2019年11月22日、約3年の工事期間を経て
渋谷PARCOがリニューアルオープンします。
その4Fと8Fにほぼ日が入ることになりました。
実はPARCOと糸井重里って
古くから、とても深いつながりがあるんです。
もしかするとPARCOがなかったら
ほぼ日は生まれなかったかも?
リニューアルオープン前の渋谷PARCOに、
糸井重里がお邪魔してきました。
ご一緒してくださったのは
スチャダラパーのBoseさんと、夢眠ねむさんです。
前半は、渋谷PARCOの見学レポートを。
後半はPARCOのことを
たっぷり語り合う座談会です。
「PARCOとほぼ日って似てるなあ」なんて、
そんな気になるかもしれない、
全7回をお楽しみください。
- 糸井
- 『ビックリハウス』がありますね。
- Bose
- 『ビックリハウス』があります。
- 藤井
- 資料として数が足りなかったので、
今回のために入手しました。
- ねむ
- 入手? どうやってですか?
- 藤井
- えーと‥‥ヤフオクとか。
- Bose
- そうなんだ(笑)。
- 糸井
- 今日のためにそこまで、ありがたいことです。
- ねむ
- 『ビックリハウス』、
知ってはいますけど読んだことはなくて。
- 糸井
- パルコ出版が出していた
サブカルチャー雑誌ですよね。
投稿コーナー中心の。
- 藤井
- はい。
1974年から1985年まで発行されていました。
- 糸井
- 渋谷の「区役所通り」を
「公園通り」という名前に変えたPARCOは、
渋谷に新しい若者の
カルチャーを作ろうとしたんですよ。
『ビックリハウス』はその計画の一環だった。
そこにぼくも誘われたんです。
- ねむ
- 「ヘンタイよいこ新聞」ですね。
- 糸井
- そう。
タモリさんとか、北野武さん、
大槻ケンヂは投稿者だった。
イベントには、
とんねるずに出てもらったり。
- ねむ
- すごいなあ。
へえ~、これが‥‥(ページをめくる)。
「ヘンタイよいこ白昼堂々
秘密の大集会の報告写真」
- 糸井
- 連載終了のときに
そういうライブをやったんです。
品川プリンスホテルで。
- ねむ
- わあ、糸井さんだ!(笑)
- ねむ
- 坂本龍一さん!
- ねむ
- キヨシローさん(忌野清志郎さん)も!
- 糸井
- アッコちゃん(矢野顕子さん)とか、
ムーンライダーズなんかも出てくれて。
ぼくはパジャマを着て歌を歌いました。
- Bose
- そのとき、みうらじゅんさんは?
- 糸井
- みうらは客席で観てた。
- Bose
- そうなんだ‥‥。
みうらさんは『ビックリハウス』に、
どんなふうに関わってたんですか?
- 糸井
- 俺がみうらに、
「ビックリハウスで座っていれば
絵を描く仕事は自然に頼まれるから、
机借りてそこにいなよ」
って誘ったのがきっかけだと思う。
- 藤井
- たまに編集者がミスをして、
紙面にちょこっとスペースが空いた時に
イラストを描いていたそうです。
- 糸井
- 「簡単じゃなさそうな絵にしなさい」
という指導をしました。
「運動会の絵を描いて」って頼まれたら、
玉ころがしの男子をひとり描くんじゃなくて、
校庭ぜんぶを描けば
がんばり屋さんだと思われるよって。
- ねむ
- なるほどー。
- 糸井
- そうしたら案外、
みうらはちゃんと俺の言ったことを
守って描いたんだよ。
- Bose
- でも、それはずっと守ってますよね。
今も。
みうらさんって、
ちょっとしかないスペースに
びっちり描くイメージがあります。
- 糸井
- そうかもね(笑)。
- Bose
- だからいまだにみうらさんは、
冷蔵庫のマグネットとかゴムヘビとか、
いっぱい集めちゃうんですよ。
- ねむ
- 「いっぱい」が、すりこまれてるんですね。
- 糸井
- やっぱり、「量は誠意」だから。
- ねむ
- 多かったら引くことができますもんね、あとで。
- 糸井
- そうそう!
いいことを言ってくれます。
「そんなに描かなくていいよ」って言われたら、
そこではじめて、りんごを1個だけ描くとか、
そういうやり方があるから。
まずはぶつかればいいんだよ。
- 藤井
- ちなみに『ビックリハウス』は、
最盛期には18万部売れたそうです。
- Bose
- えー、すごいっすねえ。
- 糸井
- 『ビックリハウス』っていろんな話を聞くと、
「1学年に2人は買ってる人がいた」
って言うんだよね。
- Bose
- あ、そうですよ。
まったくそうです。
「何組の○○さんは買ってるらしい」
ぐらいだった。
クラスに2人ではないですね、学年に2人。
- 糸井
- 全国の「学年に2人」をぜんぶ足すと、
18万部になるんだろうね。
- Bose
- それ、ほんとにそうだと思います。
- ねむ
- いいですよね、その届き方。
私も、学年に2人に届く存在になりたいです。
- Bose
- ぼくもそうなりたい。
- 糸井
- でもね、そこを目指してもなれないんだよ。
- ねむ
- あー、狙えない。
- Bose
- そうかも。
本当はすげえ売れるつもりでがんばったら、
結果的にそうなった
っていうことなのかもしれない。
- 糸井
- うん。
みうら、自分で言ってたけど、
「ぜったいに俺はメインロードを行っている。
俺はメジャーだ」って。
これは本気で言ってました。
- Bose
- たしかに「みうらじゅん」ですから、
今の結果はメジャーですよね。
でも当時はマイナーリーグで
打ちまくってた感じ。
- 糸井
- そうそう。
若い頃は、まだメジャーじゃないんだよ。
「一発当ててやろう」っていう、
お笑いの若手みたいな
ハングリー精神があった。
- Bose
- みうらさんのそういうところ、すごく好きです。
- 糸井
- うん。いいよね。
(かっこいいですみうらさん。つづきます!)
2019-11-15-FRI
渋谷PARCOにできる2つのスペース、
「ほぼ日曜日」と「ほぼ日カルチャん」について、
くわしくはこちらをご覧ください。
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN