松井 |
この中で考えていたことは、
この外でも、通用するのか?
そのくりかえしで、いつでも、
「内部の世界でわかっていることが、
外部でも成立するので」
という発想をするわけ。
これが、普遍性を求める動きなわけでしょう?
我々は、そうやって生きてきた。
「だから文明を作った」としか言いようがない。
内と外を区別できないものに、文明は作れない。 |
糸井 |
なるほど。
そういうことって、学生さんとも話すんですか? |
松井 |
いえいえ。学生とはこういう話をしないです。
理学部の学生にこんなこと言って、
惑わしたら困るもの。 |
糸井 |
(笑) |
松井 |
もっと、単純明快な世界のことを話してますよ。 |
糸井 |
グラウンドに降りたら、
ノックをする、みたいなことですね。
じゃあ、その問題って、誰と共有するんですか? |
松井 |
まぁ、
共有できる人は今のところいないですね。
この「普遍」と「特殊」の問題は、
どこでけりをつけるのか、
むずかしいと思いますよ。
展開としては、どこにでも行けてしまうし……。
そこが、おもしろいところなんですけどね。
「世界を広げていくということ」
って、そういうことだから。 |
糸井 |
妙な快感のある揺さぶりになりそうな話だ。 |
松井 |
いま、形而上の世界では、
「普遍」から「特殊」に、
価値観をシフトする必要があると思っている。
一方、形而下の世界では、
「特殊」から「普遍」に
価値観をシフトする必要がある。
ということは、人間の世界で言えば、
天才なんていう特殊なものを、もう、
評価すべきものじゃないのかもしれない。 |
糸井 |
そうかもしれない。 |
松井 |
現生人類の発展段階としては、
脳の中で、大脳皮質のいろんな部分が
バランスよく発達しているのが重要なんですよ。
天才みたいに、どこかが異常に発達してるのは、
これは、「病気」なんですよね。
ダイヤモンドを食べて生きていけないでしょう?
水と空気がなきゃ生きていけない。
天才がいるだけでは、社会は成立しないんですよ。 |
糸井 |
松井さん、今回は、そこからはじめましょう。
そこから、講演を、はじめたいと思いました。 |
松井 |
え? |
糸井 |
(笑)聞いてる人は、まずうれしいから。 |
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(次回は、月曜日につづきます!) |