六本木にあるサントリー美術館さんで開催中の
『日本美術の裏の裏』展に行ってきました。
屏風、工芸品、絵巻物など
生活にまつわる美術品を中心に、
「日本ならではの美意識」を
6つの切り口から教えてくれるこの展覧会。
タイトルにある「裏の裏」とは、
まだ目に見えてないところや
隠れた魅力のことを指しているそうです。
6つの展示のうち、わたしが特に心掴まれた
「小をめでる」と「風景にはいる」という展示を
すこしだけ紹介させてください。
まず、「小をめでる」コーナーでは‥‥
ちっ‥‥ちっちゃい‥‥!
このような「小さくてかわいいもの」が
たくさん展示されています。
この、お湯やお酒を注ぐ道具
銚子(ちょうし)のミニチュアは、
横幅3.7cmほどの小ささなのに、
実物と同じように、
持ち手は動き、蓋も開けられ、
中には漆塗りが施されているそうです。
こちらの精巧な絵付けのお重も‥‥
すべて、2本指でつまんで
ひょいと持ち上げられるほど大きさです!
か、かわいい‥‥。
技巧がぎゅっと詰まった
小さきものたちを観ていると、
すごい! という気持ちと
かわいい! という気持ちが
波のように交互に押し寄せてきて‥‥
胸の奥が愛おしいきもちでいっぱいになります。
「清少納言が、随筆『枕草子』で
ちひさきものはみなうつくし、と書いたように
日本人は、小さきものは無条件にカワイイ
という感覚を古くから持ち続けているのです。」
と解説文に書いてあるのを見ながら
小さいものを、いい! と感じる感性は
何百年経っても同じなんだなと思いました。
紹介したいもうひとつの展示は「風景にはいる」です。
風景画って、いままでは
なんとなく「きれいだなあ」なんて思いながら
眺めているばかりでしたが、
この展示では新しい鑑賞方法を教えてくれました。
それは、風景画の中によくいる小さい人物に
「何しているの?」と訪ねながら鑑賞するというもの。
風景画の中の人物と会話をする?!
ちょっとびっくりな鑑賞方法です。
ためしに声をかけてみましょう。
「釣れてますかー?」
「ぼちぼちだね~」
まぁまぁ釣れているそうです。
ほんとうに聞こえてきたかはさておき‥‥。
こうして声をかけてみると、
自分が絵の中に足を踏み入れたような感覚になりました。
絵って、こうして楽しむこともできるんだ!
たのしく新しい発見でした。
「美術」という言葉がつくと
なんだか遠く、高貴な存在のように感じますが
過ごした時代が違うだけで、
自分と同じように生きていた誰かが
「いいね!」の気持ちを込めながら
作ったものなんだなぁと感じることができました。
随所にある解説文も、
親しみやすいことばで
とても分かりやすく書かれているので
日本美術と自分との距離を近づけてくれる
「名ガイドさん」が案内してくれたような
心地よい余韻を味わえる展覧会でした。
ここでご紹介したのは会場にあるほんの一部です。
ぜひ、みなさんの目で
日本美術の裏の裏を覗いてきてください!