怪・その34
「線香のにおい」
まったく霊感のない私の、
怖かった体験です。
ある朝、車で都内の仕事先に立ち寄り、
雑談をしていたところ、
鼻先にすっと
お線香の香りがしたので、
「あれ、なんかお線香臭くない?」
と聞いたら、職員のひとりが、
「あ、私かも、昨日お盆迎えしたから」
ということだったので、
すっかりそのことを忘れて、その足で、
都内から千葉の友人宅に向かいました。
彼女の庭の駐車場に車を入れ、
車外に出て上を見たら、
彼女が手を振ってくれたので、
おつかれ〜、と言いながら家の中に入りました。
すると彼女が「あれ?」というので、
「何?」と聞いたら、
「や、さっき車から降りた時、
男が羽交締めにくっついてたから。」
と。
先程の線香の話をしたら、
「あ、それだ。逃げたんだ」
と言われました。
彼女はとてもパワーが強いので、
霊が逃げる、ということでした。
私はまったく見えないので、
信用する根拠のないことのようですが
妙に納得しました。
というのも、
ひとり、彼女の家に向かう車中、
私自身が
とてつもなくマイナス思考に陥り、
普段なら考えないような
「ちくしょう、あいつのせいだ」とか
「何でこんな目に遭わないといけないんだ」
「あいつが私を酷い目に遭わせてる」とか
最後には
「死んじゃおっかな」とまで
思い詰めていたからです。
そして彼女に会った途端、
すっかり元の自分に戻りました。
その考えのマイナスの流れが
霊の考え方なのか。
と、妙な体験でした。
(u)