こんにちは、「ほぼ日」のスガノです。
このたび「ほぼ日」のデザイナー田口が
ヒッチハイクで旅をすることになりました。
まずは目的地を決めようということになったのですが、
いろんな都合がありまして──具体的には、
先日、この気仙沼企画で運んだ「あるもの」を
東京に持ち帰らねばならないという用事がありまして──、
目的地は「宮城県気仙沼市」ということになりました。
(テキスト中継係のスガノ&ニシダが
「あるもの」の運搬係を兼ねます)
気仙沼まではたくさんのルートが考えられると思います。
このページをごらんのみなさま、
田口の「立ち寄り先」をご提案いただければ
ありがたいです。
北に向かう道中で、おすすめのスポットがありましたら
ご紹介ください。
記事の下のほうにメールの宛先がございます。
ぜひ、よろしくお願いいたします。
今日は、このヒッチハイク企画のきっかけをくださった
平了(たいらりょう)団長にお越しいただいています。
団長、よろしくお願いいたします。
▲平了さん。今回のヒッチハイクの先生です。
もともと田口は東日本大震災のあと
スコップ団に参加して団長にお会いしました。
今回、田口がヒッチハイクをすることになったきっかけは、
2012年に団長が、ヒッチハイクの旅に出られたことです。
「あのときは、沖縄がスタートで」
日本の最南端、最西端、最東端、最北端、
すべてまわられました。
かたや田口はまったくの初心者です。
今日は団長に、ヒッチハイクのポイントを
お教えいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
▲よろしくお願いします。
団長は先日の日本一周だけでなく、これまで数多くの
ヒッチハイクのご経験があると思いますが。
「ええ。
バイクに乗っている人たちが集う
ライダーズハウスという場所があるんですけど、
ご存じですか?」
ライダーズハウス。
「そこでこんな話を聞いたことがあります。
車やキャンピングカーで日本一周したあと、その人たちは
『バイクで日本一周する奴ってすげえよな』
という気持ちになるそうです。
そして、バイクで日本一周する人たちは
『これを自転車でやる人はすごい』と思うそうです。
そして‥‥その自転車の人たちが
さらにすごいと崇めるのは、ヒッチハイカーです。
これが『ヒッチハイカー最強』と
言われるゆえんです。
それ以上のことになると、まぁ、
リヤカー引いたりロバ連れてったり、と
どんどん苦行の域に入っていきます」
はぁあ‥‥。てことはやっぱり、
ヒッチハイクは不便なんですか?
「そりゃあ、
行きたいところに行けないですからね」
そうですね、人に乗せてもらうのですから‥‥。
「ヒッチハイクと言ったって、
歩かなければ移動できないポイントが
必ず出てきます。
ですから、いろんなところに立ち寄って
いろんなものを見ることができます。
旅としてはいいと思いますよ。
ただ、目的地に到達する、ということに関しては
抜群にヘボい方法です」
歩かなきゃ移動できないポイントというのは?
「どうしても車が拾えない場所や時間帯に
車を降りちゃった場合、です。
たとえば、ですね‥‥、
ぼくがいちばん過酷な経験をしたのは、
北海道の旭川です。
国道で、あとちょっとだからね、って
トラックを降りました。
確かに地図で見ると『あとちょっと』。
真夜中です。街灯もまったくない。
熊出没注意と書いてある看板を横目に
てくてく歩いた距離は8kmでした。
『あとちょっと』の単位が違うわ! と思いました」
さすが北海道。しかも真っ暗闇は怖いですね。
「一本道だったからよかったんですが、
街の光がわずかに視界に入ったときに
生きて還ったぞ! と思いました」
▲うーん‥‥、覚悟しないと。
「でもね、乗せてくれる車を
最初にバシッとつかまえられたら、
ほんとうにひと晩で、福岡にだって行けるんですよ」
つかまえられたら、ですよね。
「バシッとつかまえるには、コツがあります。
それは、頭をつかうこと」
はい、頭をつかうこと。
「まず、『長崎』とか、そういう
場所のプレートを掲げて
車をひろうのはNGです」
え?
よくある、あのヒッチハイクのプレートは
ダメなんですか?
「東京の、青山通りを走っている車で、
いま長崎に行く車が何台います?
いないですよ」
いないですね。
「『長崎』という文字を見ても、
ほとんどの車の人が
『俺はいま、長崎には行かない』と通りすぎる。
でも、もしそれが『西』だったら?」
方角か。方角を、プレートに書けばいいんですか?
「いや。もう、その車が向かっている、
あなたの立っている道路が西方向です」
あ、車線がすでに!
「そうです。西に向かう車をとめるんです」
なるほど。
「目的地があるとします。
そこまでの道で、
車が立ち寄りそうな場所は、どこだろう?
道の駅を調べよう。
停車している車のナンバープレートも、
車体に書いてある企業名も、
行き先の手がかりになるものは何でも頭に入れます。
それから、車に乗っている人が
忙しくない時間帯はいつだろう?
朝忙しいときに乗せてくれる奴なんてぜったいいません。
自分が会社に行くときもそうでしょう?
30分や1時間の余裕をもって
行動している人なんていません。
ほとんどの人が精一杯ギリギリの時間で移動しています。
ほんと、馬鹿じゃできねぇ‥‥」
ああ、馬鹿じゃできないです‥‥。
そうなると、朝の時間帯はダメですね。
「はい。朝はあきらめて、そのあたりを
散歩するしかありません。
10時以降になると、
午前中の訪問先に向かいながら乗せてくれる人が
ぽつぽつ出てきます。
そういうときに、こう言うんです。
『次の、車が拾いやすそうな場所まででいいので、
乗せてください』
目的地は、訊かれたら言うくらいでいい」
プレートを出さないとしたら、
どうやって車をとめるんですか?
「どうにかしてとめるんです。
手をひろげて、俺に、何か起こっています、
もう、追われています、という気持ちでとめます、
わあーーーーー!!!」
怖い!
▲手を広げてとめる。
「見えるはずもないフロントガラス越しの
ドライバーの目をガシッと見て、
とまれ、といって、とまってもらいます」
はぁあああ。
とめるときは、そんなかんじなんですね。
本気でないとダメだ。
「だって、乗せてもらえないと、先に進めないんですよ。
1km行くのに、人の足だと15分かかるんです。
車で1時間かかる場所は、
人の足だと10時間かかります。
30分でも乗せてもらえば、5時間カットできる。
ちょっとでもいいから、乗せてくれ。
そう思ってないとダメです」
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1.目的地のプレートは出さない。
車の向かう方向にあわせて、自分が立つ。
2.朝の忙しい時間はひとまず足で歩く。
3.身ひとつで、ドライバーの目をちゃんと見て
とまってもらう。
4.次の車が拾えそうな場所まででいい、と言う。 |
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