怪・その6

「向きを変える人形」

小学生の頃、
祖母の友人から
手作りの人形を貰いました。

洋服の部分が小物入れになっていて、
洋服掛けにぶら下げられる様に
なっていました。

可愛らしい人形なのですが、
私はどうも好きになれませんでした。

しかし、いただいたものなので、
部屋の洋服掛けにかけておきました。

その洋服掛けは
ベッドとは反対の壁側にあり、
寝転ぶと丁度、
人形の顔が見えました。

目が合うのは嫌なので、
出来る限り入口に向くように
かけておきました。

しかし、
気付くと
ベッドの方を向いているのです。

その頃は、
祖母が掃除をしてくれていたので、
その時にかけ直しているのだと思い、
やめてほしいとお願いしました。

ところが、祖母は
そんなことをしていなかったのです。

気持ち悪さを感じながらも、
いただきものということから
仕方なく飾っていました。

直しては向き、
というのを繰り返すうちに、
怖さが勝ってしまい、
祖母の家に持って帰ってもらい、
そこに飾ることにしました。

15年以上経ち、祖母の家には
誰も住まなくなりました。

あの人形は、
今でも
夢の中で
私のことを見つめています。

(m)

こわいね!
2015-08-07-FRI