HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

カッパとウサギの コーヒーさがし

第26回 栗原さんと マンモスコーヒー(後編)

テーブルに甘いお菓子をたくさん広げて、
仲よしたちがおしゃべりをつづける‥‥。
それはいわゆる、いま流行の「女子会」。
ただ、そこに集まっているのは男でした。
つまり、「男子会」。
「男子会」の席に、お店のご主人・河野さんが、
ふたつめのコーヒーを持ってきてくださるところから、
後編がはじまります。

河野さん ブレンドの「その2」をお持ちしました。
山下 ありがとうございます。
栗原 たのしみですね。

福田 コーヒーを持ってきてくださった河野さんの奥様、
ありがとうございます。
山下 福田さん‥‥
またもや読者に親切でわかりやすい発言を、
ありがとうございます。
栗原 「その2」のブレンドは、
どういった味わいなんでしょう?
河野さん はい。
まずローストの深さは
「その1」とあまりかわりません。
栗原 中深煎りよりも、やや深煎り。
河野さん そうです。
なのですが、「その2」のほうは、
すこしボディがしっかりした感じです。

福田 ボディが。
河野さん 風味的には、すこしナッツの感じ。
ナッティな味わいですね。
山下 お。
栗原 お、来ましたね、ナッティ。
山下 きょうのぼくらのチョコ、そのものです。
河野さん そうですね、ナッツっぽい味わいですので、
チョコレートにはまちがいなく
合うブレンドではないかと。
では、お召し上がりください(去る)。
山下 ‥‥福田さん、
いまの河野さんのご説明は、
ワインのことを話してもらっているみたいでしたね。
福田 ぼくらはお酒をやらないので、
なんだかうれしかったです。
栗原 ぼくもお酒は、やらないんですよ。
山下 あ、そうなんですか。
福田 みんな同じですね。
栗原 同じです。
山下 じゃあ、そんな3人で、コーヒーをやりましょう。
栗原 いいですね。
福田 「その2」を、やりましょう。
栗原 やる前にみなさん、
いっかい水を飲んで口をリセットしましょう。
山下 ああ、リセット。
福田 それは大切なことです。

栗原 ‥‥よし。
では、「その2を」。

福田 やります。

山下 いただきます。
栗原 ‥‥‥‥うん。

福田 ‥‥うん。

山下 ‥‥うん。

栗原 ‥‥おいしい。
山下 おいしいなぁ‥‥。
福田 山下さんのアーモンドチョコといっしょに‥‥。

山下 ぼくは、栗原さんのアーモンドラッシュを。
‥‥お、アーモンドがぎっしりだ。

栗原 でしょ?
ブルボンは、いいんですよ。
福田 ブルボン。
栗原 ブルボンについては、
ちょっと思うところがありますね。
なんというか、
「ブルボンのポジション」というのがありません?
お菓子界のなかで。
山下 はい、はい。
福田 わかります、わかります。
栗原 アーモンドラッシュは、
ブルボンらしさがよく出た商品なんです。
山下 はい、はい。
福田 わかります、わかります。
栗原 あと、ぼくはむかしからそうですけど、
この箱を読みながら食べるのがものすごい好きで。

山下 こういうのを読むんですか。
栗原 読みますねー。

山下 (読む)ミルクチョコレートの中に
スリバードアーモンドと
クランチアーモンドをギッシリちりばめました。
福田 スリバードアーモンド?!
栗原 スリバード。
タテに切ったアーモンドですね。
つまりそれが、アタック感。
山下 アタック感(笑)。
福田 わかります。
栗原 ぼくの最初のブルボン体験は、
やっぱり「ルマンド」なんですよ。
山下 ルマンド。
福田 わかります、あれはおいしい。
栗原 パイ生地みたいなものに、
クリームがコーティングがされている。
山下 はい、はい。
栗原 あの、サクッとした感じが‥‥
福田 アタック感。
栗原 そうです。
山下 パッケージもいいですね。
福田 はい、はい。
栗原 わかります、いいですね。
山下 あと、庶民的だけど上品さも感じます。
福田 はい、はい。
栗原 わかります、高級感。
福田 あと、エロチック感もありますね。
山下栗原 ‥‥それはどうだろう。
福田 なんで!(笑)

山下 急にそんなこと言われても。
福田 あのね、「ルマンド」っていう名前にエロスがね‥‥
河野さん お味はいかがでしたでしょう。

栗原 いやー、おいしかったです。
山下 「その2」はたしかにどっしりしてるんですが、
それでもすっと飲めてしまうというか。
栗原 チョコとの相性はすごくいいと思います。
河野さん ありがとうございます、よかったです。
栗原 コーヒーの味を語ったりするのは、
非常に気がひけるんですけど‥‥
このお店のコーヒーは、
ふわっとやさしい感じがしますよね。
山下 「その1」も「その2」も、両方ともそうでした。
ずしっと重たいコーヒーも
それはそれでおいしいですけれど、
こちらのコーヒーは、やさしいですね。
福田 ぼくは、やさしい系が好きです。
山下 そうですよね。
福田 とことん甘やかしてほしい。
山下 何の話ですか(笑)。
栗原 どうぞ、河野さんもお座りください。
もうすこしくわしくブレンドの話を。
山下 ぜひ、お願いします。
河野さん では、すこしだけ失礼します‥‥。

山下 ブレンドされている豆は、どういう配分で?
栗原 福田さんがなんかさっき、
ブラジルなのかな? って言ってましたよ。
福田 いや、ほんとに勘ですから。
河野さん ブラジルは、どっちに入っていると思われました?
福田 うーーん、「その1」ですね。
河野さん ブラジルが入っているのは正解です。
山下栗原 おおーー。
河野さん そしてブラジルは、両方に入っています。
山下栗原 おお‥‥。
河野さん それぞれに、ちがうブラジルが入ってます。
「その1」のブラジルは
水を使った精製をしてまして、
後味がきれいになるんです。
そこに、華やかな香りのグアテマラを加えました。
福田 水で精製というのは?
河野さん コーヒー豆は、果実の中にある種子なんです。
果肉や薄い殻を取って生豆にする工程を
「精製」といいます。
精製に水を使ったのが「その1」のブラジル。
水を使わないナチュラル精製は
天日干しなんですが、これが難しいんですね。
でもうまくできると、
味にボディ、重みが出てくる。
それが、「その2」のブラジルです。

山下 ほおーーーー。
河野さん 「その2」は、ブラジルの中煎りと深煎り、
同じ種類の豆を焙煎をかえて混ぜただけです。
栗原 ブラジルだけで‥‥。
ということは、ストレートに近いブレンド。
河野さん そうですね。
山下 そうですか、そういう2種類。
‥‥あとは、淹れ方なんですが。
福田 熱めのお湯で、さっと落とすんですよね。
河野さん そうですね。
KONOの円錐形ペーパーを使って、
90度ちょっとのお湯を、
比較的さーっと注ぎます。

福田 そこがだいぶ、
ほかのカフェなどとちがうと思うんですが、
なぜそういうふうにできるんですか?
高温で入れるとふつうは、
苦みが強くなったり、えぐみが出たりしますよね。
河野さん それは‥‥
仕入れる段階の最低限の自分の目安が、
「後味がきれい、雑味のない豆を選ぶ」
ということなんです。
ですから、そこでしょうかね。
福田 なるほど‥‥。
河野さん では、お邪魔しました。
ごゆっくりどうぞ(立ち去る)。
山下 ありがとうございました。
栗原 ‥‥さて、どうしましょうね。

福田 どちらかひとつの、ブレンドを選ぶわけですよね。
山下 ええ、そのつもりでした。
栗原 でも、どっちもおいしかった‥‥。
山下 うーーーん‥‥。

栗原 ‥‥あの、
「どっちも」で、いいんじゃないでしょうか。
福田 ぼくもそう思います。

山下 ということは、2種類販売する。
栗原 「その1」と「その2」を
セットにするのはどうでしょう?

山下 ‥‥あ、それはいいと思います。
つまり、ぼくらがここで体験したちがいを、
両方とも味わってもらえるわけですね。

福田 そうしましょう。
山下 名前はどうしましょう。
栗原 ‥‥「その1」「その2」がいいんじゃないですか。
福田 ああ‥‥。
山下 そこも、そのまま。
チョコに合うブレンドその1、
チョコに合うブレンドその2、
いいですね。
栗原 マンモスコーヒーさんのパッケージが
実にシンプルなので、
そのくらいのすっきりした名前がいいと思います。
‥‥これ、ぼくが家から持ってきた袋です。
これにね、買った豆をまた詰めてもらうんです。

山下 あー、いいですねぇ。
福田 じゃあ、ぼくがイラストを。
山下 ほんとですか。
福田 このシンプルさをこわさない範囲で、
ちょっとしたポイントだけ。
山下 そうですね、
マンモスコーヒーさんの持ち味は、
「すっきりシンプル」ですからね。
栗原 はい。
山下 チョコに合うブレンド2種類セットで、
福田さんのイラストもちょっと入れて。
福田 はい。
山下 それでいきましょう!
こうしてうまれたブレンドセットが、
2012年8月28日(火)の午前11時から新販売となります。
数量限定ですので、
売り切れてしまったらごめんなさい。

「マンモスコーヒー」をたずねれば、
たくさんの新鮮な豆を買って帰れるので、
ぜひ一度、訪れてみてくださいね。

栗原さん、今回はお付き合いをありがとうございました。
男子会、たのしかったです。
コーヒーの話は、尽きないですねー。
またいっしょに遊んでください!
(それでは、また。
 栗原さんとマンモスコーヒー編終了です)

カッパとウサギのコーヒー屋さん

栗コーダーカルテットの コンサートのご案内。

栗原さんの活動の中心である栗コーダーカルテット。
ここ最近は一年中がコンサートツアー!
といって言いくらいなのだそうです。
そんな中から、近々のおすすめを一本、ご紹介しますね。

栗コーダーカルテット ティアラ で コンサート !

1300名も入る大きな会場で、老若男女、ご家族でたのしめる、
そんな構成のコンサートが開かれるそうですよ。

他にもあちこちでコンサートがあるので、
情報は栗コーダーカルテットの
オフィシャルウェブサイトをご覧ください。

 



2012-08-28-TUE
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