怪・その12
「切り取られたカーテン」
20年ほど前のコトです。
公団のテラスハウスに住んでいました。
わたしと愛犬のフィガロは、1階にいました。
誰もいない2階で
ザザッ、という音がしました。
晩秋で、窓は閉めていました。
いやだな、と思いながらも、
フィガロを先頭にして
(嫌がっている彼女のお尻を押し上げながら)
階段をあがっていきました。
うちは、
押入れのふすまをはずして、
カーテンをかけてつかっていました。
そのカーテンが上のほうに(おしいれの内側方向に)、
半分ほど巻き上がっています
風もないのに、なぜ??
と思いながら、
茶色のペイズリー模様のカーテンをおろしてみたら
誰かがハサミを使ったのかと思うほどきれいに
下から上 斜めに1メートルほど
かく かく かく かく と正確に、
一辺が8センチくらいちぎれていました、
というか、切り取られていました。
愛犬と目をあわせ
『見なかったことにしよう‥‥』と
階下に降りました。
あとから考えてみて、一番怖いのは
その不思議な出来事をいっさい話題にせず、
さっさと新しいカーテンに付け替えた、母が怖いです。
霊感の強い人なので
カーテンのコトを質問したら、
なにか妙な怖いコトをいいそうで、
あの時、きけなかったコトを、いま思い出しました。
(さくら)