経営とサッカー。 経営とサッカー。
今度発売される新アースボールは、
なんと本物の「サッカーボール」です!
ちゃんとした規格の本格仕様ながら、
アプリをかざすとAR地球儀にも変身します。

この新モデルのデビューを記念して、
岡田武史さんと糸井重里の対談が
11月17日発売の『Number』で
掲載されることになりました。

猪突猛進で突っ走る岡田さんに対し、
ものごとを俯瞰で観察する糸井。
あちこちに転がったふたりの特別対談、
ほぼ日編集バージョンで先行配信します!
撮影:近藤篤
04 人を成長させるもの。
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糸井
その頃の日本というのは、
いまよりマナーなんかもひどかったですよね。
運転してる人のセンスなんかも。
岡田
まぁ、そうですよね。
糸井
いまでも覚えてますけど、
ミラーとミラーがぶつかるぐらいのところで、
隣の車を追い抜いたみたいのが
自慢だった時期とかありますから。
岡田
ぼくが最初に中国に行ったのが、
たしか2011年くらいなんですけど、
その頃は街中クラクションだらけでした。
横断歩道に人がいても車は止まらない(笑)。
道路渡るのさえ命懸けでしたね。



それが5年ぐらい経って、
急激に生活レベルがあがると、
道路にゴミを捨てる人もいなくなるんです。
「衣食足りて礼節を知る」というけど、
経済的なゆとりがマナーの質をあげるし、
それはサッカーにおいても同じだと思いますね。
糸井
そのへんは日本も同じで、
戦後っていうあの時代がどんどん終わって、
荒々しい上昇カーブもなくなっていくんだけど。
岡田
でも、それがいまこの国にとっては、
すごく大きな問題だと思うんですよね。
糸井
そうですね。
岡田
結局、人が成長するときって、
困難とか失敗のあとなんですよね。
ぼくもそのときはプレッシャーとか怒りとか、
いろんなことがあったけれど、
それを乗り越えられたおかげで
人間的にも成長したのがよくわかります。



だからそういう困難を、
いまは社会全体でどんどんなくして、
便利・快適・安全、便利・快適・安全って。
このままじゃあ若い人たち、
いつ成長するんだろうって思いますよね。
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糸井
うん。
岡田
やっぱりこれからは、
何か違うものをいろいろ入れていかないと。
もうなんもしなくても
快適に生きていけるような社会を、
これだけつくっちゃってますから。
糸井
最近、ぼくは自分ところの
「ほぼ日」というチームを見直しているんです。
思えば「ほぼ日」って、
初めてのことばかりやってるチームなんです。
岡田
ええ。
糸井
初めてだと素人だから、
怖さを知らないところがあります。
何も知らないから大変もあるけど、
それをやることには慣れてる。
で、そういう「初めて」に慣れてると、
通り一遍にやればできることが、
おもしろくなくなってくるんです。
岡田
ルーティンワークは
おもしろくないですもんね。
糸井
「困ったなぁ」とか言いながらも、
なんとかするクセは付いてるから、
外のチームといっしょに仕事をすると、
彼らのほうがエリートなのに、
納期と予算と人数の話ばっかりして、
そこがはっきりするまで
誰も動けなかったりするんですよね。
岡田
あぁー。
糸井
結局のところ、
初めてのことをやることが、
脳みそを動かすってことだと思うんです。
どれだけ初めてのことに突っ込めるか。
岡田
それってどれだけリスクに
チャレンジできるかってことだと思うんです。
みんな失敗するのが怖くて
チャレンジしようとしないんだけど、
ぼくはいつも
「社員の失敗で潰れた会社はない」って言います。
まあ、社長の失敗で、給料半分になって、
潰れそうになったことはありますけど(笑)。
糸井
「サウナはつくるな!」(笑)。
岡田
はははは。
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糸井
でも、それはまったくそうですよ。
「ほぼ日」の初期の頃ですが、
初めて本を出そうっていうときに、
ちょっと本づくりに詳しい人が
本のイラストとか装丁を決める会議で、
「それをやると2円高くなりますねぇ」
的なことを言うわけですよ。
岡田
はい。
糸井
10万部売れて2円だったら、
20万円じゃないですか。
10万部売れたら20万円くらい、
もう何でもないことなのに、
「それは2円高くなりますねぇ」とか言って、
腕組んじゃう人が世の中にはいるんです。
岡田
うーん、たしかに。
糸井
そういう人は利口なんですよね。
でも「最悪なんなの?」ってところの
線の引き方が微妙すぎる。
ぼくらはそこんところは素人だから、
「2円高くなる」がわかったところで、
「そのままいこう」が言えるんですよね。
岡田
京セラの稲盛和夫さんは、
そういう数字にすごく厳しい方で、
「無駄な経費は一切使っちゃいけない」
ってよくおっしゃっていたんです。
ぼくはいい経営者じゃねぇから、
けっこうそういうことを言われてばっかりで‥‥。
糸井
でも、それはつくるものの種類が。
岡田
あー、そうか。
糸井
やっぱり稲森さんがおつくりになってるのは、
人数が何人、納期がいつの世界の話なんです。
でも岡田さんの場合は、
下手なサッカーでも勝ったらうれしいとか、
そういうことをやってるわけだから。
ソフトとハードの違いもあるというか。
岡田
今度の新スタジアム構想で
40億円の資金調達をしたんですけど、
20億近く銀行から借りたんですね。
これ、なんとかして
返していかなきゃいけないわけですよ。
糸井
すごいよなぁ。
岡田
銀行から契約書が来て、
いよいよサインするぞってときに、
いちばん最後のところに
「岡田武史が代表取締役を辞めるときは、
銀行の許可が必要」
というのが書いてあるんです。
「ちょっとこれなんすか?」って聞いたら、
「これだけは書かしてください」って。
糸井
腹をくくるしかないと。
岡田
つまり、逃げられないってことですよね。
5,000万ぐらいやったら、
もし会社で返せなくなっても、
俺がなんとか命懸けで返そうって思うけど、
20億って何やっても無理なんですよ。
ということは、
俺にお金を貸した銀行が悪い(笑)。
そう思ってサインしましたけど、
あれはやっぱり怖かったですね。
糸井
銀行もそう思ってる人と取引してるはずで。
岡田
銀行もわかってるはずなんですよ。
こいつに返せるわけないっていうのは。
糸井
それを上で許可した人も、
ほんとは全部わかってますよね。
それでも動いたっていうことは、
銀行もそうする理由があったからで。
岡田
いろいろあるみたいですね。
金融庁が地銀に対しては、
地方創生にお金を貸しましょうという、
そういうプレッシャーもあったみたいで。
まあ、この8年間を見て、
今治がほんとうに変わってきてるのもあって、
リスクを犯してでも賭けようっていう、
そういうのもあったと思うんですけど。
糸井
やっぱりいまでも
突っ込んでから考えてますよね。
岡田
突っ込んでく。で、そっから考える。
突っ込んで痛い目に遭ってからじゃないと、
ちょっと緻密にならない(笑)。
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糸井
2段ロケットみたい(笑)。
岡田
痛い目に遭わなかったら、
天狗になっちゃうんでしょうね。
「んなもん、大丈夫、俺がなんとかする」って。
で、痛い目みてはじめて
「ヤバイぞ、どうする?!」って。
糸井
「痛い」がスイッチなんですね。
そこでスイッチが入る。
岡田
だからご迷惑をお掛けするんです。
まわりに(笑)。
(つづきます)
2022-11-11-FRI
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2022年11月15日(火)
AM11時より、一般発売スタート!
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「ほぼ日のアースボール PLAY」は、
ヨーロッパの主要リーグの公式球を担当する
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