怪・その8

「順番が違う‥‥」

私の祖父母は一時期、
山奥の小さな家に住んでいました。
祖父はその後寝たきりとなり、病院で亡くなりました。

祖父の葬式が終わり、
本来であれば納骨をしなくてはいけないのですが、
古い墓だったので、これを機に
新しく墓を建てようということになりました。

春先にできた新しい墓に、
祖父の骨壷を含め
先祖代々の納骨作業をしたのは、私でした。

その年の夏、こんな夢を見ました。

私は、祖父が住んでいた山奥の家に
泊りがけで来ています。
夜寝ていると電話が鳴ります。
電話に出てみると、亡くなった祖父の声でした。

祖父は電話口で
「順番が違うからなんとかかんとか‥‥」
という話をしていました。

正直なところ訳の分からない内容です。
朝起きてなんでこんな夢を見たんだろう‥‥
としばらく考えて、
ふと、あることに思い至りました。

急いで車を飛ばして墓に行き、納骨堂を開けました。

すると、祖父の骨壷と、
かなり昔に亡くなった祖父の娘(私の叔母)の骨壷が
離ればなれになっていたのです。

もちろん、祖父と叔母の骨壷を
隣同士に並べ替えたのは言うまでもありません。

先に書いたように、
代々の骨壷を収めたのは私です。
無意識に並べた骨壷の順番に、
私自身で何か引っかかっていたのか、

あるいは、祖父が夢を通して、
本当にあの世界から
私に連絡をしてくれたのかは、分からないままです。

(けんたろ)

2012-08-10-FRI