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さっき、ぱっと描けちゃうときって
りす以外の脇役キャラクターとか背景とか
他のぜんぶのイメージが
集まってくるときっておっしゃてましたが‥‥。
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藤岡 |
はい。
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── |
描いていて「おもしろい絵」になるときって
どういうときですか?
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藤岡 |
そうですね‥‥。
「おもしろい」のは、描いてる途中に
「あ、これも描こう!」って足したものかも。
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── |
途中で、足されるもの?
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藤岡 |
はい、ふと思いついたアイディアというか、
ちょっとしたユーモアというか。
そういうものを、絵のなかに
入れたくなっちゃうときが、あるんです。
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── |
すると、絵が、おもしろくなる?
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藤岡 |
そういうときって
「ただ、りすがいる」というだけじゃなく
何というか‥‥
絵のなかでお話がはじまってるんです。
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── |
単なる絵じゃなく、物語になってる。
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藤岡 |
りすのほかに、もうひとり
ちっちゃい脇役みたいなのが思い浮かぶと、
その子が、何かこう‥‥
全体の雰囲気をよいものにしてくれたり。
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── |
へぇー‥‥。
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藤岡 |
そのキャラクターが登場してくることで、
逆に、りすの性格が
くっきりすることもあったりしますし。
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── |
まさに「いい脇役」の役割ですね。
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藤岡 |
なにより、みんなが
その子のことばっかり言うんです。
「あの絵のはじっこにいたあの子、
かわいかったね」って。
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── |
ラインナップをじっくり見ると
けっこう変わったテーマの絵もありますね。
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藤岡 |
わりとチャレンジしてます(笑)。
「りすがこれやったらどうだろう?」って
いつも考えてますので。
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── |
われながら「これは珍品だなあ」っていう
テーマは、ありますか?
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藤岡 |
やっぱり‥‥プロレス、かな。
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── |
プロレス。
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藤岡 |
はい。プロレスラーの高山善廣さんから
ご注文をいただいて、
プロレスのパッケージをつくったんです。
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── |
りすの? りすのプロレス?
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藤岡 |
そうそう。
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── |
高山さんて、あの、高山善廣さんという
身体の大きな、金髪の。
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藤岡 |
そうそうそう。
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── |
「PRIDE男塾塾長」と呼ばれた
ドン・フライ選手と
PRIDE史上に残る壮絶な「どつきあい」を演じた
あの、高山善廣選手ですか?
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藤岡 |
いえ、そのことは知らないんですが‥‥。
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── |
いや、特徴からして
確実にその高山善廣選手なんですけど、
高山選手が、りすのクッキーを。
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藤岡 |
たしか、お子さんの出産内祝いのために
何百個もご注文をいただいたみたいなんです。
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── |
なるほど。
それでオリジナルのパッケージを描かれたと。
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藤岡 |
どうしても、きちんと描くことができずに
お断りしたご注文もあるのですが
プロレスなら描けるわと思って引き受けました。
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── |
はー‥‥あのりすたちがプロレスですか‥‥。
ちなみに「描けなかった」のって、何ですか?
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藤岡 |
「GT車」とか。
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── |
プロレスは大丈夫で、GT車はむずかしいという、
そこの線引きは、どのような?
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藤岡 |
自分でも、よくわからなくて(笑)。
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── |
かたくて角ばってるものがダメだとか‥‥。
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藤岡 |
たしかに、そう、角張っているものよりは、
やわらかいもののほうが(笑)。
だからプロレスなら、描けそうかなあって。
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── |
何かを参考になさったんですか?
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藤岡 |
たしか「プロレスの雑誌」を
3冊くらい買ってきて、じっくり読み込みました。
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その場面を想像すると
すみません、ちょっとおかしいです(笑)。
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藤岡 |
でも、雑誌をずっと眺めていたら
「この技、
りすがやったらおもしろいかも!」
とか思えてきたんです。
そうなった時点で
「わたし、プロレス、絶対描ける!」って。
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── |
はー、その時点で「絶対描ける」と(笑)。
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藤岡 |
けっこううまくいったなと思うんですけど
ひとつ、高山さんのパンツを
たまたま「赤パン」にしちゃったんですね。
そしたら「パンツは黒です」って(笑)。
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── |
でも「プロレス」って、
きっと藤岡さんご自身からは出てこなそうな
テーマですよね。
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藤岡 |
お客さまのリクエストにお応えするのって
別のプレッシャーがあるんです。
失礼があったりしたら、いけないですし‥‥。
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── |
「パンツが赤かった」とか(笑)。
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藤岡 |
そう、そうなんです(笑)。
でも、自分からは出てこなそうなテーマを
描かせてもらえたりするから、
とっても、おもしろいなと思います。
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── |
ちなみに、ご自身で好きな1枚は?
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藤岡 |
自分では「鬼シャワー」という絵が好きです。
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あ、じょうろで雷さまが雨を降らしていて
りすさんがシャンプーしてるという。
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藤岡 |
はい、そうです。
あのときも、描いているうちに
「あ、雨の絵にしよう」と思ったんですね。
で、雷さまが雨を降らせている絵にしたら
りすさんはシャンプーしよう、
雷が鳴っているから、おヘソを押さえて‥‥。
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── |
聞いてるだけで、かわいいです。
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藤岡 |
アイディアが、どんどん足されていきました。
描いていて、とっても楽しかったんです。
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── |
これからも、りすを?
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藤岡 |
はい、描いていくと思います。
楽しいので、ずっと。
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── |
「職業意識」は、やや曖昧でありつつ(笑)。
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藤岡 |
はい(笑)、でも、わたしの絵を
待っていてくれる人がいるんだと思ったら
やっぱり、描き続けると思います。
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ちなみに、ご自身のこと
「りす作家」って思ってらっしゃいます?
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藤岡 |
いまは‥‥ちょっとだけ思ってます(笑)。
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── |
「ちょっとだけ」って、いいですね。
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藤岡 |
もちろん「わたしりすしか描きません!」
なんて、
そんなふうには、思ってはいませんけど。
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では、今後、別のモチーフも?
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藤岡 |
チャレンジしていきたいですね。
たぶん、人と少し変わってるんですけど、
わたしの好きな動物から。
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── |
‥‥変わってるというのは?
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藤岡 |
ヘビとか、虫とか、カエルとか、カメとか
好きなんです。
だから‥‥そのあたりから。
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── |
方向性としては、は虫類、両生類、昆虫類。
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藤岡 |
クッキーの箱には
ならないかもしれませんけど‥‥(笑)。
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── |
でも、それ、
藤岡さんの作品として純粋に楽しみです。
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藤岡 |
ありがとうございます。
わたしも、自分で、楽しみなんです(笑)。 |
<おわります> |
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