Ｌｅｓｓｏｎ１００４
私がストレスをのりきれた
「意外な言葉」
2021-05-26
強いストレスに苦しんだ時、私は、
「癒し」の言葉をネットや本で漁った。
「何も考えなくていい、ゆっくり休め。」
ストレスの専門家は、
きっとそう言ってくれるものと思っていた。
でも、その時、私が出逢ったのは、
「意外な言葉」
だった。
その言葉のおかげで、私は、
カラダも壊さず、
仕事も一歩、進化するカタチで、
ストレスの大波をのりきれた。
………………
今年初め頃、
かなりストレスなことが起こった。
不安と恐怖で最初の日は一睡もできず、
胃のあたりに「ズン！」と、
誰かにわしづかみにされているような
重く暗い感覚がある。
その「ズン！」は、
家族と話をしていても、風呂に入っても、
ごはんを食べようとしても、何をしていても、
一瞬も晴れることはなく、
私は、
「胃に穴があくんじゃないか？」
と、居ても立ってもおられなくなった。
ストレスの専門家の本を読もうとしたけれど、
ストレスで気が散漫になっているせいか、
いっこうに読書に集中できない。
よって、かっこわるいけど、
ネットの記事、本、ユーチューブなど、
ストレス専門家の言葉を、
漁っては、拾い読みするはめになった。
「ストレスで胃に穴はあきません。」
すぐに飛び込んできたのはお医者さんの言葉。
そのときの自分には飲み込めない言葉だったけど、
医師が言うんなら間違いない、
と私はかなり慰められた。
私は、さらに自分にとって都合のいい言葉を
漁っていった。
ストレスの専門家ならこういう時、
「だいじょうぶ！ なんにも考えずゆっくり休め」
と言ってくれるものと思っていた。
しかし、意外にも、
その時の私の、皮相な情報収集で
かき集めた言葉を総合すると、
「人のことを考えなさい。」
だった。
ある心療内科医は、
ミスを出した２人の会社員を例にあげていた。
１人は、大ミスを出して、
「自分の評価が下がるのでは」、
「自分はリストラされてしまうんじゃないか」、
と不安や恐怖を抱え込んで、
思考停止してしまった。
しかしもう１人は、人のことを考えた。
大ミスを出して、
「自分のミスで一番迷惑をかけた人は誰か？」
「その人に自分ができることは何か？」
と考えて、行動した。
ストレスを味方につけ、
病気になることなくのりきったのは、後者だ。
これを読んだ時、私は恥ずかしいことに、
「そんなぁー、ストレスで、
自分の寝食さえままならないのに、
人のことを考える余裕なんてないよぉー」
と思ってしまった。そのとき、
ストレスで眠れない私の睡眠時間は、
５日分をたしても、
通常の１日分にも足りなかった。
さらに、別のお医者さんは、
「人に優しくしなさい。」
と。ストレスを抱えて自分が辛いからといって、
人にあたったら最悪だと。
人にあたったら、さらにどんどん自分が
辛くなり、心に穴があいてしまうと。
これは、痛く、腑に落ちた。
私は以前、ストレスに潰れそうな時、
家族にあたった。
家族を傷つけた。
あたればあたるほど自分は心が荒れていった。
後悔してもしきれない。
あんな思いは二度とさせたくないし、したくない。
「よし、人のことを考えよう！」
「ストレスな時こそ、人に優しくしよう！」
私は、エイヤー！ で、腹を決めた。
だって、このまま何もしなかったとしても、
ただストレスにやられ、眠れない、食べられない、
ただ弱っていくだけだから。
その晩、家族とオンラインで
御飯を食べている時、
私は、ストレスフルだったから、
ちょっとしたことでイラッとした。
いつもの私なら、
「今の私のツラい状況をわかってくれ」
と自分の話をはじめるところだ。
だけど、ストレスな時こそ人に優しく。
私は家族の状況を思いやって、
なけなしの優しさをふり絞って言葉をかけた。
自分のための優しさでしょ？
エゴじゃないの？ と良心が痛んだ。
だけど、
「ありがとう！」
思いもよらぬ言葉が家族から返ってきて、
その瞬間、スーッと体から
何かが抜けていくような感覚がした。
癒されていた。
すると、さらに人に優しくしようと思う。
たとえ最初はエゴだったとしても、
なけなしの優しさふり絞って
まわりとかかわっていくと、
なぜか自分のほうが癒されている。
やがて心から自然に人に優しくできると知った。
私は考えた。
「もし、私がストレスで潰れてしまったとしたら、
そこで一番迷惑するのは誰？」
私の書くものを待ってくれてる「読者」。
私の授業を楽しみにしている「生徒」。
その人たちのことを想うと、
想うそばからもう、
自分の「やるべきこと」が浮かんできた。
「こうしちゃいられない」
気がついたらもう、授業の準備をしていた。
つまり、「行動」していたのだ。
仕事に向かっても、
胃の暗い「ズン！」はあるままだったけど、
ただ横になってクヨクヨそのことばかり考えているより、
自分にとって大切な人のことを考えて、
行動してるほうがよっぽどいい。
そうして、私は、じっくりと、
ストレスの大波をのりこえていた。
胃に穴はあかなかった。
体もちっとも壊さなかった。
仕事はむしろ一歩、進化した。
「ストレスで胃に穴はあきません。」
あのとき飲み込めなかった言葉が、
いまならわかる。
ストレスなことが起こった時、
自分だけにフォーカスし、
「自分が世界で一番可哀想」と思ってしまったら、
不安や恐怖など、ストレスに付随する感情に、
どんどんフォーカスしてしまう。
すると感情は毒となり、
心身を病気にしてしまうことがある。
だけど、「不安」や「恐怖」は悪いものではなくて、
「ヤバいぞ自分、適切な行動をとれ」
と教えてくれるものでもある。
そこで、人のことを考える。
「この状況で自分が大切にすべき人は誰？」
と考えることで、
自分の置かれた状況を客観視できる。
「その人のために自分にできることは何？」
と問うことで、「行動」することができる。
不安や恐怖は、行動によって、
いい方向に昇華される。
だから、感情を毒にすることはない。
つまり、ストレスが来ても、
感情をいいほうに向けて、毒にしなければ、
胃に穴はあかない。
今回ストレスの大波をのりきって
私がつかんだこと、
「ストレスが来たら、人を想い、人に優しく。」
この先ストレスが来たら
なんどでも自分に言い聞かせよう、
と私は思う。
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お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
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読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう？
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
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（書き下ろし236ページ）
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