ITOI

頭出し:電波少年的放送局の62時間。
いくつになっても、馬鹿は馬鹿。

3日め夜中、ジャズシンガーの綾戸さん登場!
コンサートの帰りに、きてくれたんですよ。

第1回 (オヤジギャグ)

第2回 (1年に200回のコンサート)

第3回 (人生の編みもの)

[綾戸さん登場だ!]
<第4回 (いちばんつらい質問は?)>


綾戸 いややわぁ・・・あんたと喋っていると、
ようわかってるからイヤんなるわ。
「ちゃうねん!」って言いたいのに
そのとおりなことばっかりじゃん。
糸井 ちゃうねん!って取材とかで言う時もあるの?
綾戸 言う言う。
それははっきり言いますよ。
糸井 あの、安っぽいストーリーを
押しつけられるとイヤじゃない?
「たいへんですねぇ・・・」
「苦労をされてきて・・・」って。
綾戸 そう!
糸井 そういう時に
「たいへんじゃないです」って言うと。
綾戸 いちばんつらかった質問、
ここでいいましょか?
「綾戸さんは、歌っている時に
 お客さんにどのようなメッセージを
 発していらっしゃるんですか?」
・・・メッセージ?
こっちは、歌詞で、必死やわ!
メッセージも何もあらへんねん。
糸井 イチローに
「どんなメッセージで振っているんですか?」
って聞くようなものだよね。
そんなものはないよね。
「当てたい」っていうだけだから。
綾戸 そうそう。それよ。
百人いたら百個のメッセージは
みなさんが作ってくれはるんですよ。
わたしは、メッセージを作らない。

昨日夫婦喧嘩した人もいれば、
昨日入学試験に合格した人もいるし、
それは状態は、いろいろよ?
糸井 お客さんの数だけ
ちっちゃい池がぽんぽんぽん、ってあって、
そこの数だけ波紋がひろがるというか。
俺は、石を投げているがわなんだなぁ、と。
綾戸 そう。
一個なげたら、バ!って泡が。
糸井 ちっちゃい池も、おっきい池もいいんだよね。
綾戸 そう!
あれは最高ですよ、気分は。
糸井 酔っているような感じ?
酔ってはいないけれども、半酔い?
綾戸 わたしは、
酔うてる時にはだめだわ。こける。
酔うんじゃなくて、池に入る。
入り込むんですわ。
いい気分になりながら、
しっかりと歩いていくという感じなんです。
糸井 この電波少年の部屋に3日間いると、
いろいろなお客さんがいらっしゃいますよね。
そこで一番ラクなのは、同業者なんですよ。
たとえばイラストレーターとか広告屋とか。
話をしなくてもいいぐらいほっとけるの。
話がもりあがらなくても平気なの。

その温度の低さみたいなのが、
その人と楽しむ時間なんですよ。

いま、綾戸さんの一個前にいたのは、
若い学者さん、31歳で脳を研究されている人で。
綾戸 あら?
なんで会えへんかったんやろ(笑)。
糸井 ハハハ。
綾戸さん会ってもいいぐらいですよ。
かわいらしい天才なんですけど、
その人と一緒にいる時は、
同業者ほどではないけど、
すこしだけアクティブに動きます。

そして、芸能系の人の場合は、
更に温度をあげないと、
場所をつくれないんですよね。
芸能の人たちは、みんな体温が
2度ぐらい高いような気がするんです。

綾戸さんって、
芸能の人のはずなんだけど、
学者さんよりもすこしだけ高い程度で、
テンションは高いけど、
芸人さんのようには迎えないんですよね。

だから、綾戸さんって、
芸能界の人じゃないかもしれないよね。
サインをしたり、
お客さんの前でサービスはするけれども、
芸能人の温度ではないもん。
綾戸 そうそう。
ほんとに、そうなんですよ。
糸井 テレビで見かけるけど
芸能人ではない、というか。
綾戸 よろこんでいいのかしら?
糸井 ラクしたいなら、
芸能人になったほうがいいかもしれないけど、
このいまの半端さのほうが、
捨てられないで長く生きていけそう。
綾戸 あぁ、なるほど・・・。
わたしは、ゆっくりでええねん。
毎回おみやげもろてるから。
糸井 80歳までやってるかもね。
寿命は、長いほうがいいよね。
綾戸 そうそう。
何が起こるかわからないから。
糸井 半端な目標をきめるよりは、
長生きでいったら、おもしろそうだね。
80歳のシンガーって、どう?
脳は疲れないんだよ?
だから、だいじょうぶ。
綾戸 あぁ、だから眠たいコドモは
ばーって、動くんだ。
脳は疲れていないけれども、
カラダは疲れているから。
わたし毎日その状態やけど・・・。


(※おわりです)

このページへの感想などは、メールの表題に、
「電波少年的放送局」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2002-05-30-THU

HOME
ホーム