怪・その33

「ほんとうは4号室」

吉野の山奥で、
会社の仲間たちとバーベキューをした
ある夏のことです。

男性たちは
離れの一軒家のような建物を借りていました。
女性たちは
「クラブハウス」と呼んでいる母屋の一部屋でした。

「クラブハウスの2階の5号室」
と言われて、
女性3人で探してみるのですが、
見つからないのです。

フロントに戻ってその事を話し、
係の方に案内してもらうと、
確かに何度も通ったところです。

少しだけ奥まった部屋への入り口を
見落としていたようでした。

ただ、そこは4番目の部屋。
縁起が悪いから「5」にしたようでした。

ところが、部屋に入り、荷物をおいた途端、
ひとりが急に「頭が痛い」と言い出しました。

部屋はごく普通の和室で、
変わったところは何もないのですが、
私ともうひとりも、落ち着かないのです。

急いでお昼のバーベキューをするために
離れへと向かうと、
頭痛がしなくなった、というのです。

それからは部屋に戻りたくなくて、
離れの一部屋ですごしたのですが、
翌朝、不思議なことが起こりました。

荷物は5号室に置いてあり、
お風呂の後の手拭いを
室内に干していたのですが、

3人並べて干していた手拭いの、
「頭痛」の彼女の手拭いだけが、びっしょり。
いま絞ったばかりというような状態です。

恐ろしくなって、
離れの男性たちに話すと、
面白がって見に来てくれたのですが、
そのうちのひとりが
窓の障子を開けた途端、「あっ!」。

窓の外は、墓地。

昨日、部屋についた時には、
気が付かなかったことです。

墓地のせいなのか、
ほんとうは「4号室」だからなのか、
気味の悪い経験をしました。

以来、会社で
給湯室やトイレのタオルが乾いてないと、
みなが思い出して、「ゾーッ」としています。

(たびたび経験する、よっちぃ)

こわいね!
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2019-08-27-TUE