常備するカレーってのはあるね。
ありますよね。
ソースのみの。
水野さんちもやってない、それは?
やってないんですけれど、
市販のインスタントカレールーって、
お湯を張って溶くと、
それだけでおいしいカレーソースなんですよ。
さっき飯島さんがおっしゃった、
炒めて仕上げるカレー、
『炒(チャー)カレー』というレシピ本を
ぼく、出したことがあるんです。
ソースを作っておいて、
フライパンで自分の炒めたい肉野菜を
ばーっと炒めたところにじゃーっと入れるんです。

そうですね、それです。
それがいいんですよ。
飯島さんと同じ気持ちです。
「今夜はカレー!」っていう日は
もうカレーだけがメインで、
翌日の朝までカレーになっちゃうのは
ちょっとどうかと思う。
そうです、そうです。
むしろ、ぼくはもっと、
食卓にカレーが
ちょこっとずつ登場する頻度を増やしたい。
「今夜はカレー!」じゃない日に
カレーが出てもいいんじゃないかと思ったんです。
そうです、そうです。まさにそうです。
カレーにサラダって、
ドラマとかでもあるパターンじゃないですか。
何か同じものをひたすら食べるだけって
何か寂しい気がしちゃって。
炒カレーなら、1人前から作れますからね。
ちっちゃいフライパンで
自分が食べたい分だけつくれます。
(笑)面白ーい。

ずーっとメインを張り続けてきたでしょ、
カレーって。我が家の食卓で。
もちろん主役でいいんだけど、
その主役の登場頻度が
あまりに少ないわけじゃないですか。
月に1回とかね。
そうですよね。
その主役を脇役で使う。
カメオ出演だね。
そうそうそう、ほんとに。
カレーを脇役にして
登場頻度をちょこちょこ増やすっていう。
それはいい。
ぼく、今、無理に思いついたんだけど、
たとえば豚汁食ってるときとかに
そのソースがあったら、後半戦が‥‥。
あー、いいですねー。
いいですね(笑)!
みそ×カレーで。
どちらもそのままいけちゃうやつを、
別に味を薄めも濃くもしないような感じで。
カレー鍋って流行ったときにも思ったんです。
あのカレー鍋っていうのは
スタートからカレー鍋だけど、
普通はね、みんな、鍋やりたいんですよ。
そう、途中からでいいんだよ。
途中からカレーにしたい。
最初っからカレー鍋じゃちょっと、
驚きがないですよね。
── 飯島さんも、味が変化していくのが好きですよね。
そうなんですよ。
だからトマト鍋でスタートして、
カレーにしてもいいんですよね。

ぼくはそれをカレー鍋じゃなくて、
鍋カレーって呼んでるんです。
鍋をとにかくやってくんだけど、
最終的に鍋の出汁の味が効いたカレーになる。
鍋カレーだったら、トマト味でも、ちゃんこでも、
スタートの鍋の味によって
最後のカレーが変わる。
しかも二度と食べられないかもしれない。
そうそうそう!
今聞いてて思ったんだけど、
「これがカレーだ!」っていうような
企画があり過ぎることが、
カレーをつまんなくするね。
だから混ぜちゃってとか、
こういうのもありだよってときに、
みんな、「いい」って言うじゃない。
そうです。
カレーのその、いい加減さ。
そうなんですよね、ほんとに。
その都度違う。
何でもおいしくなるんだから、
もっと挑戦すればいいんですよね。
そうなんですよね。
だって鍋カレーなんて、
素材はもちろんだけれど、
4人で鍋つついてたら、
そのつつき方によって味が違うわけです。
そう考えれば家庭のカレーも
ジャガイモ、ニンジン、タマネギじゃなくて、
何かもっといろんなものがやりたいですよね。
いや、ありますよ、それは、うん。
── ちなみに野菜はどうしてます?
私は結構キャベツ入れたりします。
あ、キャベツ、いいですねぇ、甘みが出てね。
あ、それ、やったことない。
── くたくたにしちゃうんですか?
そうです。
いいんじゃない~?

── シャキシャキキャベツじゃなくて、
くたくたとろとろキャベツ。
ぼくの浜松の実家のお袋のカレーは
必ずキャベツの千切りが添えられるんです。
トンカツ定食と同じ感覚で。
カレーの横に?
カレーの横に。
1杯目は普通のカレーで食べるんですよ。
うん。
で、おかわりするときは、
まずお皿にご飯を盛るじゃないですか。
はい、はい。
食卓に、キャベツの千切りが
どっさり入ったボウルがあって、
ごはんの上にそれを乗せないと
カレーをおかわりしちゃいけなかったんですよ。
へえ!
それが水野家のルールで。
後々聞いたら、子どもはカレーって好きだから、
みんな、ばくばく食べるじゃないですか。
肉ばっかり選んで食べるでしょ。
ニンジンとかあってもどけるわけですよ。
だから少しでも野菜を食べさせようということで
そのルールを作ったらしいんですよ。
だから2杯目以降は、
あったかいご飯とあったかいカレーソースの間に
シャキシャキしたキャベツの千切りがある、
ああ、いいね。
いいですね。
でも、子ども心にはすごく
違和感のある食感なんですよ。
今はいいね。
ね、今、いいですね。
で、大人になってから、
時々、トンカツ屋さんのカツカレーを頼むと
キャベツの千切りが付いてくるから、
トンカツ屋のカツカレーを食べるとぼくは、
お袋の味を思い出すんです。
「あ、これだっ!」って。
今思い出したけど、
うち、カレーのときは必ずコールスロー。
いいですね。
これは100パーセント。
キャベツもいいんですけど、
焼きナスも合うんですよ。
香ばしくて。
そうだ、ナスは合います。
ただ、うちは中に入れちゃうんだな。
ナス、キノコ。
キノコも合いますね。
キノコが多いなあ。
止まらない食いしん坊列車。
「炒カレー」「鍋カレー」、新語続出です。
ちなみにぼくもトマト派です。
ちょっとすっぱいカレーが好きで。
最近はオーブンで煮込むのにはまってます。
って、自分のはなしがしたくなるなぁ。
つづきは明日!(武井)
2012-01-05-THU
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