よくわかるフォト絵講座。

その3 「ことば」を添えて完成!

「フォト絵」ができあがる瞬間を、
モギと山下はあらためて目の当たりにしました。
やっぱり、すごい。
「メインの実線はカッターで削った白い線で」
というたいせつなポイントもゲット。
あらためて、過去の「福田のフォト絵。」をみてみれば、
たいせつなアウトラインは「白線」でした。
あれは、カッターで削っていたのです。

さて、完成した1枚の「フォト絵」を前に、
モギと山下は、ちょっとハイな状態ですが‥‥。

モギ すごーーーい!
山下 やっぱり、おみごとです!
福田 よろこんでいただけて、よかったです。
さてと、じゃあ、つぎは‥‥。
山下 あの、福田さん、ちょっとまってください。
福田 なんでしょう?
山下 この写真を、
 
山下 このような、みごとな、
「フォト絵」にしていただいたわけですが‥‥
 
福田 みごとかどうか‥‥。
これは撮るときすでに、
どんな絵にするか決めていたパターンです。
山下 なるほど‥‥。
それで、ですね、
たいへんあつかましいお願いなのですが‥‥。
福田 はい。
山下 「福田のフォト絵。」には、いつも、
タイトルと、たのしいひとことが、
ついているじゃないですか。
モギ あ、そうか。
山下 あれを毎回たのしみにしているので、
ぜひ、この作品にも「ことば」をひとつ‥‥。
福田 わかりました。
ぼくもあの連載で、はじめて
「ことば」をつけるようになって、
世界が広がったような気がしていたんです。
絵だけでしか表現できないと思っていたところに
ことばをつけてもいいんだ、という。

で、これですね‥‥
うーん‥‥。
山下 ‥‥どうでしょう?
福田 ‥‥じゃあ、シンプルに(紙に書く)、
これでいかがですか。
 
モギ お、おお〜。
女の子がグンといきいきしてきた(笑)。
山下 すばらしいです。
福田 おそまつさまです。
じゃ、次を。時間がないですものね。
次は、やっぱりあれですね、
どういう「フォト絵」になるかを
考えていなかったケースでいきたいですね‥‥
ええと‥‥。うん、これでやってみます。
 
モギ 建物を撮った写真。
山下 これを、どう‥‥?
福田 そうですねえ‥‥‥‥。
 
モギ ‥‥‥‥。
山下 ‥‥‥‥。
 
モギ (回した!)
山下 (回した!)
福田 ‥‥‥‥では、いきます。

ガリリリリ。
ガリリリリリリリ‥‥。
 
山下 カッターナイフの先を寝かせて、
削りとる感じですね。
福田 そうですね、刃を寝かせないと、
ただ切れてしまうだけですから。
モギ ポイントです。
カッターの刃を寝かせて削ること!
山下 こうやって削ると白くなることに、
どうやって気がついたんですか?
福田 なにかのときに、破れた写真をみたら、
その破れたところに白いのがみえたんですよ。
で、削ってみたら、
きれいに白い線が出てきました。
写真の上に絵を描こうと思ったとき、
それを思い出したんでしょうねえ。
べつに白い絵の具で描いてもいいんですが、
それだと、こんなにクッキリと白くならない。
あと、思い通りにいかないのが好きなんです。
線がすこしギザギザになって、
ちょうどいいヘタさになるんです。
モギ なるほどぉ‥‥。
福田 うーん‥‥。
こんな感じかなあ‥‥。
 
モギ お、テントウムシ。
山下 ここから色をつけるわけですね。
福田 ‥‥‥‥いや、これは、やめましょう。
山下 へ?
福田 あんまりよくないです。
モギ かわいいと思うんだけど‥‥。
福田 ありがとうございます。
でも、見切ることもたいせつですので。
次にいきましょう、時間もないですよね。
ええと‥‥それでは、これで。
 
山下 あ、モギさんの靴だ。
福田 これは半分くらい思いついていたケースです。
靴の下に余白がありますよね。
ここに、からだを描き足そうと思ってました。
モギ からだ? ということは、これ、いきものに?
福田 やってみます。

ガリガリガリ。
ガリリリ、ガリリリリリ‥‥‥‥。
モギ 福田さんが、あたしの靴を
「フォト絵」にしてますよ〜。
 
山下 やっぱり早い‥‥。
もう、かたちがみえてきました。
 
モギ それってもしかして?
福田 色をぬりましょう。
 
モギ わわわわわ!
福田 ‥‥完成です。
つくりながら「ことば」も考えました。
 
モギ うれしー!
かっわいいじゃあないですか、あたしの靴。
山下 忠犬ということは、2匹の犬ですね。
で、足ということで犬の名前が、
ガニーとマター。
「がにまた」ですか(笑)。なるほどー。
福田 もういちまい、いきましょう。
山下 福田さん、リクエストがあります!
最後は、ぜひ、上下をさかさまにするやつを。
さらに、「撮るとき考えてなかった」ケースで
お願いできますでしょうか。
福田 わ、わかりました。
素早く選びましょう‥‥これでいきます。
 
モギ 靴屋さんの前で撮ってたやつですね。
福田 では。

ガリ,ガリガリガリ。

削るのは、これでよし。
モギ え? それしか削らないんですか?
福田 これはぼくの考えなんですけど、
「フォト絵」は、手を加えないほど
いいんじゃないかと思うんです。
山下 あまり削ったり色をぬったりしていないほど、
いい「フォト絵」であると。
福田 はい。
モギ ポイント、いただきましたー。
手を加えないほど、いい「フォト絵」!
福田 じゃあ、色をぬりますね。
そうだ、ここにもポイントがあります。
モギ はい、よろしくお願いします!
福田 ぼくは「アクリル絵の具」というのを
使っているんですが、
これを水で薄めずにぬっていきます。
こうやって、直接筆にとって‥‥。
 
山下 パレットをつかわずに?
福田 つかってもいいんですが、
その場合も、水でうすめずに。
「絵の具をぬる」というよりは、
「絵の具を置く」感覚ですね。
 
モギ ポイント!
絵の具は水で薄めず、置くようにぬるべし。
福田 完成です。
 
山下 ああ、上下さかさまで‥‥。
モギ ちょっと描き加えただけなのに‥‥。
山下 「ふたりでひとつよね」っていうことばが、
またじわじわ効いてきますね。
モギ ほんと。
このふたりが、なにか白いものを
仲良くいっしょに持ってるみたい。
山下 すばらしいです!
モギ ほんとに、すごい!
福田 いや、どうも、ありがとうございます。
山下 すばらしい3作品が、
あっという間にできあがりました。
モギ 福田さん、記念撮影、記念撮影!!
福田 あ、はい、こうでしょうか‥‥。
 
山下 ばっちりです。
ありがとうございました!
福田 こちらこそ。
時間、間に合いましたか?
山下 はい、ギリギリ大丈夫です。
急がせてしまってすみません。
福田 よかったです。
では、おふたりとも、
急いで戻ってください。
モギ ‥‥‥‥え?
福田 ん? お急ぎなんですよね?
山下 ‥‥ええと、はい。
3時に戻ることになっています。
福田 ‥‥あ、片づけとかはいいので、
急いで向かわれたほうが‥‥。
山下 え?
福田 ん?
モギ うん?
山下 ‥‥‥‥あの、ですから、
福田さんも、一緒に行くん、ですよ?
福田 え? ぼくも?
モギ このあと3時から、
乗組員のワークショップに
きていただくことになって、ましたよ、ね?
福田 そうでしたっけ!!?
山下 そうですよ、お伝えしましたよ?
それのために急いでくださっていたのでは?
福田 いや、おふたりが3時から、
別のご用事があると聞いてたので。
‥‥それが、ぼくに関する用事でしたか!?
山下 そうです! なので急ぎましょう!
生徒たちが待っています!!
福田 すみませんすみません‥‥どうしたら‥‥。
モギ とにかく、行きましょう!!
福田 あ、はい、いや、でも、あの、
ぼく、洋服を着替えましょうか?
山下 いいですいいです、そのままで!
モギ まいりましょう!!
福田 は、はい。

そんなわけで、
ワークショップの約束を
すっかり忘れていらした福田さんを、
失礼ながら急き立てるようにして、
われわれは井の頭線に飛び乗ると、
一路、「ほぼ日」オフィスへ。

「フォト絵」をやったことのない、
6人の迷える乗組員たちよ、
いましばらく待ちたまえ。
福田利之先生を、ワークショップにお連れするまで!

以上、「フォト絵ができるまで」編でした。
「乗組員・ワークショップ」編へと‥‥

<続きます>
2008-04-24-THU
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