怪・その51
「事故物件の部屋」
あれは、私達が公営住宅に入居する前のことです。
私達が入居することになった部屋は
いわゆる事故物件と呼ばれる部屋で、
2年ほど前にこの部屋に住んでいた男性が
亡くなったとのことを
入居の申し込み時に説明は受けていました。
詳しい死因などは
プライバシーの関係もあるのでしょうが、
言われませんでした。
そのことを理解した上で
住むことにしたのですが、
何かあっては嫌だなと思い、旦那と相談して
その地域の氏神様にあたる神社の神主さんに
お祓いを頼むことにしました。
お祓いを受ける日、
私達夫婦は少し早めに団地に到着しました。
ちょうど時刻は
夕方の4時頃だったと思います。
団地の階段を上ろうとすると、
1階部分の蛍光灯が点いていたにも関わらず
突然パチン! と音を立てて
消えてしまいました。
何だか嫌だなぁと思いながらも
私達が住む2階の部屋の前に到着しました。
怖かったからではないのですが、
私は神主さんが分かりやすいように
団地の前で待っていようと思いました。
旦那に部屋の鍵を渡し、
先に入っているように頼みました。
お祓いも全て済んで帰る車の中で
旦那は言いました。
「玄関ドアを開けたら、
すぐ向かいの和室の
全開になっている襖から
真っ黒で
全身がテレビの砂嵐のようになっている人が
にゅっと覗いてきたんだ」
と。
霊感のある旦那は、その時が初めて
部屋に入る日だったのですが、
当然のようにこの部屋で亡くなった男性が
様子を見に来たのだと分かったのだそうです。
(K)