六本木のミッドタウンホールで、
北斎漫画ぜんぶ!
冨嶽三十六景ぜんぶ!
富嶽百景もぜんぶ!
という全部のせの展覧会
「北斎づくし」が開かれています。
気合いを入れて行ってきました。
さっそく会場に一歩踏み入れますと、
ちょっと目を疑いました。
仮想空間に入ったような感覚で、
壁も床も、展示台も、一面が『北斎漫画』。
北斎づくしです。
づくされていました。
隅から隅まで北斎漫画。
美しいです。
会場構成を担当されたのは、
建築家の田根剛さん。
まずはこの会場にため息でした。
それからこんなふうに、
全15編ある『北斎漫画』がずらりと続いていきます。
「これわたし、今から全部観るのか‥‥!」
と正直ちょっと怯むような気持ちになりました。
でも全部あることはわかって来たのです。
足を進めます。
『北斎漫画』はシリーズ化する前提で
作られたものではなかったものの、
その人気によって次々に発刊されていったのだそうです。
毎年ほぼ2編ずつというペース。
まるで今の漫画みたいです。
『北斎漫画』は巻ごとにテーマがあったりします。
たとえば、5巻は建築物。
たてものを描くといっても決して全景だけではなくて、
一部分にグッと寄っているのがわかります。
会場構成を担当した田根さんが
一番お好きな巻なのだそうです。
こちらは、武術関係ばかりの6巻。
その道具なども含まれています。
人気になればなるほど、
版木が摩滅するようすがわかる
初摺と後摺の比較もありました。
こちらが初摺。
こちらが後摺です。
線の鋭さがなくなっているのがわかります。
完結予定だった第10巻には、
北斎漫画といえばのこのページもあります。
そして終わりにはこんなページが。
「大尾(おしまい)」と掲げられています。
ところが、
つぎの11巻の冒頭には同じ寿老人が登場。
「新漫画」と描かれています。
おお、続いちゃうのですね。
そして、そのまわりにあるのは、
墨。巻物。扇子。
「すみ」「ま」きもの「せん」す。
すみ、ま、せん!!!
すみません
ってこの時代にも使われていたんだ。
あまりにスーパーで、
本当に存在していたのか想像できない北斎も
同じ人間なんだ。
と当たり前のことを実感しました。
北斎のいろんな描き方が観られるコーナーもあります。
一筆書きにハマっていた北斎さん。
こちらは、書で言われる「真・行・草」を、
絵でやってみたというページです。
格式高く整った真、
同じ字には見えないほど崩した草、
その中間の行、の3つ。
こんなに描き分けられるものなのですね、すごいなぁ。
その絵がどういう線で描かれているのか、解体図。
文字で描かれた絵。
コンパスのようなものや定規で。
そして北斎亡きあとまで発行が続いた15巻が終了。
あれ、もう終わり?! と思い、
完全に自分が『北斎漫画』に
のめり込んでいたことに気づきました。
最初はちょっと気が引けていたのに!
『北斎漫画』のおもしろさを
みっちりと教えていただきました。
このあとは『冨嶽三十六景』の部屋がありましたが、
撮影禁止でした。
ここがまた美しかったです。
赤い薄暗い円形の部屋に、ぐるりと。
『冨嶽三十六景』すべてを観たことはあったのですが、
この展示で観る三十六景はまた格別でした。
その次が、
動く北斎の作品を大画面で体感できる部屋でした。
もともと小さな作品ばかりなので、
こうやって大きかったり、
動いたりする映像が観られると
やっぱりたのしい!
この人たちが、一定のリズムに合わせて、
体の一部をピク、ピクと動かしていた場面は、
笑ってしまいました。
可笑しい。
これで終わりかなと思って部屋をでたら、
まだありました!!!
のけぞりました。
ここは本の中で北斎が描いた「挿絵」を
テーマにしていました。
曲亭馬琴の物語に北斎が描いた挿絵。
はぁぁぁ。
馬琴と北斎の、新編水滸画伝。
どっしぇー。。。
晩年の北斎。
わたし、北斎のこの世界を
ほとんど知りませんでした。
いっぱい観られてうれしい!!!
そして最後が『富嶽百景』の部屋。
これで本当に最後です。
北斎、いえ画狂老人卍による、
この有名な文章で展覧会は閉められていました。
本当に、北斎づくし。
こんな展覧会が実現するのですね。
すごいです!!!
9月17日までと閉幕迫っています。
当日券がある日もまだありそうなので、
ぜひミッドタウンホールへどうぞ。