緑のなかに出かけようよ。
先輩、後輩、そしてなかよし。

たのしい仲間といっしょに一泊だけ、
緑あるところに出かけてみましょう。
おなじものを食べ、火をたいて、
終わりのない夜をむかえます。

ふだんとちがうおしゃべりが花開き、
いつの日か、
「そういや、あんなこともしたよね」と思い出す
時間になるにちがいありません。
3人が訪問したところ:WOODLAND BOTHY
第3回 レディ、セット、ゴー。
写真
糸井
いま、モノレールの線路を通りすぎたね。
みうら
あれは多摩動物園に行くモノレールかな? 
糸井
動物園ってさ、あらゆる檻に
クジャクがいる場合があるよね。
クジャクの看板がない檻なのに、
なぜかクジャクがいる。
あれ、勝手に飛んでくるのね。
あ、クジャクがね。
糸井
そう、よその家で暮らしてるんだよ。
みうら
クジャクはメインを張れるのにねぇ。
鳥の檻はだいたい、上が開いてるんだよ。
だから上野動物園なんかも、
スズメが入っちゃってますよ。
みうら
あぁ、動物園には餌があるから。
そうそう、餌、餌。
ペンギンの餌をサギが取りにきたりもしてるね。 
みうら
沖縄のゴルフ場にも
いっぱいクジャクが出るそうですよ。
えらいことになってて、つかまえては
動物園に持っていってるそうです。
クジャクはあんまりたくさんいるより、
1羽でいて、たまに開くのがいいですね。
俺、小学校の1年か2年のとき、
井の頭公園に行ったの。
そのとき、クジャクが羽根を広げるぞ、っていう
噂が流れたわけ。
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みうら
噂が(笑)。
大人がそんなふうに言ってるの。
それ、広げるんだったら見たいじゃん。
みうら
広げなかったらただの大きな鳥ですもんね。
それで俺は、柵につかまって見てたわけ。
そしたら本隊が、どんどんどこかに行っちゃって。
みうら
本隊が? 
遠足だったの。
でも、ふつうは見るでしょう、
これから広げるってときにはさ。
糸井
立ちどまってもいいくらいだよね。
みうら
いま、ちょっと軍隊みたいな言い方なんで、
わからなかったんですけれども、
あぁそうか、遠足でね、
本隊には先生やクラスの友達がいたわけですね。
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でね、そのときはちゃんと広げたよ。
見たの。
糸井
それはつまり、求愛なんでしょう?
みうら
そうらしいですね。
羽根を広げるのは、クジャクのオスの求愛です。
糸井
時間になるとしょっちゅう求愛してるのかなぁ。
まぁ、自覚はあるか。
だってほら、あの目玉でしょ。
みうら
そうそう、羽根の目玉模様、
あの数が重要なんですよね。
あれを一瞬のうちにメスが数えるってね。
だから多い奴は、
何かってえと、見せたいわけだよ。
みうら
何かってえとね(笑)。
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みうら
もう、おふたりとは
ずいぶん長いおつきあいを
させていただいてますけども、
「泊まる」のは、ぼくははじめてです。
糸井
今回、どうしてこうなったんだか
俺もわかんないんだけど、
なぜかこういう激しくインドアな人たちが集まったね。
みうら
いや、ちょっと待ってください、
このなかの誰かがすごくアウトドアな人で、
その人がまず手を挙げたんだろうなと、
ぼくは理解してました。
え、本当に?
みうら
だからかなりビビってるんです。
糸井
ぜんぜん、誰もいないですよ。
みうら
いないんですか!
糸井
いない。
いないよ。
糸井
激しくインドアな3人です。
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みうら
南さんと糸井さん、
おふたりでいろんなところに行かれていることは
知っていましたので、
そのときにはスカイダイビングなんかも
してるんだろうな、
えらいチームに引っかかったな、とは、
思ってたんですよ。
スカイダイビングは糸井さんだけですよ。
糸井
俺はやったことある。
2度ある。
みうら
ですよね? 
「あれは人生変わるぞ、みうら!」
と、糸井さんに言われたとき、
ぼくはインドを思い出しました。
昔の先輩方は必ず
「インド行くと人生変わるぞ」と言ったもんです。
スカイダイビングでどんなふうに人生変わるの?
死にそうな気がするってこと? 
糸井
いや、思わない。
みうら
思わない?
糸井
縦に、すごい速度で走ったことって、
ないでしょう? 
ないね。
みうら
ないですよね、それはないですよ。
走ろうとも思わないよ(笑)。
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みうら
落下するまでのあいだは
そうとう怖いんでしょう? 
糸井
飛んでからはぜんぜん平気なんだけど、
その前が怖い。
3000メートルの高さからは、
やっぱり降りられないんだよ、ふつうには。
みうら
補助の人は、いるんですよね? 
糸井
うん。その先生に従ってればいいんだけど、
そこまで従うタイプでもないじゃない? 
みうら
糸井さんが、ですか? 
糸井
誰でもさ。
「俺の言うとおりにすれば大丈夫だから」
って言われたって、体は許しちゃくれない、
みたいなところ、あるじゃない? 
誰でもね。
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糸井
そのとき「レディー」「セット」「ゴー」と
掛け声をかけて飛ぶの。
「レディー」ってのはつまり「準備」だよ。
みうら
そんなときに
「婦人だ」と思う人はいないでしょう(笑)。
そんな土壇場で。
糸井
「セット」っていうのは、
髪の毛のことじゃないよ。
みうら
「レディー」「セット」を、
そんなふうに解釈しちゃ逆に戸惑うでしょう(笑)。
あぁそうですかなるほど、
「レディー」「セット」してから「ゴー」なんですね。
糸井
その「レディー」のときに、体を前に乗り出すの。
「こういうところですよ」というのをまず見せるんだ。
一回、見るんだね。
糸井
「セット」でうしろに下がって。
あ、勢いつけるんだ。
糸井
そう。勢いつく。
その3つの言葉があると、ぜんぜん平気なの。
みうら
はぁあ。
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「レディー」「セット」「ゴー」の法則。
みうら
ゴルフでよく言う
「チャー」「シュー」「メン」みたいなもんですね。
糸井
そうそうそう。
「チャー」っていってもギタリストじゃないんですよ。
みうら
わかってますよ、それは(笑)。
バイオリンはなんだっけ、
「キャラメルチョウダイ」だったっけ。
みうら
え、なんですか、
バイオリンは「キャラメルチョウダイ」って
弾けばいいんですか?
そうみたい。
糸井
それはなんだか品がいいね。
ははは。
写真
(いろんなものを買いこんで、
道の駅のひろばでお昼ごはんに。
明日につづきます。)
2019-12-11-WED