とんでもない、原丈人さん。 次の時代のヒントは、この人のなかに? 第4部 アフリカへ!


第6回 原さんという「観光地」
今日もまた、いろんな話を聞きましたが‥‥。
いろいろ、しゃべりました(笑)。
利益をあげることばっかり考えてる人に
原さんのやってることを
「納得できるように説明してください」
と言われたら、
たぶん、どこからか
説明不能になると思うんですよね。
そうでしょうか。
最終的には「好きだからやってるんです」って
ひとことに尽きちゃうと思うんですよ。
うん、好きでやってるのは、そうだしね。
でも、スピルリナ・プロジェクトにしたって、
アライアンス・フォーラムという
財団があるとはいえ、
実際、少なくない資金や人員を
投下しているわけじゃないですか。

原さんは、たいしてかかってないよと
言いますけれど‥‥。
いや、国連で組んでる予算、
国連で用意してる人員と比較してみたら、
すぐにわかります。

わたしたちが、
昨年2008年度に使ったお金は
国連の100分の1。

人員もたぶん、同じくらいでしょうね。
具体的な金額にすると、どれくらいなんですか。
差し支えない範囲で、いいんですけど。
ぜんぶ足しても、数千万円でしょう。
ははー‥‥国連だと、その100倍。
しかも、アフリカの栄養不良問題にしたって、
国連だったら
10年かかってもできなかったのが
われわれのスピルリナのプロジェクトは
立ち上げから、まだ1年ちょっと。
つまり、お金も人も使わず、スピードは速い。
というより、国連のほうが
お金も人も使いすぎで、スピードが遅すぎる。
そういう発想なんですね。
もちろん、収益をあげる構造については
まだ試行錯誤の段階なんですけど。
ああ、おっしゃってましたよね。

はじめちゃったんだけど、
まだ、儲ける仕組みを思いついてないんだって。
ええ。その仕組みを思いつくまでのあいだ、
向こう3年間分の資金は
アライアンス・フォーラムで負担します。

その間に、ブラック・ネットのように
収益をあげられる仕組みを、考え出すんです。
それは‥‥原さんとしては、もちろん、
考え出せると思っているわけですよね。
もちろん。
そう思いますか。
思う。
そう確信できるのは‥‥?
スピルリナが「35億年前の生物」だって
聞いたときにもう、
これは、大変な可能性があると思いました。
考古学者の血が騒いだんですね(笑)。
分子構造を見ただけで、すごいと思った。
はー‥‥分子構造。おもしろいなぁ。
うん、これはね、おもしろいです。

で、その分子構造の解析をするために、
わたしたちが研究しているPUC、
つまり、ポストコンピュータの技術が、
必要になるんですよ。
ああ、そういうことも、やってましたね(笑)。
そこにも関係してくるんだぁ‥‥。
うん、そっちも進めないとね。
好きでやっていることが、
ぜんぶリンクして、つながってくるんですね。

それは休むヒマなくて、楽しいはずですよ。
うん。
鉄道模型は別として。
あれはね(笑)。
それに、よくよく考えてみたら、
本業は「ベンチャーキャピタリスト」なわけで、
そちらのほうも、
ちゃーんと、やってるわけですからね‥‥。
昨年(2008年)の11月にも、
われわれがつくった「Transitive」という会社を
IBMと合併させたんですよ。
ほう。
リーマン・ショックが起きた9月以降、
新規株式公開や
M&A(企業の合併・吸収)みたいな動きは
ぱったり止まったちゃったんですけど、
そのなかで唯一、
大きなニュースとして流れたのが、そのIBMの件。

じつは、わたしたちがつくった会社なんです。
はー‥‥。小さいのから、大きいのから、
そういう話が、原さんのまわりにはいっぱい‥‥
ほら、このあいだも
このビルのなかで、あったじゃないですか。
ん?
えーと、原さん傘下のベンチャー企業に
優秀な人材を引き抜かれるんじゃないかと、
「世界有数の某会社」が
戦々恐々としてるって話があったでしょう。
ああ、あれはね、決着がついた。
つきましたか!
うん。同じ建物内にいるわけですから、
エレベーターや廊下で
社員同士が顔を合わせるのは、
まあ、しょうがない。なんとか我慢しようと。
ええ、ええ(笑)。
でも、一カ所にじいーっとしている場所は
いっしょにしないでくれと言って、
休憩所と喫煙所を、別々にしたらしいです。
あ、そういう決着(笑)。
そこまでいっしょにされちゃうと、
某会社の優秀な社員が、
全員、わが社に移ってしまうと(笑)。
おもしろいなぁ‥‥。
効果があるのかどうかもふくめて(笑)。
ま、直接は知らないんだけど、
そんなふうに、なったらしいですよ。
あの、こうやって原さんを眺めてると
「観光」という説明が
できるんじゃないかと思うんですよね。
観光?
なんというか、ビジネスモデルとしては
成立してないんだけど、
僕が、こうやって原さんのところに
話を聞きにくるのも、ある意味で観光してる。
そうなの?(笑)
つまり、お金を払ってでも聞きたいんですよ。
なるほど。
で、原さんのほうは、
僕のように「聞きにくる人」がいることで
「観光地」として成り立ってる。
いや‥‥まぁ。
きっと僕は、双眼鏡をぶら下げて、
原さんという観光地をウロウロして、
「そこんとこ、
 もうちょっと見せてくださいよ」なんて、
そんなことしてる人なんですよ。
あまり観光客にウロウロされても困るけどね‥‥。
でも、いい観光客が、いい観光地をつくる(笑)。
あはははは(笑)。
いやあ、今日も、おもしろかったです。
ありがとうございました。
こちらこそ。
また、外国?
ええ、これからケニア。
スピルリナ・プロジェクトで
ザンビアへ学生を派遣する件の準備も、
これから、始まるし。
うん、また、一段落したらお話ししましょう。
ええ、また来ます。観光しに(笑)。
その時まで、また。
<おわります>

2009-04-24-FRI