先輩、後輩、そしてなかよし。
たのしい仲間といっしょに一泊だけ、
緑あるところに出かけてみましょう。
おなじものを食べ、火をたいて、
終わりのない夜をむかえます。
ふだんとちがうおしゃべりが花開き、
いつの日か、
「そういや、あんなこともしたよね」と思い出す
時間になるにちがいありません。
- 糸井
- またコーヒーキャンディ食べる?
みうらは甘いものは好きじゃないんだよね。
- みうら
- いや、そんなことないですよ。
ぼくは3年くらい前にようやく、
酒が嫌いだったことが判明したんです。
- 糸井
- そうそう、そうだ。
- みうら
- 昨日もビール飲んでましたけど、
1杯目がものすごくまずいんですよ。
まずくてしょうがないんですが、
3杯くらい飲むと麻痺してきて
味がわかんなくなるので、飲めるようになります。
- 南
- 味がわかんなくなったら飲めるんだ。
- みうら
- わかんなくならせるために
飲んでるんです。
しかし、お酒の味は土台好きじゃない。
ぼくが好きなのはカルピスです。
- 糸井
- カルピスはおいしいよね。
- みうら
- カルピスが大好きで、どんなお酒を飲んでも
カルピスに勝てねぇな、勝てねぇな、と
いつもどこかで思っていました。
「カルピス・ハイというのがあるよ」と
教えてくれる人がいたので、
ああ、それ飲めばいいのか、と思って飲んだら、
ハイの部分がまずいんですよ。
- 糸井
- あぁ(笑)。
- みうら
- ハイがよけいなんです(笑)。
「それなら、飲みに行かなきゃいい」
と誰しもが思うでしょう。
それも寂しいんです。
- 南
- いつも、ものすごく飲んでる印象があったよ。
- みうら
- 飲めることは飲めるんです。
つまり、いつも
酒の味を忘れるまで飲んでるから、
ベロベロになってる、ということです。
- 南
- あぁ、なるほど。
- みうら
- となると今度は
「甘党じゃないか」という判定が出ます。
そういえば、仕事の帰りに、
たい焼きを家族の人数分買って帰り、
結局誰も食べず、
ひとりで全部食べたこともありました。
そのとき「あれ? 俺、甘党かな」と
思ったりしたんですけど、
糸井さんのように、
あんこにこだわりがあるわけじゃない。
ぼくはつまらないことに、
甘いものに対しても
「ふつうくらい」だったんですよ。
- 糸井
- 要するに、ふつう。
- みうら
- ふつうなんですよ。
- 糸井
- 「ぼくは甘いものはね、ふつうなんだよ」
- みうら
- おもしろくないんですよ。
自分がとても退屈なんです。
- 南
- 退屈ですか。
- みうら
- 甘党か辛党か、
どっちかに振らなきゃいけない
感じなんでしょうけど。
- 糸井
- そんなことはないよね。
- みうら
- 「下戸の人は甘党だからな」って、
よく言われるけど、
そんなことはないですよね?
- 糸井
- 「SじゃなければMだ」って、
それはないよ、ないない。
- みうら
- そうでしょ?
- 南
- 両方好きな人は両方好きだよ。
- みうら
- 南さんも、酒は、
そんなには飲まないですよね。
- 南
- メッチャクチャ飲みたいと思ったら、
飲む。
- 糸井
- ひとりで晩酌とかしないの?
- 南
- するよ。
- 糸井
- それは気分いいの?
- 南
- うん。やっぱり、
1杯くらい欲しいじゃん?
- みうら
- あぁ、あぁ。
- 糸井
- その感じ、憧れるね。
「1杯くらい欲しいじゃん」
って、いいなぁ(笑)。
- みうら
- わかります、
それ、俺の憧れてたやつです。
- 南
- じゃあ、みうらさんは、
ものすごくいろいろ努力をしてる人だね。
- みうら
- そうなんです。
俺、いろんなことを改善してきたんですよ。
- 南
- 好きでやってるというふうに見せてきたんだね。
それがみうらさんの
『「ない仕事」の作り方』だったんだ。
- 糸井
- そうだよなぁ、あれは感動したなぁ。
- みうら
- ありがとうございます。
読んでいただいたんですね。
- 南
- あれ読んで、
「あぁそうなんだ」と思ったことがあるの。
いままで自分が第一印象で、
「これはなんにもおもしろくないな」
と思うことは、
おもしろくないものだと自分で決めてた、
ということなんですよ。
- みうら
- はい、はいはい。
- 南
- 自分がパッと見ておもしろくないと思っても、
入っていけばおもしろくなるものがあるんです。
この考え方はすごいと思ったなぁ。
みうらさんは最初、ゴムの蛇とか、
ぜんぜんおもしろくなかったんでしょ?
- みうら
- ものすごく集めてるけど、欲しくないし、
いまだに要らないんです(笑)。
ぜんぜん要らないんですけど、
その感じがおもしろいんです。
- 南
- ある数を超えると、
がぜんその世界がおもしろくなる。
だいたいのものがそうなんだ。
- みうら
- 100超えたら、だいたい大丈夫。
大丈夫になっていきます。
(風景がどんどん都会に。明日につづきます。)
2019-12-28-SAT
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN