昨年11月、「ほぼ日カルチャん」がスタートして
おすすめの展覧会として
最初におおきくご紹介していたのが
上野の森美術館の「ゴッホ展」でした。
「ゴッホ展」は今年の1月25日から
兵庫県立美術館に巡回していましたが、
新型コロナウイルス感染拡大防止のため
この展覧会も会期半ばで閉幕となってしまいました。
多くの方の見られる機会が少なくなってしまったこと、
残念でなりません。
上野での開催中には
ほぼ日カルチャんのスタッフの
何人もが足を運びました。
そして、お店にお越しくださった方々に
どんな展示だったか、なにがよかったか、
とじぶんの感想を交えながらご案内をしていました。
そこで、いま「ゴッホ展」の感想を
あらためて4人のスタッフに聞いてみました。
また営業再開後の店頭で
こんなおしゃべりができるのをたのしみに、
どうぞお読みください。
- わかば
- 去年の暮れに、
ゴッホ展東京会場へ行ってきました!
実物の迫力が大きいだけに、
兵庫での巡回展が中止となってしまったのが
本当に残念なのですが、
感想だけでもシェアできたらいいなと思い、
東京での展示を思い出してみました。 - すると、観に行ったのは数ヶ月前なのに、
絵のタッチや雰囲気が
頭にありありと浮かぶのです‥‥!
ゴッホの絵には、そのくらいインパクトがありました。 - なんと言っても、色彩が綺麗です。
空の色ひとつとっても、
ジーンズのような薄い水色、クリーム色、
サーモンピンク、山吹色‥‥。
そのせいか、絵画なのに、
イラストのようなかわいらしさも感じました。 - ほぼ日カルチャんで販売されていた
『ゴッホ最後の3年』という漫画を事前に読みました。
精神病を患ったり、ゴーギャンとの共同生活、
弟テオとの絆やサンレミ療養所のことなど知ってから見ると、
描いているときの心情まで伝わってくるようでした。
麦畑や糸杉をみると、
ゴッホは心からその景色に
感動したんだなあ~というのがわかります。
そして、その場に自分もいるような気持ちになれました。
- かず
- ゴッホが色々な人から影響を受け、
試行錯誤と変化を繰り返して、
独自の絵を生み出していった過程が分かる展示でした。 - 実際に目の当たりにすると、
絵の具の凹凸から、描く事に対する
(執着とも言えるくらい、もの凄い)エネルギーを感じます。
色々な角度から観て、
その感情のうねりに圧倒されました! - 事前に原田マハさんの
『たゆたえども沈まず』を読んでいた事で、
ゴッホの生涯と彼が出会った人々にも
思いを巡らせながら展覧会を堪能できました。 - わたしが展覧会で得た豆知識をひとつ。
ゴッホは800通手紙が残っていて、
その内600通は弟テオとのやりとりだそうです。
かなり筆まめ! と思いました。
展覧会では、そのやりとりも
一緒に見る事が出来て印象に残っています。
- くりもと
- ゴッホは勉強家、ゴッホは素直。
心のハイ&ローが作品に表れていて、
展示全体でゴッホの心の動きが伝わる展示でした。 - 私が思っていたいわゆる
ゴッホ的な作品は
ホントに晩年なんだなぁ、と改めて。
個人的には初期の鉛筆とか
チョーク作品が良かったです。
浮世絵に影響を受けたと言われていますが、
めぐりめぐって、日本でも
こんなにもたくさんの人がゴッホと向き合うとは、
もちろん思ってもみなかったことでしょう。
(私が上野で観た日もとってもたくさんの人でした!) - いまは、ゴッホみたいに、
心の声を聞いて自分自身を見つめるとき。
20年前の別のゴッホ展の図録を
のんびり眺めながら、
また観られる日を想っています。
図録って、こういう時にとてもいいですね。
今回の展覧会図録はとても美しい装丁なので、
それも魅力です!
やっぱりほしいなぁ。
- さとう
- ヒマワリはないけど、
「ゴッホ? ああ、ヒマワリの画家ね!」
という人にこそ見てみてほしい。
わたしがまさにそうで、
ゴッホといえばヒマワリ、
ゴーギャンと住んでたときに耳ちぎっちゃった人、
存命中は全く評価されなかった悲劇の画家、
というイメージしかなかったのです。
でもゴッホ展に行った日、
上野の森美術館を出るころには、
その認識は大きく変わっていました。 - 今回の展示で紹介されているのは、
ゴッホの絵だけではありません。
彼が影響を受けた画家やその作品、
弟との手紙のやりとりから、
ゴッホがどんな絵を描きかさね、
どのように生きたのかという一面を
垣間見ることができます。 - それは今まで単色だった
ゴッホという人物像に
たくさんの色が入っていくような感覚で、
順路に沿って進むうち、
目の前の一枚一枚へ向きあう気もちに変化がありました。
「悲劇の天才画家の作品」ではなく、
「ゴッホという人間が真摯に描いた絵」を見ているのだ! という発見です。
明るく力強い油絵の筆致が、
今までよりも生々しくみなぎってくるように感じました。 - 美術館で、ていねいに額装され、
ライトアップされた絵画を観ることは
得がたい体験なのだなと、
いまあらためて身に染みています。
百数年前にゴッホが立っていた、
その同じ距離で作品と対峙できるのって
やっぱりすごい!
でも次の大切な機会をこころまちにしながら、
その養分になる情報をたくわえる期間なのかもと
前向きに考えています。 - ゴッホはこのときなにを考えていたんだろう?
なにを描きたかったんだろう?
図録をひらいて、彼の人生を想像しながら
またもう一度はじめから見たくなる展覧会でした。