よくわかるフォト絵講座。

その1 「材料」を撮りに街にでる

きょうからはじまりました「よくわかるフォト絵講座」。
「フォト絵」のつくりかたを
その生みの親である福田利之さんに
たのしく教えていただこう! というものです。

あらゆる景色がおもしろくなっちゃう、
「フォト絵」の発想のヒントがあれば、
ぜひ、教えてもらいたいと思いませんか?
プロのようなイラストは描けなくても、
自分のアイデアで「わたしのフォト絵」がつくれたら、
それはやっぱり、うれしいことだと思うのです!

というわけで、まずはまずは、
「フォト絵」の制作現場を見学することになりました。
数々の作品は、どうやってつくられているのでしょう?

この「フォト絵ができるまで」編は、
モギ山下のレポートでお届けいたします。
どうぞたのしく、お読みくださいませ。

モギ あれ? ねえあれ、福田さんじゃない?
山下 ほんとだ、もう写真を撮ってます。
 
モギ 福田さーん。
山下 おはようございまーす。
福田 あ、どうもどうも。
 
モギ きょうはよろしくお願いしまーす。
福田 なんかすみません、
わざわざ吉祥寺まできていただいて。
山下 いえいえ、きょうはぜひ
吉祥寺のアトリエにもお邪魔したいので。
福田 アトリエといっても、
ほんと狭いとこですけど。
山下 いえいえいえ、そんな。
福田 いやいやいや、ほんとに。
山下 いえいえいえいえ。
福田 いやいやいやいや。
山下 いえいえいえ‥‥。
モギ あの‥‥。
福田 はい?
モギ 時間もあまりないことですし、
さっそく写真を撮りに、ね?
山下 ですね、まいりましょう!
 
山下 ‥‥やあ、あいにくの雨です。
福田 すみません。
モギ なぜ福田さんがあやまるんですか(笑)。
福田 いや、ぼくが「ほぼ日」さんとご一緒する日は
なんでか、雨がよく降るんですよ。
山下 ああ、言われてみればそんな気が‥‥。
福田 なんでやろ‥‥。
ま、雨にぬれるのも、あれですから、
アーケードに入って撮りましょうか。
 
福田 では、撮っていきますね。
山下 わかりました。
いつものようにやってください。
ぼくら、ついていきますので。
福田 はい、よろしくお願いします。
 
山下 ‥‥探してますね。
モギ 探してる探してる。
山下 あ、さっそく!
 
山下 あれがなにかに、みえてるんでしょうねえ。
モギ あ、また撮った。
 
山下 建物を撮ってますね。
モギ ほお、こんどは靴屋さんの前で。
 
山下 どんどんいってますね。
モギ おや、福田さん、犬を見つけました。
 
モギ あれも撮るね。
山下 撮るでしょうね。
モギ ‥‥‥‥‥‥。
山下 ‥‥‥‥‥‥。
モギ ‥‥‥スルーした。
山下 とくになにもみえなかったのでしょう。
犬は犬、ということで。
モギ ん? あれれ?
福田さん、レンズを向けてこっちにくるよ?
福田 失礼します。
 
山下 モギさんを‥‥。
 
山下 そしてモギさんの靴を‥‥。
モギ なんか、緊張。
山下 福田さん、真剣ですね。
 
モギ な、なにかみえますか?
福田 ‥‥‥‥よし。
撮影おわりました。
モギ 早っ!
福田 けっこう撮りましたから。
きょうは3枚くらいつくればいいですよね?
山下 はい、「フォト絵」ができるまでが
みなさんに伝わればいいので。
福田 では、現像しにいきましょう。
 
モギ ‥‥きょうの福田さん、キビキビしるね。
山下 はい、とても‥‥。
 
山下 現像はいつも、ここで?
福田 ええ、データを入れれば
1時間も待たずにできますから。
モギ デジカメなんですね。
福田 はい、最近はもっぱら。
前はずっとフィルムだったんですけど、
やっぱり便利ですので。
‥‥ええと、これでよし、と。
山下 では、プリントを待っているあいだ、
お昼ごはんでも食べながら、
ちょっとお話をうかがえますか。
ええと‥‥どこのお店がいいかな‥‥。
福田 うーん、カレーにしましょうか。
モギ カレー! いいですね!!
福田 じゃ、いきましょう(行く)。
モギ いぇーい(行く)。
山下 ちょ、ちょっと待って‥‥(追う)。
 
福田 おいしいですよね、このお店。
山下 はい、ぼくもよく食べにくるお店です。
モギ あの、福田さん、
そもそものお話をうかがってもいいですか?
どうして「フォト絵」をはじめたのでしょう。
福田 はい、それは山下さんと
はじめてお会いしたときにも
お話しましたよね。
山下 そうですね、なつかしいですね。
もう4年近く前のことですよ。
福田 そんなになりますか。
モギ あらためてもう一度、
うかがえますでしょうか?
福田 もちろんです。
はじめたのは大学4年のころで、
旅をするのと絵を描くのが好きだったので、
両方いっしょにできることはないかなあと
考えて思いついたのが最初でした。
モギ それからずっと。
福田 そうですね、ずっと。
モギ さっきは、どんどん写真を撮ってましたけど、
やっぱり、なにか顔が見えて
シャッターを切ってるんですか?
福田 それは、ふたとおりあるんです。
これはこうすると顔になるな、
と撮る段階からわかってる場合と、
なんかわからないけど
おもしろいから撮っておいて
あとで考えて「フォト絵」にする場合と。
山下 それは4年前にもおっしゃってました。
一貫して変わらないんですね。
福田 はい。
でも最近は、あとで考えるほうが
多くなっていると思います。
山下 あ、そうなんですか。
福田 考えるのがたのしいんです。
ハードルの高いものを考えるのが。
モギ できるかどうかわからないものほど、
できたときうれしい。
福田 ええ、そのほうがおもしろいです。
山下 つまりそれは、
「未来の自分を信じて託す」
ということですね?
福田 ん?
モギ ‥‥山下さん、その言いかた、
ちょっとキザっぽいかも。
山下 あ! す、すみません!
うまいこと言おうとしてごめんなさい!
福田 いえいえいえ、そんな!
そ、そうです! 託します! 未来の自分に!
だから、あの、ええと‥‥
あ、カレーがきました、食べましょう。
モギ わーい、おいしそー。
 
福田 ごちそうさまでした。
モギ ごちそうさまでした。
山下 ごちそうさまでした。
モギ そのカメラ、かわいいですね。
福田 あ、はい、ありがとうございます。
 
山下 「ライカ」って書いてますよ。
福田 レンズだけ「ライカ」なんです。
かたちがおもしろいから使ってて‥‥
あの、こんなことを言うと
ダメなのかもしれないんですけど。
モギ はい。
福田 ぼく、写真のこと、ほんとわかんないんです。
ぜんぜん技術とかなくて。
こだわりっていうのも、ほぼゼロというか。
山下 でも、きれいな写真ですよね、いつも。
福田 そう言っていただけると助かります。
なんていうんでしょう‥‥
写真を撮るのは「材料」を集めるためで、
やっぱり、メインは絵を描くことなんです。
山下 「材料」を撮りに。
つまり、福田さんにとって写真を撮るのは
「画用紙を買う」みたいなことなんですね。
福田 そうですそうです、
さすがうまいこと言います。
山下 おそれいります。
福田 もう、ほんと、
なんでも「フォト絵」になるんですよ。
めをつむって、てきとうに撮っても、
「フォト絵」にできるんです。
モギ へええええ、やっぱりすごいなあ‥‥。
でもはじめての人は、
そうはいかないですよね。
福田 そうですね、
やってみようと思われたかたは、
最初はわかりやすいほうがいいと思います。
人の顔にみえるものを探したり、
動物のかたちを探してみたり。
モギ なるほどお‥‥これポイントですよ。
初心者は、人の顔っぽいものを撮れ!
福田 そうですね。
‥‥あ、ぼちぼち写真ができる時間です。
行きましょうか。
 
山下 プリントは、いつもここで?
福田 ええ、吉祥寺はだいたいここで。
あ、そうだ、たいせつなこと忘れてました。
ここにもだいじなポイントがあります。
山下 なんでしょう?
福田 写真はハガキサイズでプリントする、です。
モギ 写真はハガキサイズでプリントする!
福田 なぜなら普通のサイズではちいさいから。
かといって大きすぎればつくるのたいへん、
ハガキサイズがちょうどいい。
さ、いきましょう!
モギ 福田さんのアトリエですね?!
福田 ええ。狭いですが(行く)。
山下 ‥‥きょうの福田さんは、
ほんとにてきぱきしているなあ。
モギ いよいよ、アトリエへ!
たのしみー!!(行く)
山下 ま、待ってください‥‥(追う)。
<続きます>
2008-04-22-MON
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