経営とサッカー。 経営とサッカー。
今度発売される新アースボールは、
なんと本物の「サッカーボール」です!
ちゃんとした規格の本格仕様ながら、
アプリをかざすとAR地球儀にも変身します。

この新モデルのデビューを記念して、
岡田武史さんと糸井重里の対談が
11月17日発売の『Number』で
掲載されることになりました。

猪突猛進で突っ走る岡田さんに対し、
ものごとを俯瞰で観察する糸井。
あちこちに転がったふたりの特別対談、
ほぼ日編集バージョンで先行配信します!
撮影:近藤篤
02 経営とサッカー。
岡田
糸井さんとぼくは正反対ですね。
ぼくは、なんにもわからないまま突き進む。
糸井
大海は見ないまま、
井戸から井戸に突っ込んでく(笑)。
岡田
そうそう(笑)。
「あ、おもしろそう!」と思ったら、
ともかくそっちに行ってみる。
いきおいだけで行って、
「ダメだこれは、やめよう!」
って引き返そうと思ったら、
すでにうしろから人がついて来てて、
「あ、前に行くしかないじゃん」って。
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糸井
はははは。
岡田
いままでそうなんです。
経営ってこんなに大変なんだ、
もう辞めようかなと思っても、
みんな仕事やめてついて来てるし、
もう前に行くしかねえなぁ、とか。
いっつもそんな感じです。
糸井
だいたい岡田さんの発想って、
「1人でもやるぞ」でやりますよね。
それこそビラ配りなんかも。
岡田
そうです、そうです。
糸井
だからそれを見た人が、
「1人でもできるんだったら俺もやれるな」
と思ってついて来るんですよ。
岡田
みんな、だまされて来るんですよ。
俺んところ来て「あれ?」って思うんだけど、
いまさら逃げられないぞって。
お互い逃げられなくなってる(笑)。
糸井
いまの若い人たちだと、
納期がどのくらいとか、予算がどうとか、
そういうことを先に考えますよね。
岡田
いや、ほんとそうなんです。
うちも最初6人で会社はじめて、
いまもう100人以上になったんですね。
うちの理念や思いに共感した人が、
給料4分の1になってもいいからって、
大企業をやめてうちに来てくれる。
ところが、最近は
「ぼくらは会社から何を求められていますか?」
って聞いてくるわけですよ。
「え、それを自分で探せよ、お前」って。
糸井
ああ(笑)。
岡田
最初6人ではじめたときは、
みんなでそれを探しながらやってたし、
それがたのしかったんですよね。
でも、もうそれじゃダメなんだなと。
ちょうどいま会社の過渡期なんです。
いろんな人の意見を聞いて、
会社の格好をいま整えているところで。
いきおいだけでここまで来ましたから。
糸井
いきおいで100人までいった。
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岡田
いきました(笑)。
やっぱりみんな家族もいるし、
会社として潰せないところまで来た。
きちっとしなきゃいけないかなと。
ようやく、こっからかなと。
糸井
違う道から来たけれど、
着いた場所はお互い似てたというか(笑)。
岡田
いやぁ、ぼくなんかいまでも
「んなもん、行ってから考えろ!」
とか言っちゃってますけどね(笑)。
糸井
どんどん突っ込んでく。
岡田
この前も今度の新スタジアムに
「サウナをつくるぞ!」って急に思いつて。
いま流行ってるし、みんなもよろこぶし、
よし、スタジアムにサウナをつくるぞって。



それで、みんなでバーっと情報集めして、
「岡田さん、こういうのがあります。
こういう人がこういうのつくってて、
こうでこうで‥‥」って話を聞きながら、
「うーん、やっぱサウナやめるわ」って。
糸井
ええー(笑)。
岡田
「やっぱり参入障壁低すぎるから、
うちがいまこれをやっても、
近所のサウナが値段下げて同じことやったら、
一発でアウトや。やっぱサウナやめるわ」
「岡田さん、何でそれ先に考えないんですか?」
「お前らが先に言わんからやろ」
糸井
悪いサポーターよりも悪ですね(笑)。
岡田
いっつもそんな感じです(笑)。
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糸井
でも、サッカーのときは、
そうじゃなかったじゃないですか。
岡田
あ、そうですね。
糸井
いまのと真逆ですよね。
岡田
たしかにそうかもしれない。
代表チームのときは、
やっぱり結果を出さないといけなかったので。
どうしても確率とかデータとか、
対戦相手がこう来たらこうとか、
あらゆるシュミレーションをしてましたね。
それこそ出たとこ勝負でやってたら、
日本に帰って来られなくなるので。
糸井
それこそ命取られるような感覚が‥‥。
岡田
一時ありましたよね。
だから出たとこ勝負は、
サッカーではできなかったですね。
糸井
見えてるものに突っ込んでく資質と、
網羅的に調べ尽くして
あらゆる準備をするという資質と、
その両方がありますよね。
岡田
そう言われるとたしかに‥‥。
じつはいま断酒してて。
ぼく、お酒が大好きなんですけど、
ここ4ヶ月1滴も飲んでないんです。



4ヶ月前にチームが
勝ったり負けたりしてたとき、
今治造船の社長から電話があって、
「岡田さん、昨日もぼくの店行ったでしょ?」って。



というのも、試合の前日だったので、
チームのスポンサーさんを連れて、
その社長のお店に飲みに行ってたんです。
そしたらその社長さんから
「前日にそんな飲んでるから勝てんのよ」と、
ポッと言われちゃって。
糸井
おぉー。
岡田
そのときはカチーンときたんだけど、
あれっ、ちょっと待てよと。
ぼく、いままで会社の経営に関しては、
ほんとうに死にものぐるいでやってきたんです。
8年潰さずに黒字にして、
今回も資金調達で40億円集めて。
全部、ほんとに覚悟決めてやってたんです。
ところが、チームのJ2昇格だけは、
「まあ、なんとかなるやろう」って、
どこかでそう思ってる自分がいたというか。
糸井
うん、うん。
岡田
そのとき、あ、これじゃダメだと。
俺、才能があるわけでなくて、
なんでも死にものぐるいでやってるから、
神様がちょっとご褒美くれてたけど、
いまチームに対してそうなってないなと。



じゃあ、どうすればいいんだ? 
トップチームの練習のビデオを見て、
監督にメッセージ送って、
対戦相手を分析して、コメント送って、
でも、それだけじゃダメだぞと。
もっと全エネルギーを注ぎたいけど、
他の仕事もあるからそれ以上も難しい。
それで、大好きな酒を断とうと思ったんです。
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糸井
あぁー。
岡田
これ、願掛けとかじゃなくて、
自分の覚悟の問題なんですよね。
そうやって何かに必死になって、
やっぱり死に物狂いになったときって、
人間すごいエネルギーが出てくる。
あれもこれもってやるようになるんです。
糸井
やっぱり2人の岡田さんがいますよね。
岡田
どうなんですかね。
なんか二重人格みたいですけど。
糸井
誰でもそういうところはありますけど、
ほっとくと案外ずさんというか(笑)。
岡田
「根は真面目なんです」
という言い方をしてるんです。
「2人いる」んじゃなくて。
糸井
どっちを「根」とするかですけど(笑)。
岡田
そうですね(笑)。
(つづきます)
2022-11-09-WED
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2022年11月15日(火)
AM11時より、一般発売スタート!
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