Lesson1029
なんだそうか!人はヒトがコワいんだ
2022-02-09
「人間が一番怖いのは、人間です」
それが“本能”という
専門家の言葉を見つけ、
「なんだそうか!」
私は、長年の謎がスーッと解けた!
これからは、もっとラクに、
人の中に入っていけそうだ。
…………………
せっかく新しい人にたくさん出逢える
チャンスが来て、いまこそ
付き合いを広げるときだというのに、
いっこうに馬力が出ない、
それどころか、
どんどん人見知りになってくような、
気づいたら人から遠ざかってくような、
そんな経験をした人はいないだろうか?
私は1度だけある。
もともと私は人が好きだ。
子どものころ、
親戚などが家に遊びにくると、
帰り際、私が、あまりに哀しがって
“帰るな”と泣くので、
ツラかったと、いまだに親戚に言われる。
企業で編集者をしていた16年間も、
公私ともに、人と話すのが大好きで、
「山田さんは本当に人が好きね」、
「初対面にも物おじしない人はいいなあ」
と上司や同僚からよく言われた。
だから会社を辞めて独りになった時は、
さみしくて、淋しくて、寂しくて。
フリーランスになったものの
なかなか仕事が立ち上がらず、
だれとも会えず、だれとも話さず、
独りこもって書く生活。
たった独り、毎日、3度、3度、
食べるごはんが胸につかえた。
「もう1回社会に入って教育の仕事をするんだ」
「そしたらまたたくさんの人に逢える!」
2つの願いが心の支えだった。
5年たつころ、
5年は永く何度も潰れそうになったが、
地道にコツコツ積み上げた努力で、
ようやく仕事の芽が見え始めた。
私は再び人の中へ。
出版イベント、講演、ワークショップ。
300〜400人規模のイベントはざらで、
いちばん多いときで1000人。
イベントは集中する。
どの主催者もイベントをやりたい時期は
同じで、時期をバラしてはくれないのだ。
それでも、この時から今にいたるまで、
仕事に行くのが嫌だとは一瞬も思ったことがない。
それどころか、もしシッポがあったら、
全力でふって出かけていく。
あのときも、私はたった1人で、
カートを引いて、
北は北海道から南は九州まで、
人と会えるのが嬉しくて嬉しくて嬉しくて。
講演が終わっても、
私は、1時間でも、2時間でも、残って、
声をかけてくださる参加者ひとりひとり、
最後のおひとりまで、話をし、
握手をしたり(コロナ前だったので)、
写真をとったり、
本にサインをさせていただいたりした。
ところが、
この最も仕事が集中していた2〜3年間、
私は、かつて感じたことのない、
「妙な疲れ」
を感じていた。
例えば、講演が相次いだあと、
やっと休みになったような日、知り合いから、
「私の友人が、ズーニーさんの本を読んで、
会いたいって、一緒にごはん、どう?」
私は、願ってもないチャンスで、
「はい! はい! はーい!
行きます!!!!!」
と思っているのに体がついてこない。
どうした私?!
5年間も人の温もりに飢えてたんだぞ、
待ちに待った友だちつくるチャンスだぞ。
この2〜3年間だけは、
気づけば休日は、
家族や気心の知れた友人とばかりつるんでいたり、
それさえ億劫で独り休んでいたり。
自分でもわけがわからず、どうすることもできず。
「人生で初めて、ちょっとちやほやされたからって、
私は気取っているんだろうか?」
「人が好き、それが私のアイデンティティだったのに、
私は変わってしまったのか?」
当時、編集者さんがそんな私のことを
「満身創痍(まんしんそうい)」と言った。
そんなはずは…、と思ったが、
「傷ついている」という感覚が、
あまりにぴったりで驚いた。
「自分は何に傷ついているんだろう?」
その後、2〜3年で仕事量も落ち着き、すると、
もう、あの「妙な疲れ」を感じることはなくなった。
それでも、謎は解けないまま、十数年たった。
それが先日!
「人間が一番怖いのは、人間です」
多くの人に愛されている作家、
岸田奈美さんのnoteに、上記の
メンタルの専門家の言葉を見つけ、
これだーっ!!! と私は立ち上がった!
岸田奈美さん、本当によく書いてくださった。
(この
「サイン会でバーサーカーになったから、
病んだらしい(どすこいしんどみ日記)
|岸田 奈美 (kishidanami.com)」
はもちろん、前後の記事も、他の記事も、
愛があってカラダの芯から元気が出るので、
ぜひ読んでほしい。)
私の長年の謎は、スーッと、一気に解けた。
アイドルの例で説明しよう。
(これは、あくまで素人の私が、
岸田さんのnoteと、
メンタルの専門家、下園壮太さんの
『心の疲れをとる技術』を読んで、
こう理解したというものだ。
専門家でない私の解釈が混ざっているので、
その点は注意して読んでほしい。)
ここに誰よりもファン想いのアイドルがいる。
人好美(ひとよしみ)、以下「好美」と呼ぶ。
好美は、ファンを愛し、いつも感謝し、
ファンに会うのが生きがい。
握手会も大好きで、
300人でも500人でも平気どころか、
ファンから愛をもらって元気になる。
その想いに嘘はない。
しかし、人間には、
「外の人間」に遭遇すると、
恐怖の感情を発動してしまうという本能がある。
すると心拍数があがる、こぶし・首・肩がこわばる
など、体も臨戦モードになる。
つまり人間は、
自分の共同体(家族など安心して一緒にいる)の
「外の人間」に遭遇すると、心も体も消耗する。
原始人時代では、共同体の外の人間は、
「敵」。
殺すか、殺されるか、
食料を奪われるか、奪うか。
この原始人時代に培われた本能が、
現代になっても、ムダに発動してしまう。
人類の歴史全体のなかで、
現代などほんのわずかだからだ。
だから、好美が意識のうえで、
どんなにファンと握手して、
「うれしい、生きててよかった」
と思っていても、
本能のほうで勝手に恐怖を発動し、
好美は、無自覚に心を使い続け、体も、
気づかぬうちに心臓がドキドキしていたり、
首・肩・こぶしがこわばっていたりする。
好美がそのまま無自覚に、
多すぎる初対面の人間と会い続けたり、
それを長時間ずっと続けたり、
連日休みもなく会い続けたりするとどうなるか?
例えば、骨にムリな力をかけるとヒビが入る。
同様に、心にもヒビがはいり、
それでも気づかずムリをつづけると、やがて、
「心の疲労骨折」のようなことも起きてしまう。
「人はヒトがコワい」
あの「妙な疲れ」を感じた数年間、
私は、いつ、心の疲労骨折をしても
おかしくない状態だったんだ、
そんな状態でも人を求め続けていた。
「なんだ、やっぱり人が好きじゃないか」
と私は、ほっ、とした。
「人はヒトがコワい」
この本能を知っておけば、
初めての人間に、大量に、
会うようなことがあっても、大丈夫。
前後にしっかり休んで、心の疲れをとればいいのだ。
好美さんも、専門家の指導のもと、
適切な人数や方法で、握手会やサイン会をやり、
前後に休みをしっかりとって心の疲れをとれば、
これからもずっとファンとのふれあいは、
楽しく続けていけるそうだ。
例えば、これまでアイドルの人が、
ファンが恐いと言ったら「感謝知らず」と
怒られたかもしれない。
新任の先生が、生徒が恐いと言ったら、
先輩から諭(さと)されたかもしれない。
でも、それは本能に忠実ということ。
本能と知れば、周りも温かい目で見られるし、
心の疲れをしっかりとる「休み」を大事にしながら、
つとめを果たしていけるんだ、と希望が湧く。
春から、
家族や幼なじみのもとを離れ、
たった1人で、
他人のなかで生きていく人も、
それだけで心は疲れていく。
しっかり、しっかり、休んで、
心の疲れを取りながら、慣らしていけば、
やがて、外の人間だった人が、
一緒にいると心やすらぐ存在になっていく。
「人はヒトがコワい」
それでも、その本能をのり越えて、
人は新しい友だちをつくるし、
アイドルはたくさんのファンの前に出て行くし、
作家は読者とのふれあいに生きがいを見出す。
この人と人の信頼は素晴らしい。
「人はヒトがコワい」
それがわかってラクになった。、
これからは、自分のペースで、
心の疲れも楽しんだり、
心の疲れを癒したりしながら、
もっとラクに、他人のなかへ
入って行けそうだ。
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この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!
ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!
録音版をぜひお聞きください。
●「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日〜)
インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
(MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
または、iTunesからのダウンロードとなります。
ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!
▲『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
――山田ズーニー。
▲『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
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聞くところに面白さがある。
インターネット、
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「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
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『話すチカラをつくる本』
三笠書房
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いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。
『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫
自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社
『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書
内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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