糸井 |
要するに、自然科学は、今まで、
「お山の大将」だったってことですね。 |
松井 |
そうです、そうです。 |
糸井 |
ついこの間まで……。 |
松井 |
私なんか、その「お山の大将」の、
トップにいて説明してたわけですよ。 |
糸井 |
(笑)
自然科学で、普遍を求め続けた結果、
「地球が特殊だったんだ」とわかったというのは、
「ものすごい細い塔を立てた、てっぺんにいた。
そしたら、誰かが自分のことを、
イナカモンって指さしてるかもしれない」
みたいなことですね。参っちゃったなぁ……。 |
松井 |
そもそも、いわゆる素朴惑星系が
見つかった時に、それまでの常識が覆りました。
それまで何十年も惑星系探しをやってきたけど、
見つからなかったんですね。
その理由は、
太陽系を標準だと思っていたからです。
木星のように
軌道を一周するのに
十何年もかかるような惑星を
探していたけど、それは見つからない。
ところが、数日で
グルグルグルグルまわっているような
惑星系が、偶然、見つかっちゃったんです……。
それは、最初は、びっくりした。
そしたら、それまで「ノイズ」だと思って
無視していたデータが、よくよく見たら、
惑星系なんだってことになってしまった。
その結果、もう、
一二〇個ぐらい見つかっちゃった。 |
糸井 |
(笑)それは、八年前ぐらいから、急に? |
松井 |
はい。
八年前から、
「今までの前提がおかしかったんだ」
というふうになって、
その後、続々、見つかった……。
あることを思いこんじゃうと、
それ以外はまったく考えないじゃない?
それまでは、ぜんぶ、そうだったんです。 |
糸井 |
うわぁ……。
今の、何日間かでまわってる惑星って、
遠くにあるんですか、どっか? |
松井 |
いえいえ、みんな近いですよ。
この銀河系のなかで言うと、
100光年くらいのところです、
まだ太陽系の
ごく近くしか分かんないんです。
そんなに遠くはまだ検出できない。 |
糸井 |
(笑)充分、遠いけど……。
じゃあ、それまで、
太陽系を中心だと思っていた人は、
つらくなったでしょうねぇ。 |
松井 |
いや、そうでもないです。
太陽系起源論をやってた研究者は、
もうほとんどやることなくなってたから。 |
糸井 |
ヒマだった! |
松井 |
だけど、
まったくあたらしい惑星系が見つかって、
何かものすごいおもしろい確定材料が
山のように突然出てきた。
そこで、みんなそっちに
どっと押し寄せて来ちゃって。 |
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(明日に、つづきます!) |