

「I PLAY KNIT.」は、そのタイトルどおりの思いを
ぐつぐつとさせながら、
2年の歳月をかけて作られ、
三國さんが考えた仕掛けがいっぱいの1冊です。

グラビアのページ数は多め、
編み方解説ページもめくるのが楽しくなるような
キャラクター付き、
作品のスタイリングも三國さんがみずから手がけました。

はじめの頃は本業は主婦、と言っていた三國さん。
2012年に、アラン島へ一緒に行った時、
入国カードの職業欄に少し悩んでから「knitter」と書いていた三國さん。
2014年にロンドンへの旅行の時の入国カードには
「knit designer」と書いてるのをこっそり発見して
(三國さん、勝手にすみません。)
わたしは飛行機の中でちょっと泣きそうになりました。

編みものの道を自分のやり方で切り開いてきた三國さん。
「I PLAY KNIT.」の作品たちは、
どれも編むたのしみと、着たときの愛嬌があって、
あなたの手で編みあげた時には、
たくさん遊んだあとのように、
じんわりと満足感を感じられるに違いありません。

三國さんの「今」がぎゅっと詰まった作品集。
ぜひ読んで、編んで、着て、
まるごと楽しんでいただけたらうれしいです。

手ざわりのあるニット。
そして、そこから広がる喜び。

わたしが三國万里子さんと
お仕事でご一緒するようになったのは
前作『うれしいセーター』が刊行される少し前のこと。

「今度、こんな本が出るんだよ~」と
先輩の山川に見せてもらったときは、
いち読者として驚きました。
登場するひとりひとりに宛てて編まれた、
お手紙のようなセーター。
それは「洋服」以上の何かに感じられて、
編みもの初心者だったわたしでも
三國さんの生み出すものたちに、
わしっと心を強く掴まれたのでした。

それから3年。
今回の『I PLAY KNIT.』も
ページをめくるたびに、
「これが自分で編めるのー?」とわくわくする
魅力的なアイテムが次々現れてきます。
また、三國さん自身の手によるスタイリングは
新鮮で、かなりおしゃれ心をくすぐってくるので
編む前からもう、
「私ならこのニット、どうやって着よう?」と
うずうずしてしまいます。

そして、
もの自体の可愛さもさることながら。
編み図ページを見ると、
よりシンプルに、より楽しく編めるようにと配慮された
三國さんの温かな工夫がそこかしこに感じられます。

先日、三國さんが出演されたテレビ番組のなかで
MCの三浦春馬さんが、編みもの体験をされて
「女の人たちって、こんな楽しいことしてたんだ!」と
顔をほころばせていました。

そうそう、そうなんだよー!と
両手をあげて言いたいです。

わたしは、三國さんに出会ってから編みものを始めた
まだまだ3年生のニッターですが
編んでいく過程が、ものが出来上がっていく過程が
そしてそれを装えることが
ほんとうに楽しい。
ファッションに興味のある方なら、
素敵なものを愛でる幸せ、それを纏える幸せに
共感していただけるのではないかと思います。

昨年連載していたコンテンツ
「編んで着て、ときどきうろちょろするわたし」の中で
三國さんがおっしゃっていた言葉を
ここで引用させてください。

先日会った友人が、
「たくさん転がるものがいい」
と言うのです。
「展開しながら、変化しながら、
何回も楽しめるようなものごとがいい」、と。
なるほどね、そうだそうだ、
と相槌を打ちながら、
「編みものはうんと転がるよ~」
と思いました。
既製品のセーターなら、普通は
「買って、着て、出かける。ステキならほめられる」
というような転がり方をしますよね。
便利な世の中での、洋服の楽しみ方はシンプルです。
でもそこに「編む」を足すと、
「デザインを決めて、糸を買って、編んで、着て、出かけて、
会社や学校で今着ているセーターについて話題にする」
というような転がり方になります。
さらにその先は「編みもの仲間を作る」や
「自分でデザインする」という
道にも、つながっているかもしれない。

自分が身につけるものを、自分で作れる。
(そしてそこに、無意識だけれども、
 不思議とその人の色というか、
 そこはかとない個性も加わるのも面白いなあと思います。
 同じものを編んでも、出来上がるものが
 人によってなんだか違うのです。)

さらにそれが、どんどん次の楽しみにつながっていく。
『I PLAY KNIT.』を通して、
この楽しさを、みなさんにも一緒に感じていただけたならば
それは、おなじニッター仲間として、
おしゃれが好きな者として
すごく、すごく、うれしいことです。

この冬は、たのしくあったかく。

12月に入って空気も
ぐぐっと冷たくなってきました。
今年は三國さんといろんな取り組みを
させていただきました。
締めくくりのひとつとなるのが、
作品集「I PLAY KNIT. 」です。
三國さんには何度も何度も
ほぼ日まで足を運んでいただき、
できたてほやほやの作品を見せていただくたび、
いつもチーム内で歓声が上がっていました。
作品にうっとりする私たちに三國さんは微笑むと、
ひと息つく間もなく、
「ではまたできたら連絡するね。」と
颯爽と帰っていく姿がいつもかっこよくて
印象的でした。
そうして16作品が出来上がりました。

三國さんが編み上げたものをみるたび、
どうしてこんなに特別な作品を
作り続けられるのだろうと
気になっていたのですが、
作品名からもわかるような気がします。
素敵な名前はいつも三國さんが
つけてくださいます。
遊び心がつまった名前と作品を
いっしょにみると、
生活のささやかなことや、
なかなか人が気づかないこと、
知らないことに潜む
おもしろさやときめきを、
三國さんの目を通して
感じるのです。
そこから作品をつくる、つまり
遊ぶように、演奏するように
プレイするように編まれた今作品たち。
とてもしっくりきました。
そういう感覚で何かを生み出すことって
なんて素敵なことなんだと、
三國さんのものづくりを垣間みて
ハッとさせられました。

わたしはまだまだ編み図をかぶりつくように
みながら編むような初心者ですが、
いち、に、いち、に、と編み目を追いながら、
編むことを楽しんでいます。
「I PLAY KNIT.」は
じっくり作品をみたり、
何を編もうかなと迷ったり、
もくもくと編み進めて、
編みあがったものを身につけて
どこに行こうかなと考えたり、
どんな時間も横に寄り添ってくれるような
一冊になっています。
すてきなお話を読んでいるような気分にもなります。
たくさんしるしをつけたり、読みこんで、
「I PLAY KNIT. 」を体感していただけたら
うれしいです。

2019-12-02-MON

I PLAY KNIT.予告編

Miknits2019三國万里子さんの編みものキットのお店
三國万里子と買い物仲間の終わらないおしゃべり