怪・その4
「病院のエレベーター」
都内の大きな国立病院で、
確か当時、17階あたりに知人が入院していたので
面会に行った帰りのこと。
下りのエレベーターを待ち、
ようやく5台あるうちの1台の扉が開きました。
さあ乗ろうと1歩足を踏み入れたら‥‥
一番奥におじさんが一人、
奥の壁側を向いて立っているのです。
外の見える展望エレベーターではありません。
普通のエレベーター。
ふつうは自分しか乗っていなければ、
回数ボタンの前に、
ドアの方を向いて乗りますよね‥‥・。
これに、乗ってはいけない。
と思い、乗るのをやめました。
大きな病院なので
エレベーターはいつも混んでいました。
でも、その箱は、彼しか乗っていなかった。
もしかしたら実際にはない箱で、
乗ったら違う世界に連れていかれるとか。
その後、病院は立て直され、現在はきれいで、
さらに高層の大病院になっています。
彼は今も
エレベーターに乗っているのでしょうか。
(P)