怪・その5
「近所の火の玉」
20年くらい前の冬の夜。
住宅と畑が点在する田舎なので、
夜になるとほとんど人が通らず、
街路灯がポツンポツンとある道を
勤め帰りの私は自宅に向かって歩いていました。
自宅の明かりが見えた辺りで
ふと
何か気配を感じました。
すると
地上から3m程度の高さを
黄緑色をしたハンドボール程度の光体が
大きなS字を描くように
「ふわふわふーっ」と
私を追い抜いて、
自宅方向に落ちて消えたように見えました。
その日は夜も遅かったので、
翌朝この話を両親にしたところ、父が
「ああ、あの辺りは○○さん(お隣さん)とこの
屋敷墓があったからなー」
と教えてくれました。
場所を訊いたら、
なるほど昨夜の光体が落ちたのは
お隣さんの家の裏のような感じがしました。
その場所は
私が子供の頃に大雨で陥没した事があり、
昔のお墓なので当然土葬だったため、
大人たちが大騒ぎしていた事がありました。
当の私は、近所の子と
穴の中で遊んでいましたけどね‥‥。
(穴ずきん)