怪・その11
「中古のトラック」
うちの土建関係の仕事をしている、叔父の話です。
かなり前、叔父は兄と一緒に
仕事をしていた事がありました。
その時に、仕事で使うトラックを
買い替えようという話が出た事があったそうです。
何件か中古車屋を回り、予算にちょうどいい、
青いトラックを見つけたそうです。
年式もさほど古くないのに、妙に安く、
事故車なのでは? と叔父たちは疑ったそうですが、
特にそれらしい様子もないので、
他の人に買われてしまうのではないかと、
少し手付け金を渡して、後日残りのお金を払う約束をし、
その日は帰ったそうです。
その夜、叔父は夢を見ました。
一台のトラックが停まっていました。
よく見ると、それは昼間中古車屋で見たトラックと
同じトラックです。
ただ、色は青ではなく、赤い色をしていました。
色違いだな、と叔父は思いました。
しかし、近づいてよく見ると、
トラックから何かが滴っている。
ぽたり、ぽたりと滴るそれは赤い滴。
それは赤いトラックではなくて、
血まみれになっている、
昼間みたあのトラックだったのです。
翌朝、叔父は昨日のトラックを買う予定だったので、
兄に電話をすると、
兄はあのトラックは買わない方がいいんじゃないか、
と言い出したそうです。
そして
「夕べ、あのトラックが
血まみれになっている夢を見た」
と兄が困惑しながら話したそうです。
叔父は驚いて、実は自分も同じ夢を見た、と話し、
結局二人はその青いトラックを買うのをやめたそうです。
あのトラックに何があったのかは
わからないままですが、そのまま買って乗っていたなら、
どうなっていたのでしょうね。
(O)