じゃあ、それぞれに
自分が家で食べる用のカレーの話に絞りませんか?
ぼくは、ここまで言っちゃったから、
スパイスの内容をあらわにしますと、
まずクミン。ホールです。
ターメリック。これは粉です。
粉じゃないのを使ったこともありますけども、
粉にしました。
シナモン、これは木の皮みたいなやつです。
それからクローブ。
大量には入れませんけど、ホールです。
それからカルダモン。
これは人より余計に入れます。
ちょっとうちは強めです。
皮剥いて、粒にしたやつです。
うん、うん。
いっぱい入れてるんですね。
それからカレーリーフ。
えー、カレーリーフ入れてるんですか。
カレーリーフは、ひと握り。
それからローリエ。3枚ぐらいかな。
あと、レッドチリパウダー。
要するに赤唐辛子。
すごい。

それから忘れちゃいけない、
コリアンダー。
たっぷり入れます。
あとはフェンネルをちょっと。
そんなもんかな。
── ローリエも粉にしちゃうんですか?
しちゃうんですよ。
食べてます。
で、いちばん困るのが、シナモン。
結構、つぶれない。
そうなんですよね。
粉で入れるより、
あの木の皮みたいな状態のほうがおいしいから、
うんと細かくして入れたいんだけど。
ほんとはインドのあの石臼が要るんだろうね。
今は何で粉にしてるんですか?
最後はね、お茶を粉にする、乳鉢。
あとすり鉢。
少ない単位のときは乳鉢で、
多いときはすり鉢1つ、
スパイス用に持ってて。
でもつぶれにくいですね。
あと、ある時から入れるようになったのが、
ピンクペッパー。
あ! 意外に効くんですよね、ピンクペッパー。
ちょっと華やかな感じで。
効くんです。
アジアンな方向性のある、
噛んで辛くないペッパー。
あれはね、ちゃんこなんかにもいいんだよ。
ぼくの行くちゃんこ屋の塩ちゃんこには、
ピンクペッパーが入ってるんですよ。
へえ!
そしてインスタントカレールー。
ほかには、醤油とウスターソースを
最後の調整のとき入れます。
それこそ、隠し味で、
つくった本人には分かりますけど、
入れても入れなくても
絶対気付かれてないと思いますね。
ああ、はい。うん。
で、さっき訊かれた、
はまぐりだとかっていう時代には、
たいていのものを入れました、
漢方薬まで入れました。
漢方薬!
一同 (笑)
いちばん金がかかったのは、すっぽんスープ。
京都の“大市”のすっぽんスープ。
どぼどぼ入れてました。
すごいですね。
── そういう時代を経て、
インスタントカレールーと
調合スパイスに落ち着いたんですね。
そういうことです。
じゃあそれぞれ、ご自分のカレーを。
え、わたし、ほんとに普通です!

『LIFE』の通りですか。
そうです。
日本のご飯に合うようなカレーを作りますね。
最初にタマネギを炒めて、
そこでトマトを入れて。
トマト。
はい。トマト1個ぐらいを、切ってから入れて、
水分飛んで煮詰まったぐらいに、
お肉や野菜をさっと炒めたのを追加して、煮て、
最後にインスタントカレールーです。
煮るとき、ローリエとかも入れたりしますけど、
ほかのスパイスは、家のカレーには入れないですね。
それとは別に、本格的なインドカレーを、
時々習ってるんですけれど。
それはそれでおいしいし、
タイのカレーも好きなんですよ。
おいしいです、うん、ぼくも好きです。
うまいですよねー。
あれはあれでおいしい。
そうそう、タイのカレーペーストも、
1回作ったことあるんですよ。
映画「プール」の撮影で
タイに1ヶ月ぐらい滞在したとき、
何回か料理教室に通ったんです。
タイカレーペーストは、
香菜の根っことか、辛い唐辛子とか
ニンニクやショウガとかを
ペーストになるまで、
ゴリゴリとすりつぶすんです。
3人ぐらいで代わりばんこで、
3、40分。すっごいつぶして。
それで作ったカレーも
すごくおいしかったです。
ベーストから作るとおいしいですよね、
タイカレー。

新鮮な感じ?
はい、もうほんとに新鮮な感じで。
そんなふうにタイのカレーも大好きです。
── でも家では日本のいわゆるカレーを?
そうですね、やっぱり醤油とかも入れますし。
『LIFE』のカレーは
共同作業にすごい向いてるカレーじゃないですか。
向いてますね。
そうですね。
── あれ、実は『LIFE』の中で
唯一と言っていい、
糸井重里・飯島奈美共同レシピです。
あ、そうです!
そうですね。
── 飯島さんが作った、
ほんとに日本の定番カレーに、
チャーシューをのっけたらどうかなっていう
アイデアが足されたんですよ。
あれは、ぼくが1回、家で、
やってみたんじゃなかったっけな。

── 糸井さん、チャーシューづくりブームの
時期がありましたね。
そうそう。で、カレーに入れたらどうかな、
っていう発想はね、
中まで味がしみてない状態の
おっきい肉の塊っていうのは
食べててやっぱりつまんない。
飯島さんの旦那さんも
肉の味が付いてないのを
つまんないって言ったんですよね。
そうなんです!
肉野菜炒めでもそうなんですよ。
(笑)。
だから、チャーシューの味付けが
うすくしてあるお肉を足して食べたら、
このカレー、絶対うまいよと。
カレーに醤油の隠し味はもともとあるわけだから、
絶対大丈夫だと思って、
やろうよ、みたいな。
あれ、うまかったね。
ところが自分ではあれ、やんなくなった。
(笑)。
つまりチャーシューとカレー、
両方調理する、っていうふうになるから。
── そうですね、手間と時間がかかりますね。
あのレシピは、おとうさんが、
その手間を時間と材料を惜しまずにつくる、
っていうのがテーマでしたから。
でもあれは向いてるよね、
夫婦でやるにはね。
スパイス調合ってちょっとハードルが高くて
なかなか手が出せずにいたんですけど、
ぜったい楽しいですよねえ。
ちょっとやってみようかな?
カレー座談会、つづきは明日!(武井)
2012-01-03-TUE
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