先輩、後輩、そしてなかよし。
たのしい仲間といっしょに一泊だけ、
緑あるところに出かけてみましょう。
おなじものを食べ、火をたいて、
終わりのない夜をむかえます。
ふだんとちがうおしゃべりが花開き、
いつの日か、
「そういや、あんなこともしたよね」と思い出す
時間になるにちがいありません。
- みうら
- ここは八王子にある東京唯一の道の駅なんですね。
八王子滝山。
- 糸井
- いろいろおやつも買ったし、お昼にします。
えーっと、この弁当は、
伸坊とみうら、ふたりにどうぞ。
「じゅんのためを思うて買うたんやで」
(みうらじゅんさんのお母さんのまね)
- みうら
- 89歳になりましたわ。
- 南
- あ、お父さん? お母さん?
- みうら
- 父も母も89歳です。同い年なんですよ。
この前オカンが「もう88やさかいなぁ」と話してて、
「そんな些細なことごまかしてどうする」
と、ぼくは思いました。
- 南
- うちのお袋は年を増やしてたよ。
91の誕生日に
「いくつになったの?」と訊いたら
「101!」って言ってた。
- みうら
- だいぶ盛りましたね(笑)。
- 南
- お袋はいつも
「100まで生きる」と言ってたんだよ。
だから「もう100になってたんじゃないか」と
自分で思うようになったのかもね。
- 糸井
- いいふうに考えるお母さんなんだね。
- 南
- 考え方は、癖みたいなもんだから。
- 糸井
- でもまぁ、ぼくらも
大人にはなってきたよね。
- みうら
- ジジイとか言われたりします?
- 南
- 正面きっては言わないでしょう。
- 糸井
- ジジイとかババアはよくないよ。
- みうら
- ぼくはそれ、濁点のせいだと思いますよ。
だからそろそろ、濁点はなくなっていくと、
ぼくは見ています。
濁点さえなくせば、コキフリのやつらも、
そんなにマズくはないですよ。
コキフリもシシイも、
こんなに短い単語のなかに濁点ふたつも入れてますから、
もうやめたほうがいいですね。
- 糸井
- だいたいの悪口は濁点がついてますね。
- 南
- あぁ、そうだね。
- 糸井
- 俺、濁点については、
群馬のことで、いつも思ってたよ。
- みうら
- あぁ、クンマにすればいいんだ、と。
- 糸井
- それでもいいし、
ムレウマだったらいいのにな、とも。
- 南
- ちょっとムレてる感じもするけど、
寒いときはいいか。
- みうら
- 濁点は、けっこう前から、
よくないと思ってて。
- 南
- タクテンだよ、タクテン。
- みうら
- あぁ、タクテンのことです、そうです(笑)。
- 糸井
- ロケで韓国に行ったとき、みんなが俺を
「イドイさん、イドイさん」っていうから、
おかしいなぁと思ってたら、
ローマ字で名札に「IDOI」と書いてあった(笑)。
- 南
- 国によっちゃ「ト」と「ド」が
同じように聞こえるみたいね。
- 糸井
- あぁ、そういうことなのか。
- 南
- 区別がつかないんだよ。
江戸っ子が新聞紙をヒンブンヒって
言っちゃうみたいに。
- みうら
- じゃあ、伸坊さんも
シンホウさんがいいですね。
- 糸井
- いや‥‥、3人ともついてますね。
- 南
- そうだね(笑)。
- みうら
- たしかに。
- 糸井
- 3人ともだよ。
- みうら
- あぁ~、わかった、わかりました、
いままで自分がどこか
スカッとしてなかった理由が(笑)。
- 糸井
- でも伸坊はペンネームでしょ?
のぶひろ‥‥にもついてるわ(笑)。
- 南
- 本名にもついてる。
わざわざつけ直したのに、
また濁点つけちゃった。
- みうら
- でも、ひとつくらいの濁点だったら、
かえって戒めの意味が
あるんじゃないでしょうか。
- 糸井
- そうだね、ちょっとヨゴシを
かけといたほうがいいね。
- みうら
- 「驕るな」ってことですよ。
- 南
- そうだね。
- みうら
- ‥‥でも、ジャグジーはどうですか?
濁点が3つもあるのに悪い気がしないですよ。
- 糸井
- 多すぎると、逆に浄化されちゃうんじゃない?
- みうら
- あっ、あれは英語だからか!
- 糸井
- そうだ、英語だから。
ジャガーとかもそうだ、
あれがほら、シャカーじゃねぇ?
- みうら
- それじゃあ釈迦みたいですもんね(笑)。
(食後のデザートへ。明日につづきます。)
2019-12-12-THU
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN