おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1007
「私の質問にちゃんと答えて」 と
つめよるまえに

「私の質問に答えてない。ちゃんと答えて!」

そう言われて身がすくんだ。

話がすれ違って、相手の気に障り、
ギクシャクしていた時のことだ。

相手は、私より十歳くらい上、
立場も偉い人で。
パワハラとかではない「良い人」だ。

相手は、わからせようとして、
まず私に質問した。

「たとえば、
山田さんがもしも部長だったとして、
こんな社員がいてこんなことをしたらどうする?」

と。質問の意図がよくわからない、
私はなぜだか答えるのが嫌だ、
でも答えるよりしかたがなくて、
嘘はつかずにサクッと答えた。

すると相手は少しきつめの口調で、

「私の質問に答えてない。ちゃんと答えて!」

その瞬間、私は、
「うわーっ! 恐ぇえええ! キツーっ! 」
と、まるで蛇に睨まれた小動物のように、
身がすくみ、心が凍った。

ものすごい威圧感だった。

答えたくないのに、口だけは答えた。
すると相手は、

「問題から逃げてる。ちゃんと向き合って!」

と、またも答えの修正を求めてきた。
私はなぜかオドオドし、
相手の機嫌をとるように丁寧に答えを紡いだ。
屈辱感がわぁっと湧きあがって、みじめだった。

恐い体験だった。ゾッとした。
ずーっと見えない何かに
押さえつけられ、牛耳られているような感覚だった。

でも、もっとゾッとしたのは、
これは、私が人に言ってきた言葉だ、
ということだ。

「私の質問に答えてない、ちゃんと答えて!」

とくに家族とケンカしたような時に。
私は、ほしい答えを得られるまで、
家族を問いつめた。

言う側にいた時は、全く気づかなかったけど、
言われる側は、こんなにキツイし恐いんだな。

自分がされてみて初めて気づくことがある。

ちゃんと答えなかったのは、
問題から逃げてるわけでも、
お茶を濁していたわけでもなかったんだ。

詰問する相手の態度がキツくて恐くて、
相手という人間からちょっとだけ、
心の避難をしたかっただけだったんだ。

言う側と言われる側の温度差。

言う側は、自分のアタリが
そんなにキツクなっているとは思わない。
昔の私だって、恐いと言われたとして、
「なにが、どこが恐いの?
これで恐いなんて弱すぎでしょ」
と思っただろう。

けど、「問い」は、
もともと良くも悪くも効果のキツイものである。

問いをつきつけられる、
それだけで恐いと感じる人もいる。

そして問いは論の方向性を決定づける。

問いを牛耳られてしまったら、
思考を牛耳られるに等しい。

思考を牛耳られた人は、
こんなに不自由で、
こんなに屈辱感を抱くんだな。

そんな問いで考えたくないよって、
問いを拒否する自由もあるはずだ。

なのに、何度も問いつめられ、
問いのとらえ方を正され、
相手の思う「問い」で、
相手の思う「順序」で考えさせられる。

さらに答えを強要され、
答える角度まで正される。

それだけ苦労してちゃんと答えても、
相手が求めているのは、
私の正直な答えじゃない、
「相手が気に入る答え」だったりする。

うー、詰問はダメだ!

詰問、今後するなよ、私。

もちろん
相手が犯罪など悪いことをしたときは、
問いたださなければならない時がある、
それはいいとして。

楽しい雰囲気で話しているとき、
「私の質問にちゃんと答えて」と、
問いを共有し、会話を深めていくのもいいとして。

教師と生徒、選手とコーチなど、
教える側と教えられる側の了解のもとに、
問答で授業をするのもいいとして。

言い争って気まずくなってるような時に、
わかってほしいのにわかってもらえない時に、
相手がほしい答えをなかなかくれない時に、

「私の質問に答えてない、ちゃんと答えて!」

を私はつきつけたくない。
人がどう思うかはそれぞれだけど、
私は今後、やめようと思う。

人には、問いを選ぶ自由がある。

自分の考えたい問いで、
自分の考えたい順番で、
考えていい、そこを尊重したい。

自分でそんなに人あたりがキツクないと
思っているのに、人からキツイと言われる人は、
「問いを牛耳ってないか?」
とふりかえってみてもいいかもしれない。

すくなくとも、人さまに問いを突きつけるときは、
「教えてください」
「すぐに答えは出さなくていいけど
考えてみてください」
という謙虚なアプローチを忘れずいたい。

そして、「答えない自由」もある。

相手が答えない時、

相手は少なくとも、
「答えないという答え」を返したのだ。

それを尊重するか、つめよるかは、
人により、場合により、それぞれだけど、

「いま心の一時避難中かな?」

「私の投げかけた問い自体に、
相手は違和感があるんじゃないか?」

「いま考え中かな?」

と、ほんの1分でもいいから、
相手の「答えないという答え」の意味を、
理解することに、私は努めたい。

北風と太陽ではないが、
相手の心をひらかせるには、
相手を自由にしてあげることだ、
と私は思う。

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お申込みURL:https://forms.gle/CWB7PorRGe9BJkYx6 
お問い合せ先:北日本新聞就職情報センター(kinet) 
メールアドレス:kitanippon.kinet@gmail.com 
電話:076-445-3337(平日9:00〜17:00)「とやま就活」まで


【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
と悩む人も多く、その人たちに、
自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
つけたりできる場を提供したい。」
という志に共感しました。
2時間×12コマで、
文章表現の本格的な基礎づくりから始まって、
相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

………………………………………………………………………

「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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