絵を描くふたりは 国境を超えて。  アンネ・ヴァスコ(FIN) + 福田利之(JPN)  〜 ムーミンの国とカッパの国を、いったりきたりの物語 〜
─── では福田さん、
人生初のインタビュー仕事、
つづきを訊かせてください。
福田 はい。
このあたりからルミちゃんが乱入してきます。
─── そんな様子も含めて。
福田 含めて。
では、お聞きください(クリック)。

※通訳/森下圭子さん
福田 すみません、インタビューの続きを。
アンネ はい、インタビュー。
ルミ にゃにゃにゃーーー!
福田 にゃーー!(笑)
‥‥えーとですね、
日本にはどんな印象がありました?
アンネ 最初に思い出すのは、
温泉につかっているおさるさんです(笑)。
福田 へえー、そうですか(笑)。
アンネ あとはやっぱり、「美」ですね。
美しさ。
自然の美しさと、調和。
福田 なるほど。
日本人に、好きなアーティストは?
アンネ わたしはもちろん、
ここではフクダと言わせていただきます(笑)。
福田 あ! いやいや、すみません気を遣わせて。
アンネ あとは、作家さんで、羊をめぐる‥‥。
ムラカミハルキですね。
福田 村上春樹。
ルミ ムーミー、ムーミー!
(ルミちゃん、自分の名前がうまく言えずに)
福田 おお、ムーミーーン!
(福田さんはムーミンに聞き間違えている)
‥‥ムーミンといえば、ここでちょっと、
通訳してくださってる森下さんに
質問してもいいでしょうか?
森下 わたしにですか?
福田 はい。森下さんは、なぜぼくに
アンネさんを会わせてくれたんですか?
森下 それは、もう、何よりも、
作品を初めてみたときのひらめきです。
福田さんの原画を最初にみたときに、
なんでしょう‥‥
見る人が心を開いて自由に鑑賞できる絵を、
差し出してくれる作家さんだな、と思いました。
みる人の心を、ぱっと開かせてくれるような。
ふたりとも、
そういう世界を持ってると思ったんです。
福田 そうでしたか。
森下 それで、会わせたくなったんです。
福田 ありがとうございます、会わせていただいて。
森下 いえいえ(笑)。
アンネ いま、自分の中ですごくたのしみなのは、
わたしのことをまだ誰も知らない、
そういうところで作品を展示するでしょ。
わたしに対する先入観がないところで
好きなことができるっていうのは、
すっごいたのしみなんです。
福田 ああ、それは、
ぼくも去年、
フィンランドでやったときはそんな感じでした。
アンネ ああ、そうですね!
ルミ アイスクリーム! アイスクリーム!
福田 はい、アイスクリーーム(笑)。
ルミ ライオーン! ライオーン!
福田 ライオーーーーン(笑)。
ガオー!

‥‥ええと、じゃああの、
最後にえっと、今回の展覧会への
意気込みっていうと変ですけど‥‥
こう、何を伝えたいですか?
その展覧会を通じて、日本の人に。
アンネ うーん‥‥
答えが難しいですが、
たぶん、それは、「元気づける」とか。
福田 はい、はい。
アンネ あとは「願い」とか。
福田 はい。
アンネ 何かこう……何かの助けになればと思います。
たとえば、絵本に出てくる主人公は、
勇気を持ってがんばろうとしている
架空の動物だったりするので。
ルミ ライオーーーーン!
福田 ライオーン(笑)。
‥‥なるほど、わかりました。
では、インタビューはこのあたりで。
アンネ インタビューは終わりですか。
福田 はい。
じゃ、どうも、あの、がんばりましょう。
アンネ そうですね、
頑張りましょう、やりましょう!
ルミ ムーーミーー!!

─── すばらしいです(拍手)。
福田 すみません、
笑いを盛り込めなくて。
─── だから(笑)、それは大丈夫です。
十分、たのしいインタビューでした。
いや、これは大成功ですね。
福田 歌にくらべて(笑)。
─── 歌にくらべて(笑)。
いやいや、あれもぼくの判断ミスですから。
とにかくインタビューを、
ありがとうございました。
福田 こちらこそ、ありがとうございました。
─── じつは、福田さんのそのインタビューのあと、
アンネさんから森下さんに、
こんなメールが届いたのでそうです。
福田 どんなメールです?
─── 許可をいただいているので
お見せいたしましょう、こちらです。


ケイコ、本当にありがとう。
カッパがうちに来てくれたこと、
本当にうれしかったです。
あまりにもたのしい時間でした。
とくに、たき火最高!

カッパを知れば知るほど
いっしょにいろんなことができるのが
たのしみでたまらなくなります。
この2人展が実現できて、
そこからまた新しいことが
生まれてくれたらいいなと思ってます。
そして笑いもね。
ますますの笑いを!!
個人的には今回あらためて、
自分がこの2人展と、
そして将来的にもどんなことがしたいのか、
どんな仕事を心がけたいか、
その気持ちがかたまった気がします。
もっと自由で、もっと直感を信じて。
合理的なものや理性的なものを減らして。

カッパからのインタビューでの質問のこと、
あれから考えています。
あのときの答えを少し補わせてください。
私は話をするより、書いたほうが
きちんと自分の気持ちを伝えられるんです。

私にとってイラストを描くことは
言語のようなものかもしれません。
どこかよそよそしさもあるけど、
同時にとっても親しい存在でもあるんです。
でもよそよそしさには近づきたいと思ってる。
言葉はいつもどんどん学んで
上手に話せるようになりたい‥‥
ひたすらそう思うように、
絵を描くことについても考えています。
言葉で遊べるように、絵でも遊び、
言語を分析したり
言語にいろんな方向から
アプローチをするように
絵とも接しています。
とても個人的な存在にもなり得るし、
同時に皆のものでもある。
それはすべての人に開かれていながら、
でも何か秘密めいたものを隠しておける。
それを使って気持ちを吐き出すこともできれば、
魔法がかかったような
魅力的でひきつけられる世界を
見つけることもできます。

イラストレーターとして‥‥
ひとつ言い忘れていたことがあります。
「遊び心」も大切だということ。
しかめっつらな仕事をしていてもです。
フィンランドでは、
なんとなく大人が許されていない心なのですが。
ある意味、
ふんばって実現しなくちゃならないことです。
遊び心で、遊び心を獲得します!

こんな感じです。
ケイコ、ありがとうね!

                 アンネ
福田 ‥‥ありがとうございました。
─── すてきなメールですね。
アンネさん、ぼくもお会いするのがたのしみです。
福田 会場にいらっしゃるので、
ご紹介できると思います。
─── さあ、こんなところでしょうか。
福田 そうですね。
─── 関係ないことも含めて、
たっぷりお伝えしてきました。
福田 ありがとうございます。
─── 「2人展」はこの記事が掲載される日に、
初日を迎えている予定です。
福田 いよいよ、ですね。
─── ぜひみなさん、足をおはこびください。
くわしくは、福田さんのホームページで。
福田 よろしくお願いします。
─── お邪魔にならない程度に、
ぼく(ほぼ日・山下)も、
会場に通わせていただきますね。
福田 はい、ぜひ。
─── 会場の様子を、
なんらかのかたちで、お伝えしようと思います。
福田 なにからなにまで、感謝です。
─── こちらこそ、
こんな機会を、ありがとうございます!
では、会場でお会いしましょう!
福田 ありがとうございました。
お待ちしてます!
(ひとまず、おしらせまで。
 ご来場が難しいかたのためにも、
 展示の様子をのちほどお伝えしますね)

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2011-05-02-MON