とんでもない、原丈人さん。 次の時代のヒントは、この人のなかに? 第4部 アフリカへ!


第5回 面接官は‥‥先日まで主婦だった
スピルリナ・プロジェクトを実施する
ザンビア、ボツワナ、モザンビークの3カ国は
そもそも、どうやって選んだんですか?
アフリカ53ヶ国の中から、
戦争をしていない国、
独裁政権じゃない国、無政府状態でない国、
タイヘンな病気が流行ってない国‥‥。

そういう条件でスクリーニングして、
まず21ヶ国にしぼったんです。
ほう、ほう。
で、次にね、その21ヶ国の中から、
国としても栄養不良の問題に取り組みたいと
思ってる国を12ヶ国、選びました。
なるほど、国によって
プライオリティがありますもんね。
そう、自分のところは
栄養不良よりもエイズだ、という国もある。

ともかく、栄養不良の問題に
取り組みたい12ヶ国を選び出したんですが、
最終的には
プロジェクトの担当チームに、
その12ヶ国の大使全員に会ってもらって。
ようするに、面接で決めたんですか。
そうです。
ああ、実際に、人に会って決めるのは
いいですよね。

つまり、書類選考だとかじゃなく。
ちがう。
何かあったんですか、基準は?
なによりもね、大使の「目がきれい」な国。
そういう国を選んでくれと担当者に言いました。
なるほど‥‥そうやって「人」で選べば、
大変だろうが何だろうが、
この先のことを、いっしょにやれるなと。
そうです。

その結果、ザンビア、ボツワナ、
そして
モザンビークが、選ばれることになったんです。
なるほど。
それと、もうひとつ。

各国大使たちの面接を担当したひとりは、
おととしまで「主婦」だった人。
主婦‥‥ですか。
こういう仕事をして日が浅いから、
コネもなければ、バックグラウンドもない。
つまり、
そういう人でも、会ってくれるかどうか?
そう、そうなんです。

プロジェクトを自分の利権にしたかったり、
損かトクかという観点しか持ってない大使だったら、
会ってくれないんですよ、なかなか。
ビジネス的に、広がりがないですもんね。
それに彼女は、しがらみとか、固定観念とか、
そういったものがないから、目ですべてわかる。
でも‥‥主婦だった人がねぇ。
でも、そんな彼女が「いい」と言った大使なら、
まちがいないと思うんです。
へぇ‥‥。
彼女なら人の本質を見抜けると思った。

データや資料だけを頼りに書類選考したんじゃ、
たぶん、うまくいってないと思う。
はー‥‥。
ただちに、その3ヶ国をザーッと回ってきました。

で、モザンビークでは
国連機関とやる予定だったんですが、
なんだかよくわからない動きを
ガチャガチャやってるから、
もう、わたしは、たった1日でクビにして‥‥。
1日ですか(笑)。
モザンビークでは、もう、2日めには
科学技術省と組んでやることにしたんです。
へぇー‥‥。
科学技術省大臣に電話して、
彼のもとに
保健大臣はじめ関係省庁を組み入れて、
スピルリナ・プロジェクトを開始したんです。
また、ひょいと「電話して」だ(笑)。
ま、知り合いだから、どの人も。
そうなんでしょうけど(笑)。
で、もうひとつ、ボツワナという国ですが、
これは、ダイヤモンドの採掘量で
今や、南アフリカをしのぐ国なんです。

他のアフリカ諸国は「最貧国グループ」ですが、
ボツワナは、GDPで見ると「中所得国」。
お金があるわけですね。
だから、スピルリナの話をしても、
「無償供与なんかしてもらわなくてもいい」と、
「買う」と言うわけです。
なるほど。
ですから、以前も言ったかもしれませんが、
このボツワナを、アフリカにおける
成功のモデルケースにしようと思っているんです。
ええ、おっしゃってましたね。
ボツワナって、黒人が自分たちでつくった国。

白人につくってもらった国じゃないから、
ボツワナがひとつのモデルケースとして成功したら、
周辺のアフリカ諸国も、
その後ろを、ついていきやすいと思うんです。
なるほど、なるほど。
だから、この国を重点的にやろうと決めて、
副大統領以下、
通信科学大臣、財務大臣、通産大臣、
保健大臣、外務大臣、地方政府大臣‥‥と
閣僚全員に、会ってきたんです。
ええ、ええ。
そして、8月21日に、ボツワナの保健省に
スピルリナの認証を頼んだら、
9月15日にはもう、認可が下りたんですよ。

‥‥ものすごいスピードでしょう?
1ヶ月も経たないうちに。
日本だったら1年以上かかってますよ。
 
わたしが会った政治家たちも、
みんな、国のために何かしたいという
意欲の伝わるような人ばっかり。

とても、いい国だなって思いました。
それは豊かな国だから‥‥でしょうか。
豊かで、若々しい国だよね。
ほう。
アメリカが独立したころって
こんな国だったんじゃないかなと思う。
なるほど‥‥そんな国で、
アフリカの成功モデルをつくるんですか。
これらの国は、
今後、アフリカの中心になっていくと思う。
バングラデシュとか、アフリカとか、
公益資本主義とか‥‥
ひとつの面だけ見てたんじゃ、
追っかけきれないですね、原さんは。

かならず、同時に何かが、動いてますよね。
おかげで、忙しくてね(笑)。
でしょうね。楽しい?
これ以上、楽しいことはないです。
そうですか。‥‥いよいよ、アフリカへ。
このあとしばらく、
 やっぱり公表できない話がひとしきり‥‥。
 しばらく中略させていただきまして、
 次回、いよいよ最終回へ!

2009-04-24-FRI