細野晴臣さんの音楽といえば、
60歳になるわたしの父が
車の運転中や、
家のなかでも流しているのを
日常のなかで聴いていたくらいで
正直あまり詳しくはありませんでした。
「あ、星野源さんも好きなんだ、細野さん」
と知ったのは学生の頃です。
なんだか凄い人なんだな、
音楽もふつうじゃないぞ、おもしろいなあと
ジワジワわかってきてはいたのですが、
でも知らない部分のほうが多い方でした。
この映画を見ていると、
細野さんが若い頃から
好きで憧れていた音楽が
どんなものだったのか、
細野さん自身が
どんな音楽をつくってきたか、が
わかってきます。
細野さんはなによりも音楽が好きだったこと、
そして、音楽がたのしいからこそ
どんどんその世界が広がっていったんだということ。
その日々を追体験するようでワクワクしました。
そんな細野さんが
音楽活動を始めて50周年の節目に、
ロンドンやニューヨークで
海外ツアーを行う場面。
海外の若いファンが、
細野さんに憧れの眼差しを向けていました。
そこからは熱を帯びた興奮が伝わってきます。
細野さんは「音楽に憧れる人」だったのに、
国も世代も超えて「憧れられる人」になっている!
なんてかっこいいんだろう、と心うごかされました。
でも本人は飄々としていて、
なんか突然踊りだしたり、
ふざけたりもするんです。
横尾忠則さんとの会話なんて、もう最高!
お茶目で、かわいくもあり、
笑ってしまう場面が
ちょくちょく挟まります。
凄いミュージシャンなのに肩肘張らない、
こういうところもほんとうに魅力的です。
もちろん、細野さんが好きな人には
たまらない映画だと思います。
でも私のような初級細野ファンにとっても、
細野さんは「音楽ってたのしいよ」と
扉をふわりと開けてくれました。
そして、そこから
細野さんのありすぎるほどの魅力を
ちょっとずつ覗かせてもらったような、
そんな気分になった映画でした。